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夏休みその②~夏瀬温泉『都わすれ』~

2024年8月21日(水)~23日(金)。
義母が一人で住む秋田に。
一応「秋田市」だけど、人っ子一人いない(たまに土木作業員は見かける)どどど・ド田舎の一軒家。
おじーちゃんもおじさんも、男どもはみんな亡くなり、一人暮らしの義母は、1年ぶりの息子夫婦との邂逅を喜び、終始ご機嫌であった。

初日~新幹線こまちで〜

朝9時。東京メトロで東京駅に向かう。神経質な夫は朝の込み合う電車で、乗車客とぶつかったりするとヒステリーになるので、私はあえて違うドアから乗車しておいた。
めんどくさい人とは距離を置く--人生の大切な教訓。

東京駅から秋田駅までは約4時間。グランスタで『刷毛じょうゆ 海苔弁』『ゆーパイむ』を買い込み、長時間の移動に備える。なお、私は駅弁恐怖症なので、The 駅弁的なもの(牛肉どまんなかとかそういうの?)は極力避けている。わかる人いません?この気持ち。

車内では寝たり、食べたり、映画観たり、また寝たりの繰り返しで4時間なんてあっという間だった。

秋田駅降車後、先に自宅送付用の日本酒を6本セレクトして発送。何が何でも地酒を入手しなくてはならない。お酒選びってなんでこんなに楽しいんだろう。

じっくり日本酒を吟味した後は、レンタカーで義実家に。途中、ちょっとした市場でお刺身や生ガキ(殻付きの岩ガキが200円!)、鶏皮揚げを買う。お義母さんはあんまり料理上手ではない(失礼ですが、本人も息子もそう言ってるんです……)ので、食べたいものは自分たちで入手するスタイル。

息子夫婦との再会のセレモニーの後、入浴のため地元のスーパー銭湯に向かう。いつもは散々人を待たせる夫であるが、17:30夕食開始(お義母さんの習慣に合わせて)を死守すべく、超特急でシャワーを済ませたようだ。
一方、私はほぼ無風なのではないかと思われる平成初期製造の脆弱なドライヤーに苦戦し、結局、生乾きの髪の毛をタオルでくるんで脱衣所を出た。クレームレベルのあのドライヤー。3,000円もすれば普通のが買えるから交換してくれ。支配人。

食卓には、先のお刺身などのほか、ジャガイモの醤油煮、冬瓜の醤油煮、ホタテの醤油煮、ニシンの醤油煮……大皿にどかっと盛られた真っ黒いお惣菜が並ぶ。

テレビで紹介されるような一見素朴な田舎料理は、実際にはかなりあか抜けているのだ。

感じ悪いのを承知で言うが私も夫もあまり箸をつけなかった…。

無理して食べようとすると、義母に会うのが苦い経験になってしまうので、あまり食べたくないものは食べない行動を示すことにしている。

私は子どもの頃、年配の親戚のおばちゃんの料理が食べられなくて、よく怒られていた。でも今なら言い返すだろう。「甘いから口に合わない」と。苦手なものを無理やり食べさせるのは子どもにも、お嫁さんにも、お婿さんにも苦しい。

作ってくれた人の気持ち完全無視と言われても仕方ないが、義母宅での食事がトラウマになって寄り付かなくなるよりいいだろう。
なお、お義母さんも極端な偏食(肉類、脂身の多い魚一切ダメ)なので、食事を残すこと、残されることに対して嫌悪感がないようである。
ただし、「食べれ〜」「飲めれ〜」攻撃の手は緩めない。

ほんとすみません。わがままで。

2日目~角館から夏瀬温泉へ!~

2日目の朝。朝食は不要と事前にインプットしていたのだが、義母は「昨日のごはんが残っていてもったいない」とのことで、息子のために大量に握ったけど、誰も食べなかったおにぎりとジャガイモをもさもさ食べてた。

一方、人の心のない夫婦は、煙草吸ったり、コンビニで買ったカフェラテを飲んだり、布団の上でYouTubeを観たりして、出発の9時まで自分勝手にふるまっていた。
自由すぎるスタイルをここでも貫く。

角館

レンタカーに乗車後もお義母さんは終始ニコニコ。というか、興奮冷めやらぬ様子で後部座席でずーっとしゃべり続けていた。たいがいは「ご機嫌なんだな」と思うのだが、かなり危険な山道を走行している間や眠気ピークの時に「ありゃぁ」「たすかった」「えがったぁ」「うわぁぁぁ」など、感嘆を示すフレーズを連発されると若干イラついてしまった。

私は父の実家も東北にあるので、よくきいていたのだが、うまくいったとき、リスクを回避したとき「助かった」というのは、東北だけなのだろうか? 年配の人がよく使うこのフレーズ。 「神のご加護」「お天道様のおかげ」的な意味なのではないかと、以前より推測していた。
義母に聞いてみようかと一瞬思ったが、どうせ「わかんね」と言われるので、気が向いたらネットで検索してみようと思う。
基本、1ラリー以上の会話は成立しないので--自分で話をふっておきながら、「しらね」「わかんね」で帰着する--そういうもんだと割り切っている。

簡単に義父のお墓詣りをしたあと、ブランチをとるため、角館を散策。

去年ほど暑くないので快適に散策できた

事前にインスタで検索しておいた『あごだし稲庭うどん 古泉洞』ですだちうどんを食べる。

角館に限らず、秋田の観光客向けの店は、比内地鶏の親子丼、稲庭うどん、きりたんぽ、横手焼きそば、そしてなんにでもついてくるいぶりがっこが主力メニューである。もうちょっとバリエーション増やしてもいい気もするけど、手堅くいきたいんだろうな。

酸っぱいの大好き
旦那が鮎の天ぷら1つくれた

私的にはうどんの中で稲庭うどんが一番好き。細麺で五島うどんみたいな粘り気が少なく、食べやすい。

そして、食事のあと、私がずーっと楽しみにしていた器のお店に!

