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嫌なことを反芻してしまうとき、頭を空っぽにしたいときにおすすめのコンテンツ処方

今回のコンテンツ処方(※)では「嫌なことを反芻してしまうとき、頭を空っぽにしたいとき」におすすめのコンテンツを紹介をします。タイトルは「ぬりえBook どうぶつたちの花時間」です。

■コンテンツ処方とは?
当院で実施している、相談に来てくれた人のしんどさを軽減するのに役に立つかもしれないと思った本や作品を紹介する仕組みのこと。
 
※「処方」というと堅い響きがありますが、薬のように医学的根拠があるものではありません。
※この記事で紹介するストーリーについては、本人の許可を得たうえで掲載しています。

▼詳しくはこちら
https://note.com/saveclinic/n/n58c59a653b83


1.今回のコンテンツ処方:「ぬりえBook どうぶつたちの花時間」

はじめまして。スタッフのネコのすけです。今回のコンテンツ処方を担当します。

今回の記事では、私がぬりえブックに取り組んだ経験から、大人になってからするぬりえの面白さや楽しみ方を紹介します。

ぬりえと聞くと、「こども向け」というイメージを抱く方もいるかもしれません。私自身、ぬりえをしたのは友人に誘われたからで、それまでは幼稚園生以降ぬりえをする機会がありませんでした。

しかし、じつは「大人向け」のぬりえの書籍は続々と出版されているんです。自律神経を整えるぬりえ、精密な線で描かれた絵柄を自分なりの色をつけて楽しむぬりえ、色鉛筆での色の重ね方を学べるぬりえなど、様々な目的に沿ったぬりえがあります。

■大人向けぬりえブック紹介
①「自律神経を整えるぬり絵」小林弘幸 (著), 藤田有紀 (イラスト)
自律神経研究の第一人者である、順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生が考案したぬりえ。

②「ひみつの花園」ジョハンナ・バスフォード (著)
精密な線で描かれた絵柄を塗ったり、ヒントをもとに線を描きこむ楽しさも味わえるぬりえ。

③「描き込み式 ぬりえではじめる色えんぴつの素敵な塗り方レッスンノート」corekiyo/スギタメグ (著)
色を塗る際に重要になる「よく観察して色を探す」ことに焦点をあてた、色の探し方と塗り方を探ってくことができるぬりえ。

様々なぬりえブックがあるなかで、私が「ぬりえBook どうぶつたちの花時間」を選んだのは、最後まで飽きずにできそうなものだったからです。好きな絵柄(動物)、様々な色を織り交ぜて塗れそうな絵柄(花や風景など)のふたつが入っていることで、楽しみが持続するのではと考え、選びました。

友人に誘われて、なんとなく気が向いたから久しぶりにやってみたぬりえ。実際にやってみると、大人になった今でも楽しめるうえに、自分のエネルギーの回復に繋がるものだと感じました。

大人になってからのぬりえ、おすすめです。

2.どんなときにおすすめ?

ぬりえをするのに、おすすめしたいタイミングは「悩み事で頭がいっぱいになってしまっているとき」や「休憩しようとして映画やマンガを楽しもうとしても内容が入ってこないとき」です。

例えば、こんな状況が具体例として挙げられます。

・「ああすればよかった」「こんなことするんじゃなかった」と一人反省会を開き、落ち込んでしまう
・勉強や仕事、家事をしているときに、過去の怒りや悲しみの感情に呑みこまれてしまい、目の前のことに集中できなくなる
・マンガや小説を読んでいても字をなぞるだけになってしまい、何が起きているか捉えられなくなる
・映画をみている最中にぼんやりとしてしまい、何度も巻き戻してしまう
・何かしたいのに、何も手に着かない(またはすぐに手が止まってしまう)

