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77歳 #05 骨髄異形成症候群の母をみながら、仕事を継続する難しさ

仕事と介護の両立

私が会社勤めをしながら、どのように介護がスタートしたかを少し書きたいと思う。

私は内勤で、パソコンでデータを作る仕事をしていた。
外回り社員とは、仕事の内容が完全に別になっていたのだが、ある日、主要取引先からの発注が激減し、毎日出社しても仕事がないという事態になった。
朝パソコンを立ち上げてもメールは0。
ちょうど良い機会だと思って、私はテレワークを希望した。
テレワークで仕事しても、仕事が少なすぎて半日で終わってしまう日もあった。
ブラック企業なら
「どこでもいいから飛び込み営業してこい」
「土下座してでも仕事とってこい」
と言われたものだが、そういう体育会系ではなかった。

病院付き添い

テレワークで仕事を片付けて、母に付き添って病院に向かった。
1日かかりそうな時は有給をとった。
会社の人には理由を言わなかった。
「付き添い必要?」と言われそうな気がしたからだ。
母は10歩あるけば胸を押さえて立ち止まり、医者からは容赦なく早口で説明され、点滴スタンドをゴロゴロ押してトイレに行くだけで息が切れる。
本人は「1人で行ける」と強がっていたが、無理やりついて行っていた。
寝たきりではなく、ギリ歩けたので、まだ「介護」の認識はなかったが、いつふらついて転倒するか、気が気ではなかった。
だいぶ後になって、テレワーク中に病院に行っていたことがバレて、ちょっと注意は受けた。

介護休業制度

厚生労働省が定めた「介護休業制度」というものがある。
その制度によると、対象家族が1人の場合は年5日まで休業できるらしい。
5日か...。
週1で通院してたら1ヶ月で終わるな。
その5日の休みと有給で、施設入居やデイサービス等の手続きをするのが、正しい使い方のようだが「介護」の状態ではなく、病気の場合は使えるサービスがない。
要介護認定が出ていて、病院に行って診察と薬もらってすぐ帰れるような病気なら、ヘルパーによる「通院介助」が使えそう。
会社での出世を優先すれば「病気の親ほったらかし」が普通だろう。
識者は「親が要介護になっても会社を辞めるな」と簡単に言うけど、結構難しいのではと思う。

働き方を変えるか、仕事を変えるか

仕事はどんどん減り続け、もともと夜勤の仕事をしていなかった人まで、夜勤をするようになっていた。

社員の半分くらいは暇を持て余していたが、片道500km日帰りのような謎案件を引き受けている人もいた。

夜勤も出張も、前日とかに突然通達する。
健康で単身の人にはピッタリの会社だ。
痩せて見た目が弱そうな私には、夜勤の力仕事の指示はなかった。

最終的に私は解雇になった。
理由は「会社都合の解雇(事業不振による)」だった。

「夜勤もサビ残も、なんでもするからクビにしないで」
と懇願する気はなかった。

収入か安心かの二択

母が明け方に苦しみ出して、早朝起こされたこともあった。
「大丈夫だから仕事に行け」と追い出されるように出勤した。
仕事から帰ったら、玄関に倒れている日もあった。
風呂から出たら起きれなくなってしまったらしい。
毎日ではなかったが、これがいつまで続くだろうかと考えていた。
解雇されて良かった…と少し安堵した。


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