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起業メモ #08 事業所得 or 給与所得

会社設立関連からちょっと脇道にそれますが、個人事業主が報酬として受け取ったものが、事業所得になるのか給与所得になるのか、というお話です。結論としては判断が非常に難しく、報酬を支払う側でどちらかを判断して決める必要があるようです。

給与か報酬かで源泉徴収税率が異なる

大前提として、個人事業主に支払われる給与や報酬は、大抵のものが源泉徴収されて支払われます。どのような支払にどれくらい源泉徴収が必要かは、かなり複雑な話なのでここでは割愛して、国税庁「令和6年版 源泉徴収のしかた」のリンクを貼っておきます。

このうち、「給与所得の源泉徴収事務」と「報酬・料金等の源泉徴収事務」を見ると、給与と報酬で源泉徴収の考え方が大きく違うことが分かります。
給与所得の場合、支払われる給与の額によって源泉徴収税率が異なり、これは「税率表」に具体的な数字が載っています。
一方、報酬については概ね、100万円未満であれば10.21%と決まっています。

源泉徴収されるまで給与所得が事業所得か分からない問題

今回このテーマで書いた理由は、事業所得として受け取るつもりだった「報酬」が、支払われて初めて給与所得であることが判明した、という出来事があったからです。雇用契約を結んでいなくて、支払われている名目も「報酬」だったので、事業所得だと思い込んでいましたが、実際に支払われた際の源泉徴収額が10.21%ではなかったため、給与所得であることが判明しました。
このように報酬を支払う側と支払われる側で認識が食い違うのは、どうやらそもそもどちらかを判定するのが難しい、というところに起因しているみたいです。

給与所得 or 事業所得は多面的に判断しないと分からない

この問題について、国税庁のホームページに「源泉所得税における給与等の課税の取扱い」という論文があり、これを読むと判断がとても難しいことがよく分かりました。

この論文によると、「給与等該当性を肯定する要素」と「給与等該当性を否定する要素」をそれぞれ確認して、どちらがより強いかによって判断するべき、とのことでした。
「報酬」という言葉だけで事業所得になるというものではない、というのが今回の学びでした。

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