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(This is The)Base Ball Bearを見た。

エビ中にハマっている。
毎日エビ中を聞いて、2週間後に控える秋田に思いを馳せている。
とりあえずエビ中聞いとけば楽しいでしょ!という気持ちの元毎日を過ごしているのだが、エビ中にハマる前、そのポジションにいたのがBase Ball Bearだった。

12年前。
初めて武道館を見た時から、彼らはゆるぎようが無いロックバンドなのだ。湯浅が脱退したあとも、3人は3人でメンバーにプライドを持ってスリーピースに転向し、晴れて今日3人だけの武道館が大成功に終わった。

ライブを見たからこそ思う、『RHYMESTER来たらあついな』『あっこちゃん来ないかなー』という、ベボベ以外のキャストが野暮に思えるほど、3人のライブが素晴らしかった。
Base Ball Bearは時期的にも曲的にも、青春感があって『昔は聞いてましたよ』と言われることが多いのだが、現役でめちゃくちゃかっこいいし、今が一番カッコイイ。

そもそも、ロックバンドのかっこよさとはなんだろう。パフォーマンスや楽曲の良さは当たり前として、ライブがいいと言われてる人ってやっぱりバンド感とか、フレッシュさだと思うのだけど、ベボベの今回の1番良かったところは未だに学校終わりにスタジオに閉じこもって楽曲を作ってる青春感と、20年の還暦を背負ったいぶし銀感だと思う。

MCで言っていた『僕達は大ヒット曲もないし賞も貰ったことがない無冠のバンド』と言っていたけど、今回のライブの集客を見ても、今日のライブが一瞬で忘れ去られるようなコンテストの称号より価値のある20年だと思う。そして、『大ヒット曲がない』と言いつつ、今日のライブの全員が『大ヒット曲しかないんだけど?』と疑問符を浮かべるくらい、大ヒット曲級のそれがあった。

客入れSEで東京ハチミツオーケストラが流れたり、telephonesが流れたりしてたけど、当時の空気を感じつつ『おい、あれだけアイアムディスコしてたのに、みんなどうしちまったんだよ...』と少し寂しくなりながらもライブが始まる。

十七歳のあの時間から、Diary keyの最新モードでライブをスタートして、今日のベボベがめちゃくちゃ仕上がってることが伝わってきた。
Diary keyとかなんなんですか。ラストの掛け合いとか超切れてるし、このスリーピースのアンサンブルを聞く度に、3人で続けてくれてありがとうになる。そこからラブマスに入っていく訳だけど、音圧のジェットコースター感がすごくて、この3曲だけで初めましての人にも、久しぶりの人にも『今のベボベってこうですよ』という、自己紹介としての機能をきっちり満たしていた。
ラブマスとか、久しぶりにライブで聞いたし湯浅がいた時のテクニカルな絡みとかが特徴的なんだけど、それをカバーしてしていて本当にカッコ良かった。
GIRLFRIENDとかLoveletter from heart beatとかドンピシャの曲も懐かしかった。

というか、鳥肌だったのは初恋ですよ。初恋。
初恋はライブで聞いて毎回泣いちゃうし、音源も大好きなんだけど、やっぱり今日も泣いちゃったし、

この恋を終わらない最初の恋にしよう
最後の恋にしよう

のラストから終盤にかけてがかっこよすぎる。
この一説に物書き小出祐介が詰まっている。
それまで、青春の腫れた惚れたを歌ってきたのに腹を決めて、その恋に向き合う決意をした曲だし、そういうつもりは無いにせよベボベの意思みたいなのを感じた。

ポラリスとか3人だからこその曲で、それぞれのソロパートもあって全員歌うし全員弾くしで、スリーピースでやる曲としての完成系だと思うんですが、今のメンバーがより愛おしく思える。本当にバンド続けてくれてありがとう。

ホワイトワイライトもデビュー前からやってる曲だからこそ、そこからの地続き感みたいなものを感じて、エモかったしそこから海へとchangesに繋がるのはほんとに美しかった。
長々書いてるけど、結局『この3人が好き』って着地点になってしまう。そして、その好きにアクセスする道のりまでを、遠回りしたり、脇道に入ったり言葉をこねくり回しなが、語りたくなるのが今日のライブのよかったところだと思う。

