自分がアンパンマンだと気付いた日
「無償の愛 ってあるじゃないですか」
アクリル板越しに私の独り言の様なふたり言を
いつも聴いてくれるのは恩師F。
高校3年間通って最後の半年でようやく
徐々に素を出せるようになった。
そんなレベルの私が自分の事をだらだらと話してしまう
出会って1年も経っていないが、Fはそんな相手だった。
「なんかさわちゃん優しいよね〜とか
気ぃきくよね〜って言ってもらえるんですけど」
うん。
「それって全然無償じゃなくて
自分の身を削らないと出来ないんですよ」
うん。
「それで気がついたら削る自分がいなくなってて
夜な夜な決壊したりしちゃって
決壊してからあぁ自分溜め込んでたんだな〜って」
うん。
「けど、いつもは決壊して寝て起きたら
割とスッキリしてて次の日からまた生きられるんですよ」
うん。
「けどなんか今回違くて」
うん。
「決壊してもしてもしきれなくて
なにやってもスッキリしなくて
全然ダメなんです」
うん。
「けどいつもこうやって話聞いてもらうと
なんとなく自分の中整理出来てる気がして」
うん。
「だから1人で潰れてても結局いつも
なーんにも解決してなかったんだなーって」
うん。
「その後にこうやって 昨日決壊しちゃって〜、、、
って話すことでようやくスッキリできてたんだなーって」
うん。さわちゃんは、アンパンマンなんだね。
「え?(は?)」
バタコさんみたいに顔を変えてくれる人がいないと
優しさを撒くことが出来ないんだよ。
「それってFに迷惑かかりません?
私一人じゃなんにも出来なくて、なんかあったらFが必要で。」
話してもらってさわちゃんが元気になれるなら
全然迷惑じゃないよ。
「なるほど?」
だからバタコさんみたいな存在が見つかったらいいね。
「Fはずっといてくれないんですか」
それからしばらくしてFとは連絡が取れなくなった
新しい場所で新しい生活を送っているみたい
最後に会いに行った時Fは言ってた
探しはしないけどSNSとかで不意に見つけたらライブ行く。
歌う理由がこうしてまたひとつ増えた
私はアンパンマンだけどFの夢に添えるような歌を歌いたいんだよね
バタコさんみたいな存在はそう簡単に出会えるもんじゃないけど
アンパンマンなりに今日も歌ってます
いつかぼろぼろの顔でもこの声を届けられますように
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