からだは元気だけど、目の前のことを楽しむ心の余裕がなかったり、何かしたいという気持ちが薄れてしまっている……。

そんなときに、ぜひぬりえにチャレンジしてみてください。

3.ぬりえの楽しみ方

つづいて、私なりに考えたぬりえをもっと楽しむための方法を共有します。

全体の流れはこちら。

①好きなページを選ぶ
②たくさん色鉛筆を用意する
③好きなように塗る

ポイントとなるのは、「こうである」を取っ払って色を選び、「正解」を求めないことです。ぬりえで正解を求めると窮屈になってしまいます。

そもそも、ぬりえは自由に塗ることがゆるされているところ。絵を見て、この色がいい! と思った色でどんどん塗ってしまいましょう。草を青く塗っても、シマウマをピンクと黄色で塗っても、りんごをオレンジに塗っても全く問題ありません。自由にやるのが大切です。

はじめは「大丈夫かな……」と恐るおそるとなってしまうものですが、一度固定観念から離れて自由に色を塗ると解放感を得られます。オリジナリティのあるぬりえとなるため、完成したときの喜びも大きいです。

4.ぬりえの効果

ぬりえの効果として、体内に溜まっている不安や焦りなどのネガティブな気持ちをリセットできるという点を実感しています。

ぬりえでは、ただ「塗る」作業に集中します。目の前の作業の一点に集中することで、過去や未来への反芻するのを止めることができ、フラットな感情を取り戻すことができます。これは、イマココの感覚を取り戻すマインドフルネスの効果に近いのではないかと思います。

作品を完成させる「つくる」経験により、自信も得られます。「つくる」と経験というと、ゼロで絵を描いたりデザインしたりするのをイメージしがちですが、あらかじめ線を引いてあるぬりえであれば、特に経験がなくとも気軽にできる点がとてもよいと感じています。

5.私とぬりえ

私が大人になってからぬりえに挑戦したのは、自分の理想と現実のギャップに苦しんでいた時期です。

私には、適応障害を経て休職した経験があります。他者からの期待に応えすぎたことが原因のひとつであったため、それ以来「無理すればできる」方ではなく「無理しなくてもできる」方を選択するようになりました。選択の仕方を変えたことで、当時は少しずつ回復することができていました。

しかし、元々理想を高くしてしまうタイプなので、現状には満足できていませんでした。頼まれたことを上手くできなくて落ち込んだり、休職を経験している友人が全快して活躍しているのを見て焦ったりしていました。

無理しないようにしたことで、自分の心に余裕を持てるようになった実感があった一方で、無理しないことで失っていく”やれること”がどんどん減っていくような感覚があって怖いと感じていた部分もありました。

そんな焦りと不安でいっぱいになっていたとき、友人から遊びの誘いがありました。それが「みんなでぬりえしよう」という誘いだったのです。仕事のやり取りばかりのメッセージの中でそんな言葉が届いたことがうれしく、すぐに返事をしてはぬりえ用の本を購入し、新しい色鉛筆まで購入しました。

当日まではただ遊びに誘われたことがうれしかったのですが、実際にぬりえをして驚いたのは、あらゆる負の感情がリセットされたことです。

はじめはどこか「ちゃんと完成させたい」という気持ちが強かったせいか現実の色に近い色を厳選して色を塗っていました。しかし、慣れてからは「自分ならではのものにしたい」という気持ちが芽生え、現実がどうであるかとは関係なくピンときた色を選び、色を塗っていきました。

こうして自由にぬりえをしているうちに色を塗るのに没頭し、完成するころには清々しい気持ちになっていました。

それからは、何も手に着かない時、ストレスフルな議論の後、パソコンやスマートフォンの画面を見たくみたくないときなどにぬりえに取り組むようになりました。

すると、絡まっていたひもが解けるように心の中に渦巻いていた負の感情が無くなっていくのです。ぬりえを一枚完成させることで得られる小さな成功体験は自信にもなります。

ぬりえを完成させることは、仕事に繋がるなどの直接的な効果はありません。しかし、自分には「できる」ことがあるということを思い出させてくれる存在ではあります。いまの私にとって、ぬりえは少し気持ちが落ちたときに自信を持って日常へ戻っていくきっかけとなっています。

6.最後に

この記事を書いている最中に、またぬりえがしたくなりました。この記事を読んでいるあなたはいかがでしょうか。もし、少しでもぬりえの良さに共感していただいていたら、ぜひ今後の回復のツールのひとつとして取り入れてみてほしいなと思います。

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