見出し画像

名字も名前も父も要らない

普段、本名に全然かすってもいない愛称で呼ばれてばかりいるものだから、たまに本名で呼ばれた時に、自分だと気づかないことがよくある。
下の名前も、上の名前も、冗談抜きで忘れがち。
高校に入りたての頃、同級生に名前を聞かれて、本当に出てこなくて「ごめん、分かんない」と答えて、大いに戸惑わせたこともあった。

名前にアイデンティティを求められない。
名字と名前どちらにも親しみを感じない。
名前をつけられた経緯も、名字を親から継いで与えられているという事実も、気に食わない。
好きじゃない。

今、僕のことを愛称で呼ぶ人と、「〇〇ちゃん」と下の名前で呼ぶ人と、名字で呼ぶ人の3通りいて、
このうちで気の置けないのは愛称呼びの人。
名字で呼ぶのは少なからず親しみを持ててる人。
職場の人とか、取り繕わなくても接しられる人。

下の名前で呼ぶのは、心からほんとにどうでもいい人。かかわりたくない近づきたくない、いちいち呼び方を変えてもらうのも面倒、これっぽっちも素を見せる気はない、好きに呼べばいいよ、興味ない、って人たち。下の名前で呼ばれるのが嫌いってことを説明するのも嫌な人たち。
だからね、
下の名前で呼ぶことを許されていると思ったら大間違いだよ、1番心の距離は離れているのです、地球1周半はできちゃいます。

そのくらいに本名が嫌いだから、普段、本名を使わなくてもいい場面では決まった偽名を使っている。
例えば、ウーバーに登録してる名前とか、店の予約とか、身分証の提示を必要とされないような時は大抵偽名。
LINEに至っては記号を使ってる。本名0。

あまりに偽名を使いすぎて、本名よりも偽名の方が上手に名前を書けるかもしれない。
特に今の名字は馴染みが薄かった。

親が離婚したのは中3の11月。
14歳8ヶ月、前の名字で生きてきたことになる。

やっとその年数を超えた。

ここから先は

511字

¥ 2,000

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?