新規ドキュメント_2019-03-27_00

艦隊これくしょん同人誌備忘録 その48

新規ドキュメント 2019-03-27 00.19.38_1

タイトル:ダイヤモンドガール
サークル:ジュラルミンラブ
作者:Pennel
発行日:2018年8月5日

金剛って見た目も言動もとってもエクセントリックなキャラクターだと思うのですが、それが不自然な感じ無く現実に同化されていて、「艦娘」というキャラクターが現実への現出の感じがとても心地よく読んでいて感動が自分の心の中で偏りすぎて横転・転覆する気持ちになったのがこの本書「ダイヤモンドガール」。

ダイヤモンド=金剛石ということで金剛というと明るく賑やか(艦娘相対的評価)で艦これ、艦娘の”顔”としての広報活動で彼女の明るいアイドルとしての彼女に惹かれて会いたいと願う普通の女子高生が主人公の物語なのですが、これが丁寧な描写で描かれていて「現実の現代」というと語弊があるかも知れませんが、今の時代に艦娘が、金剛が居たらこういう風に「現実」に居るのではと思わせる様々な描写、たとえばSNSで鎮守府の一般公開を知って授業中なのに立ち上がって喜んだりなど、いまならあり得そうだなあと思わせる描写が秀逸。


主人公の女子高生は思春期真っ只中で色々な事、進学やもっと先の事など悩みが多いのですが、夜中スマートフォンで金剛の事を考えているときは色々な悩みを忘れ、純粋な憧れのみを抱くことができている姿が思春期特有の純粋に恋い焦がれる姿が描かれます。

そんな憧れの存在である金剛が、佐世保鎮守府の一般公開PRイベントに来ると言うことで、主人公は意を決して、周りは受験勉強に忙しかったりする中、情報集めや母親の説得や佐世保に暮らす叔母さんにお願いしたり、艦娘に興味の無い子達の冷ややかな視線などを感じながらも、ただ純粋に金剛に会いたいと願い初めて旅行計画を作ったり行動を起こします。

その主人公の居ても立って居られない姿に感動すると共に、それはティーンエイジャーの若者達の多くがメディアを通してその存在を感じる事でしかなかったただのあやふやな存在を、実在の人物として認識するための行為は多くの人達が通る道で、その課程を本書は丁寧に丁寧に描写を重ねていくのですが、それ故に憧れの存在である艦娘の金剛が「本物」として存在するとこういう感じなのだろうなあと読書後に驚きと共に金剛という非実在のキャタクターがリアルに現実に、横須賀のりものフェスタとかに居るんじゃないかなあと思わせてくれる本書は正に「ダイヤモンド」のように最初の鈍い存在が、作者の漫画力によってカットされて最後この現実に輝く姿で現れてきます。

チョイ役で阿武隈も出て来るのですが、金剛と共にどっちもエクセントリックな髪型してるんですが、こちらもあっ隣に居そうな感じでさらっと現実に溶け込ませてるのも凄く、見所の多い本書はまさに差し込む光の角度によって様々な表情を映し出す宝石のような輝き、まさに「ダイヤモンドガール」、すみません言ってみたかっただけです。

この本は自分以外にも面白かったと感動する人が多くて、自分はここ数年みんなで同人誌を持ちこんで紹介するという「よつばの読書会」という同人誌を集めるプロ達のデュエル大会に参加させていただいてるのですが、僕含めて本書を持ち込んでる人が3人も居たので、やっぱり読んだ人のどこかに光輝く作品ですね。

他にもこの本の面白いところは他にもあるなあとぼんやりとずっと考えて居たのですが、
この前「護衛艦見放題展覧会」こと横須賀フリートウィークでイージス護衛艦金剛の後部甲板で等身大金剛改二丙のパネルを目の前にしてふと気がついたんですが、あっこれだ、本やSNSでボーッと観てたモノから本物を観たときの「説得力」、あの初めてのライブとか頭の中の知識が本物と結びつくときの興奮。

写真 2019-10-05 11 55 45


それは時に興醒めするのかもしれないけど、本書「ダイヤモンドガール」のエンディングで主人公は本物の金剛に出会えて「感情が溢れる」ところで終わるのですが、そういうたった一回だけある感動みたいなものが大胆に切り取られてる(読んで頂けるとこの辺の終わりのタイミングの良さが分かるかと思います)感じが、本書を傑作たらしめてるのかなあと、キラキラと真昼の陽光を浴びた横須賀湾の水面を観ながらふと考えました。

現実に艦これのイベントで西へ東へ楽しく振り回された日々の中で、誰かの中に大切な思い出になってるのかもなあ、そんなきれいなもんじゃないだろうけど、現実にこの目の前にあるイージス艦は一千億円以上の巨費を投じて作り上げられた複雑で巨大な戦闘システムだし(イージス艦の艦橋前に立つとジパングの草加拓海少佐ごっこしたくなるじゃないですか!)、現実的な脅威への対抗装置だけど、きれい事だけじゃない所からこんな面白い艦これとのコラボイベントとかが起きるんだから不思議だなあと。

同じ会場で「霧島」正式な女性自衛官服来て出て来てたのを観て(写真でしか見てないけど)、これが金剛だったらマジで「ダイヤモンドガール」の時代に追いついたなあと思ったのですが、霧島だったから本物っぽいよなあ、金剛だとどうだったんだろうなあとかクソ熱かった横須賀で考えましたね。

あっ本文はこちらで全文公開されています。
永遠の輝きを貴方に・・・最高ですね。

ダイヤモンドガール(web再録,C94初頒布)
https://twitter.com/n_pennel/status/1161311040950288384

とても素敵な本なので是非ご一読ください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?