小さく感動。また来れた

こちらでは、高齢の義母と息子を置き去りにし、思う存分、器を選ばせてもらった(途中で飽きた義母は店の外に行ってしまった)。

昨年の来店時に初めて出会った雪ノ浦裕一さんの器が入荷されていたので、何点か…いや、予算の3倍ほど購入させていただいた。
あああーぁ。もう素敵すぎてうっとり。一人だったら2-3時間滞在できるけど、大人だからそれでも早めに引き上げたわ。

東京に帰ったらこのかわいい子が待っている!

抱返り渓谷

お義母さんが歩き疲れたようなので、駐車場に戻り、宿の途中にある田沢湖を目指す。女子2人は「もう観光はいいからはやく宿に直行してほしい」と直訴したのだが、ドライバーはどうしても抱返り渓谷に行きたいらしい。
結局、女子が車のなかで昼寝している間に、おっさんは1人で抱返り渓谷を散策してきた。暑いし、小雨降ってるし、冷房の効いた車内にいてよかった💛

アルバムができてよかったね。

いざ!都わすれ

さて、今回のメインイベント。美食の宿『都わすれ』へ。

チェックインの際、2年連続での宿泊ということで、スタッフ、おかみさんにえらく歓迎された。なんか、くすぐったくなっちゃうぐらいのおもてなしだった。

ウェルカムビール
お部屋からの眺め
部屋風呂


おかみのコレクション
ちょっとしたライブラリー
中庭でまったり

夕食

温泉でさっぱりしたら、夕食。もうほんとに楽しみにしすぎて、クラクラしている。だって、昨日は地元のものとはいえ、スーパーで買ったお刺身だったし、こんな遠くまで来て超絶美味いものを食べなければ不完全燃焼すぎる。

地元の山菜やキノコを使った前菜。田沢湖ビールがぐいぐい進む
おさえておくべき稲庭うどん
ヒラメ
フカヒレ
ビーフシチューまで!
ノンアルのスパークリングをつかったデザート
枝豆の器、ステキじゃないですか?
この光景好き

この旅館は立地の特殊さもあり、廃業寸前の寂れた施設だったらしいのだが、東京で働いていたおかみさんが一念発起し秋田で1番の旅館に復活させたらしい。おかみさんがいなかったら、こんなに美味しい食事も、快適な寝床も確保できなかっただろう。おかみさん、サイコー。

ちなみに、こちらのおかみさんは、乳頭温泉でも宿を経営されている。

乳頭温泉といえば『鶴の湯』が有名だが、私的には断然『妙乃湯』である。秘湯と郷土料理を堪能したいなら『鶴の湯』でもいいのだが、湯治場っぽいので、快適性に不安が残る。(食事は和室でお膳で出されるので、足つりそう。)あくまでも私見ですが……。

部屋に戻って、まったりしたら、ウィスキーをちびちび飲む。お義母さんは下戸なので、緑茶と洋ナシジュースと便秘対策のせんな茶(持参)を飲んでいた。この親子はお腹が弱いらしい。

頭痛になると明日がもったいないからほどほどで退散。和式に敷かれたお布団で爆睡。

3日目~東京へ~

朝6時起床。いつもは寝起きは超絶機嫌の悪い夫も今日は違う。
9時の朝食まで時間があるので、足風呂したり、デッキチェアでぼんやりしたり、家庭画報を読んだりして過ごした。
相変わらずお義母さんはしゃべっている。今日が終わればまた一人の生活に戻るが、気分の波、落差にやられたりしないだろうか。

朝食

感動

昨年宿泊したとき、旅行に慣れていない、というかほとんど外泊をしたことがないお義母さんは、夕食も朝食も箸が進んでいなかった。好き嫌いも多いので、肉は蟹に、マグロは白身魚に変更するなど配慮していたものの、初めての料理はおっかなびっくりらしく、「食べれね」とかなんとか言っていたのだが、今年はおおむね完食できていた。

最初はあまりにも食の選択肢が少ないので不思議であったが、これまでの人生を振り返れば、まあそうだよなぁ、と。
もう、女性を家に閉じ込めて、一人で電車も乗れない、飛行機のチケットもとれない、喫茶店にも入れない状況は無くさないと。
そうでないと後々本人も困るし、お世話する家族も困る。

帰京

義母を自宅に届け、秋田駅に向かう。もっと感傷的な別れになるのかと思ったが、意外にそうでもなかった。

それにしても、この巨大な平屋に一人暮らし(熊も出没する)するのも、そろそろ潮時ではないだろうか? 息子はいたった呑気、もっと言えば無責任であるので、もしかして私がけん引しなくてはならないのだろうか? 
伯母、母、それらを取り巻くめんどくさい親戚のオヤジと対峙している今、義母のことまで抱え込むべきなのか? これまでの経験でどのくらいでメンタルダウンするかわかってきたので、慎重にならなくては。経済的負担もあるし、とりあえず、実母も「頼りない」と認定した息子に考えてもらおう。

帰りのこまちは騒ぐ子どももいなくて、静かだった。4時間ほとんどぼーっとしていたが、「ハレ」から「ケ」への緩やかな移行期間は必要だ。

夜8時、自宅に到着。荷ほどきして、シャワーを浴びて、お土産の比内地鶏の燻製や、いぶりがっこチーズや、日本酒を飲む。酒が進むったらもうほんとに。

この3日間、田沢湖ビールをたらふく飲んだ。今週は一度もジョギングしてない。絶対に太ってる。やっぱり痩せたいから、明日は走る。


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