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サボイのカメ日記-16 カレ… じゃなかったカメの好きな仕草ベスト5 / 第5位

わたくしごとで大変恐縮ですが
カレの好きな仕草ベスト5 ならぬ
カメの好きな仕草ベスト5を考えてみました。
本日はベスト5位です。

第5位
食事の時に手の甲で
荒々しく口を拭うしぐさ *


あの無骨な手の甲でせっかちに拭ったことが
どれだけ役に立っているのか
ちょっと分かりづらいのだけど
カメは食事の時、
口にしたご飯の収まりが悪そうな時などに
しょっちゅう口を拭っている。

本人はちゃんと拭ってるつもりだが
全く口に届いていなくて
水を掻いているだけのこともある。

口を開けながらご飯を噛むので
ガシガシと砕かれたご飯が細かい粒子となって
水の中にワシャワシャと広がっていく。

「行儀が悪い?行儀ってなに?」
と、言わんばかりの荒々しい拭い方で
「ビックマックなんてペロリだよ。」
と、言っているかもしれません。

なんだか私は
これに弱い。

「あらあら、もぉ、そんなに汚して〜
慌てて食べたらだめじゃない〜。」
と、口では言いながら
この荒々しさを喜んでいる自分がいる。

カメの手脚の少し逆立つような皮膚
本能以外は何もない仕草

それらをじっーと見ていたら
どこからともなく
なまぬるい風が
ほら、じんわり吹いてきた。


足元がぬかるんで滑ったので見ると
買ったばかりの白いスニーカーの踵に
煤色の泥がついた。

切り立つ山の斜面中腹の窪みで
私は息を潜めている。
自分の身長くらいの大きな石壁の影に隠れている。

ここはどこなんだろう?

前方には削り取ったような山々の稜線が
夕暮れの少し前の空に連なって見える。

万が一でも落ちないようにと慎重に
目の前の石壁に両手でつかまると
ざらっとして乾いた砂が下に落ちて行った。

ただならぬ気配にそうっと下を覗くと
下は広大な大地が広がり
そこには、思い思いに過ごす
ティラノザウルスの群れがあった。

彼らの息遣いや喉を鳴らす音は
思いのほか大きく響いて聞こえて
まるですぐそばにいるかのようで恐怖に感じた。

一瞬、目線がこちらに動いた気がして
私に気が付いたかと思ってギョッとしたが
肉厚の尻尾が次々と波打ち彼らは走り出した。

群れ近くに迷い込んだ一頭のトリケラトプス
を追いかけて行ったようだ。
できることなら私も一緒に追いかけたい!
私も恐竜になりたい!

ゔおぉぉォォォン !!
たまらず恐竜を真似て吠えていると
静かにトントンと背中を叩かれた。

「どこまで行ってるんだよ、探すの大変だったぞ。
早く水を換えてくれよ。」
「あ、ごめんごめーん。帰ろ帰ろー。」

第4位につづく

カメの預かり期間まで
あと 22日。


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