あとね、海になりたいPart3なんですが、やっぱり名曲が過ぎるんですよ。海になりたいってなんなんですか?誰も『そうだよね』とならないし、本人も『なんなんですかね?w』って言っちゃうくらいふわっとした言葉だけど、その『なんなんですかね?w』がベボベの在るべき形だと思う。

すべては君のせいで から 「それって for 誰?」Part1の流れも良くて、4人時代に究極に煮詰めた完全体を、あそこまで昇華するのは流石だし、SNSのこと歌ってるのに、『カニバルカーニバルが盛況』とか、こいちゃんの言葉が鋭利すぎる。
だからこそ、歌詞を紐解く楽しさがあって歌詞を読みたいオタクとしては沼なんですよ。

十字架もThe cutも、3人の持ち味のバンド感が超でてて、The cutとか4人ではなくなった時に『あ、もう聞けないかも』とか思ってたんだけど、RHYMESTERも入れないで定期的にやってくれて嬉しいし、何よりこの辺のテクニカルバンド感がめちゃくちゃ好きです。
ベボベって3人とも高度な事やってて、それが垣間見えると嬉しくなっちゃう。

Starewayのイントロは爆上がりするし、周りの人騒いでごめんねの気持ちだった。
本編ラストのドラマチック。思えば、最初の武道館の1曲目がドラマチックで、自分のベボベはそこからスタートなので、今回の集大成の最後にドラマチックが聞けて、気持ち的にも1回目の武道館と繋がったなって気がします。

アンコールの風来。めちゃくちゃ好きで、個人的な話になるけど、クソほどしんどい失恋をして、気を紛らわすために四国旅行に行って、その最中に聞いてた曲だったから思い出がえげつない。風来のおかげで『まぁ、こんな旅もありだよな』と思えたし、そこから一人で旅行することのハードルがなくなって、定期的にするようになった。
いつだってイヤホンからは風来が流れてたから、風来をもって全国を回りたいっていう発言は、とても嬉しかったしまた聞きたいなと思う。

夕方ジェネレーションが無事回収できたこと。
20年やって、めちゃくちゃかっこいいけどいつまでたっても、切なげなメロディがお似合いのジェネレーションで、その光景が最高だからベボベから離れられなくなってる。
とうの昔に終わった青春を濾して濾して、ほぼ白湯みたいなものしか出ないコーヒーフィルターに未だに期待してしまうのは彼らのせいで、いつ待っても夕方世代から脱却することができない。

最後のドライブは完璧だった。
『辞めないよ』と繰り返し言っていたけど、当たり前のように次があるのは、長く追いかけてる身としてはありがたい。
このタイミングで武道館をやるのって、やっぱり解散とかが頭をよぎるわけで、うっかりTwitterにも書いてしまったけど、バンドワゴンのドライブはまだ続くんだな。

20周年のタイミングで、こうやってあまり前のようにライブをして、当たり前のように内容が良くて、当たり前のように次に続く。力が入ってなくて、でも気合いが入ってて、当たり前のライブを当たり前にしているだけなのに、誰かの心に一生刺さって抜けないトゲになるのは、以前の武道館からは感じられない貫禄だった。

フレッシュないぶし銀とか、矛盾だらけの言葉だけど、今日のライブを一言で表すなら『フレッシュないぶし銀』としか言いようがない。
当たり前を当たり前にして、それが当たり前にかっこいいのって本当にすごい。
ライブができる世間が当たり前だった時から、情勢が変わり1本1本のライブに意味を持たせなきゃいけない世の中なのかもしれないけど、身の丈に合わない意思表示や、特別感がなくてもかっこいいのが一番カッコイイなと思ったライブだった。

思えば、最初の武道館の時は酒が飲めなくて、タバコも吸ってなかったなと思いつつ、今日会場にいた人も当たり前に、ベボベと出会った時から比べて生活が変わっている人も多いと思う。
昼間はスカスカだった武道館が、時間が迫ると同時に、仕事終わりの社会人がやってきて、過去の集客とタイになるまで埋まっているのが、一人一人にとってベボベが生活の一部にいる証だと思うし、みんな本当はアイアムディスコしたかったんだろうなと思う。
その時の流れを感じながら、変わらない最高が存在するのが、本当に最高だし本当にありがたい。
この感慨深い時間、この3500文字が(this is The)Base Ball Bear の形だと思った。

ほんとに、ベボベ続けてくれてありがとう。

生きている音がする

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