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ミスタードーナツ、マクドナルド、ケンタッキーフライドチキン

十数年前に近くにできたショッピングモール。
私はそれを未だにフルネームで呼んでいる。


周りは皆略称で呼ぶけれど、私にはどうしてもそれができないし、今更呼ぼうとも思わない。

そんなの誰も気にしてないよ、と思うかもしれませんが、そういうことではないのです。
自分の中でそう呼ぶのがなんか気持ち悪いのです。



略称で呼んだり、流行りの言葉をすぐに取り入れること。

きっとそれをすぐに使える人というのは、適応能力が高い人、人との距離を縮められる人なのだろう。そして輪の中に入って楽しんだり、好かれたりする傾向にあるのではないか。

私はというと、輪の中に入りたいわけでもなければ、誰彼構わず好きになられたいわけでもない。そう、適応に関する能力を私は全く持ち合わせていない。


ではなぜそんな私でも、ミスタードーナツをミスド、マクドナルドをマック、ケンタッキーフライドチキンをケンタ、中央林間を中林、と呼べるのか。


それはまだ10代だった私には、輪の中に入りたいと思う気持ちがあったし、入れるとさえ思っていたからだと思う。


その努力は無駄ではないけど、ちょっといいなと薄い憧れを抱きつつ、いざ入ったら居心地が悪く結局自分には向いてないからいいや、と気づくと楽であるぞ。よくぞ気づいてくれた私。



そうして年に一度行くか行かないかの場所を、今でも私はしっかりフルネームで呼ぶ。

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