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古典を読むための用語集「三大神勅(さんだいしんちょく)」➁

 前回かなり久しぶりに登場した(天皇陛下の御退位と御即位にともない登場した「三種の神器」以来)【 古典を読むための用語集 】でとりあげた「三大神勅(さんだいしんちょく)」の続きです。

「宝鏡奉斎(ほうきょうほいさい)の神勅」
この鏡をわたしだと思い大切にまつりなさい。

 天照大神が三種の神器の鏡を授け、その鏡を大神と同じように地上でまつることを命じられた神勅です。鏡はのちに伊勢の神宮におまつりされ、宮中では分霊(わけみたま)の鏡をおまつりするようになりました。御大礼(ごたいれい)において陛下がまず伊勢と宮中の大神にご奉告されたように今も大切にされ、伊勢の神宮は人々からの崇敬もあつく、宮中でも大神に私たちのの平安を願うおまつりが陛下によって行われています。(神代紀 第九段 一書第二)
 
「斎庭稲穂(ゆにわのいなほ)の神勅」
わたしが高天原で育てた神聖な稲穂をあなたに授けましょう。

 天照大神が「人々の食の中心」として天上の田んぼで育てた稲を地上に授けたことを伝える神勅です。毎秋、宮中や全国神社で行われる新嘗祭(にいなめさい)は大神からの賜り物であるコメの収穫の感謝のおまつりです。天皇一代一度の大嘗祭(だいじょうさい)においても天皇みずから神々へと新穀を供えられ、国と人々の繁栄が祈られます。日本においてまつりや食文化と分かち難い稲作が、神代から受け継がれてきたことを示しています。(神代紀 第九段 一書第二)

『日本書紀』
『日本書紀』は、養老(ようろう)四年(720年)に成立した日本最初の公式な歴史書であり、令和二年はそれから1300年の記念の年です。
『日本書記』は神代(かみよ)の話からはじまり、その中で皇祖(こうそ)・天照大御神(あまてらすおおみかみ)は三つの神勅(おことば)を子孫に授けます、この「三大神勅(さんだいしんちょく)」は大神のお考えによって天から降(くだ)った天孫(てんそん)・瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)より現代に至るまで天皇と国民のこころと共に大切に受け継がれてきました。

(神社本庁「日本書記一三〇〇年記念 三大神勅(さんだいしんちょく)」より引用)

※語の読み
・大礼…たいれい=朝廷の重大な儀式。即位・立后などの類。今はもっぱら即位礼にいう。大典。<広辞苑>
・新嘗祭…にいなめさい=天皇が新穀を天神地祇にすすめ、また、親しくこれを食する祭儀。古くは陰暦11月の中の卯の日に行われた。近時は11月23日に行われ、祭日の一つとされたが、現制ではこの日を「勤労感謝の日」として国民の祝日に加えた。天皇の即位後に初めて行うものを大嘗祭(だいじょうさい)という。にいなめまつり。しんじょうさい。〔冬の季語〕<広辞苑>


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