苛虎③

すぐに記憶から切り離してしまったというだけのことで、
記憶を書き換えてしまったというだけのことで、
はっきりと目撃していたのです。

つまりそれは。

私を除け者に。

それを私は、妬んだ。
はっきりと嫉妬しました。

そこは理屈じゃありません。

孤立したくなかったのです。

そんなもの、見たくなかった。
目を逸らしたかった。
燃えるように嫉妬した。

結局すべて、私の責任なのです。
私の心の脆さが生み出した、
全てを燃やす嫉妬の炎。

信頼関係に裏打ちされた家庭を見て、
嫉妬しないはずがない

私は自分の居場所が欲しくって、それを当たり前みたいに持っている人が妬ましい。
嫉妬を知らないなんて、きっと本当は嘘なんです。
人を羨んだ数だけ、私は人を嫉んでいる。
温かい家庭が、妬ましい。

あなたをひとりにはしませんから、私をひとりにはしないでください。
消えないでください。
いなくならないでください。

猫物語 手紙より。

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