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備忘メモ #04 NICTオープンハウス2024

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)では、研究成果を一般の方々に公開する「オープンハウス」を年に1回開催しています。NICTの研究分野は、私の仕事を含めた興味範囲に非常に近いので、研究の進捗状況を教えてもらうために、ここ10年くらいはできるだけ参加するようにしています。今年も大雨の中参加してきましたので、個人的に興味深かったものをいくつか紹介します。

NICTオープンハウスとは

NICTは、総務省系の研究開発法人で、ネットワーク、サイバーセキュリティ、AI、無線など、非常に幅広なICT関連の研究開発を行っています。こうした研究開発の成果は日頃からもプレスリリースなどを通じて触れる機会がありますが、それらの内容をまとめて聞ける機会が機会が「NICTオープンハウス」です。技術展示では、パネル展示や動態展示に加えて、各研究を担当している研究員の方と直接会話ができます。
2024年のオープンハウスは6月28日(金)/29日(土)の2日間開催されましたので、私は金曜日に行ってきました。

NICTオープンハウス2024で気になったもの

オープンハウスにはほぼ毎年行っているので、最近は各研究で特に変化があったものを詳しく見て回るようになってきました。今年のオープンハウスで特に気になったものは次の3つでした。

  • 宇宙天気予報

  • 高信頼・高可塑B5G/IoTテストベッド

  • 最先端ICT研究を支える「ものづくり」

宇宙天気予報

太陽フレアなどからの電磁波によって、地球上の電波利用に支障が出る可能性があります。そうした宇宙からの電磁波の状況を観測して、支障が出る可能性を予報するのが宇宙天気予報です。
この取り組みは以前のオープンハウスでもお話を聞いて知っていましたが、今年は2024年5月に大規模な太陽フレアがあって新聞やテレビのニュースでも取り上げられた関係からか、見学者が例年よりも多かったようです。
「予報を確認するスマホアプリとかはないのですか?」と伺ったところ、アプリはないけれど、メルマガに登録すれば、注意報が出たときにメールでお知らせしているとのことでした。
早速登録してみたところ、すぐに「急始型地磁気嵐」の発生を知らせるメールが来ました。磁気嵐って、わりと頻繁に起きるものなのですね。太陽フレアの活動は、2025年頃をピークに活性化しているそうなので、今後も宇宙天気予報は要注目です。

高信頼・高可塑B5G/IoTテストベッド

B5G(Beyond 5G)の利活用に関する研究のためのテストベッドです。特にアプリ・ネットワーク・通信網(B5G)の融合領域を対象としていて、例えば車載したB5G対応のIoTデバイスが実際に町中を多数走行した場合にどのような状況になるか、実機とエミュレーションを混在させて検証ができるとのことです。デモでは、研究所の周辺に100台の自動車が走行している状況を仮想的に実現していました。自動車は1台ずつLinux 上のコンテナで実現したエミュレータで、1,000台くらいまでは現状の実装でできそうだけれど、実用的な100万台規模にするにはコンテナを広域に分散配置しないと物理的に動かせないなど、解決すべき課題があるとのことでした。

最先端ICT研究を支える「ものづくり」

NICTの各研究室では、研究を進めるために専用の機器や装置が必要になります。通常は市販品や特注品を外部から調達するのですが、NICT内部でもそうした装置類を内製する仕組みがあるそうです。
担当の方にお話を伺うと、研究に使う装置類は年度単位で予算化して調達するため、年度の後半に必要になった装置を外部から調達するのが難しいので、内製できるものを研究者に提供しているとのことでした。こうした内製化の取り組みは知らなかったので、非常に興味深かったです。
事前に「NICT探検ツアー」を予約すれば、製造現場を見せてもらえるそうなので、次回行くときには必ず申し込もうと思いました。


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