見出し画像

フッ素塗布について知ろう③


【結局、フッ素塗布ってやった方がいいの?】

口から全身の健康を考える小児歯科医 Sawako です。

フッ素は骨や歯に取り込まれるので、骨や歯の形成が盛んな、
・子供の歯(乳歯)が生え始めた時期=大人の歯(永久歯)が体内で作られ始める時期〜永久歯が生え始める時期〜生え揃う時期
が、フッ素塗布の適年齢と言われてきました。
年齢で言うと、1歳前後〜12歳頃に相当します。

最近では、特に、「酸で溶かされた歯の修復を促進する」効果(歯の再石灰化)が重要視されていて、歯がある人は、生涯を通じてフッ素塗布が有効であるとされています。

フッ素塗布を行っているから虫歯にならない…とは言えませんが、一定の虫歯予防効果は認められていますので、特に虫歯になりやすい人は、定期的にフッ素塗布を行うことで、大人でも虫歯予防効果が期待できます。

虫歯になりにくい人は、フッ素塗布を行っても行わなくても、見た目では違いがわかりにくいです。
お口の中の歯は食事の度に、酸で溶かされる(脱灰)⇄溶かされた部分が修復される(再石灰化)を繰り返しています。
特に、生えてきたばかりの永久歯では、脱灰⇄再石灰化を繰り返しながら歯の表面のエナメル質の結晶が大きくなり、口の中に生えてから3年〜4年経つと、虫歯になりにくい硬いエナメル質に成熟すると言われています。
日々繰り返される脱灰⇄再石灰化の過程で、フッ素は両方の過程に影響して虫歯になりにくい成熟したエナメル質を作っていきますから、乳歯から永久歯に生え変わる時期のお子様は特に、フッ素塗布を行わないよりは行った方が良いと言えると思います。

ですが、診療室で多勢のお子様に接していると、「うちの子はフッ素の味が苦手」「味に敏感で、歯磨き粉も使えない」という保護者様のお声もあります。

低年齢のお子様は、新しい味や慣れない感触のものを受け入れにくい場合がありますので、その場合は、無理にフッ素塗布を行わなくてもよいと思います。

また、吐き出すことができずに飲み込んでしまう量が多い低年齢のお子様は、体内に摂取される量が多くなってしまうので、歯科医院や検診で行う高濃度のフッ素塗布には、慎重になった方がよいと思います。

最近は、口の中の感覚が敏感で、人工的な味や匂いが苦手な人が増えているように感じます。そういう人も、無理にフッ素塗布を行う必要はないと思います。

フッ素塗布は、歯の生えているどの年齢の人にも虫歯予防のメリットがあります。
フッ素塗布は、1回・2回行っただけでは虫歯予防効果が期待できず、継続的に定期的に塗布し続けることが大切です。
ずっとやり続けることなので、無理はしない方が良いと思うのです。

【まとめ】
フッ素塗布は、歯の生えているどの年齢の人にも効果がある虫歯予防方法の1つです。
子供の頃から行うと虫歯予防の効果が得られやすく、特に、乳歯から永久歯に生え変わる時期のお子様(5歳前後〜12歳頃)は、行うことで得られるメリットが大きいと言えます。
フッ素塗布は、定期的・継続的に行うことで効果が得られます。ですので、味や匂い・感触に違和感があり苦手な人は、無理に行う必要はないと思います。
吐き出すことができず飲み込む量が多くなる低年齢のお子様は、高濃度のフッ素塗布は慎重に行う必要があります。

#小児歯科 #0歳からの口腔育成  #人生最後の日まで使える口の土台作り  #三つ子の魂百まで  #食育息育足育  #口は命の入口  #口から考える全身の健康 #はみ出し歯医者のこしょこしょ話

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?