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LOVE LIFEを観て

先日、深田晃司監督の『LOVE LIFE』という作品を観てきました。
深田監督の作品は、『淵に立つ』と『よこがお』のみ見ております。言語化できない人間の嫌な面であったり、隠している面を、わかりやすい言葉にすることなく、言葉数少なく描く作品が多い印象です。
そんな深田監督が「愛」をテーマにメガホンをとったのが本作であります。

はじめに一言感想として、「深田晃司には見えてる世界が違う」ということが挙げられます。愛を描いた話であるはずが、どうも私にはホラーにしか見えなかったからです。深田監督の思う愛の形が、我々が考えているような、告白して、付き合って、結婚して、子供産んで、老後も一緒に仲良く…的なものではないということだけがはっきりとわかりました。むしろ、そのようなものが崩壊し、そこに愛が生じる、もしくは崩壊した中で愛は果たして残るのか問題提起しているような映画でした。ライアン・ゴズリングの『ブルーバレンタイン』も愛の崩壊を描いた名作ですよね。

愛の話はここまでにして、本作は、「目と目を見て話すことの重要性」についてもかなり面白い角度から考えさせてくれます。
コミュニケーションの基本として相手の目を見て話して、目を見て聞くと良いよとよく言われますが、ここにも深田監督は疑問を抱いているわけです。なんとなく結末を言うと、主人公は目と目があうことに重きを置いているのですが、目と目があっていて通じ合っていると思っていた人物と、本当は通じ合っていなかったという現実を目の当たりにします。目と目が合っているからって通じ合っているとは限らないよ、コミュニケーションしたつもりになってない??って深田監督は観客に問いかけているわけですよ。私はドキッとして怖くなりました。

この他にも、いろいろな映画的仕掛けが散りばめられています。かなり哲学的・文学的で、集中しないと、何言ってるかわかんないみたいな作品で、賛否もかなり分かれていますが、『LOVE LIFE』とは名ばかりにかなりえぐい切れ味の作品となっておりますので、是非ご覧になってはいかがでしょうか。

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