駆け出しエンジニアである我々が目指すべきところ

 私のプログラミングに対するぼやきもついに3回目です。

 プログラミングを初めて約一年半。今はある程度名のある会社2社で長期インターンをしていて、駆け出しエンジニアの中では成功した方ではないかと思います。素晴らしい社員の方々に囲まれながら、日々あらゆることを教えてもらいながら何とか業務をこなしています。

 さて、私はいわゆる文系就活、総合職就活を全落ちしてからITエンジニア就活に切り替えた人間です。死ぬほど真面目にやった人間というわけではありませんが、一応総合職就活のこともある程度把握しながらITエンジニア就活に身を投じている身です。

 ITエンジニアと一言で言っても、その実種類は様々です。フロント、サーバーサイド、インフラ、ネイティブ、ビデオゲーム、xR、IoT、組み込み、機械学習、etc... 一言では表せられません。

 ITエンジニアの中に様々あれど、ITエンジニアとそれ以外の職種の大きな違いといえば、スタートラインの違いと、仕事を趣味にできるかどうかということです。

 文系就活では大卒では20~21歳からスタート、それ以外の高卒や専門卒でも18~19歳からスタートするわけです。総合職の多くを占める営業、企画、人事、経理などの職種は、学生の間からバリバリインターンをやっていた人間を除いて、ほとんどの人間が同じスタートラインから走り始めます。

 でも、ITエンジニアと言われる領域は違います。小学生や中学生からプログラミングを始めていた人間が同じ戦場に立っているわけです。それも少なくなく、ごまんといます。Twitterを見れば、現役のITエンジニアでも解けないようなアルゴリズム問題をガンガン解いている高校生や、巨大なMAUを有するサービスを開発・運営する大学生が少なからずいます。たとえそうでなくても、情報系の学部、大学院でしっかり学んでいる学生がたくさんいるわけです。CSの学位を持った彼らは、ITの本場でもある米国で胸を張ってITエンジニアを名乗れるわけです。

 では、実績も学位もない我々駆け出しエンジニアの価値、つまり労働市場における価値とは何でしょうか?


 ハッキリ言うと、分からないのです。

 特定の業界のドメイン知識を深く身につけていて、それを開発にも活かせるならITエンジニアとしての価値は高まるかもしれません。でも多くの駆け出しエンジニアの人々は、私と同じようにそうではないでしょう。労働市場において私たちは、「プログラミングを勉強しているだけのただの素人」に他なりません。

 そう、労働市場は平等でありながら、残酷でもあるのです。金を生み出せるなら雇う。そうじゃなければ雇わない。ただそれだけなのです。

 運良く才能を開花して、「金を生み出す存在」へと昇華した人ならば、経歴も実績もない駆け出しエンジニアでも構わないでしょう。その人は自ずと成長し、立派なITエンジニアになるはずです。

 しかし、コードを一行書くだけでも四苦八苦する私たちはどうでしょうか?「何も持っていない」私たちが、実績や才能、ポテンシャルを兼ね備えた彼らと同じ戦場で戦えるでしょうか? 

 確かに、仕事を選ばなければプログラミングに関係する仕事には就けるかもしれません。設計も保守も運用もへったくれもないコードを書き続ける仕事がこの世の中のどこかにあるでしょう。学ぶことを忘れた人たちが、ゾンビのように仕事をする場所があるかもしれません。

 

 ですが、それは本当に「ITエンジニア」と呼べるのでしょうか?自分が書いたコードに責任を持たず、自分が作ったものがどうやって他の社員や顧客に届くのか知らないまま働き続けて、本当に「ITエンジニア」を名乗れるのでしょうか?


 繰り返しますが、私たち駆け出しエンジニアがどうすればいいのか、何も分かりません。どこに行けばいいのかも分かりません。所謂「強いエンジニア」とどう戦っていくのかも分かりません。労働市場においては、私たちはただの素人でしかないのです。


 では、私は何でITエンジニアを志してプログラミングをやっているのでしょうか?なぜわざわざ茨の道に進もうと思ったのでしょうか?

 それもよく分かりません。ただ目の前の楽しそうなことをやって、たまたまそれが労働に繋がって、たまたま楽しく働いているだけです。将来性もクソもありません。「強いエンジニア」に比べれば、私は無能でしかありません。

 一度もプログラミングが自分に向いていると思ったことがありません。Twitterや就活を通じて他の学生エンジニアの実力や実績を見て、その度に全てを捨ててしまいたくなる思いでいっぱいになります。なぜ自分はできないのか。なぜ同じ時間やってるはずなのに彼らと同じになれないのか。なぜ自分はこの道を選んでしまったのか。そのような思いを抱えながら日々を過ごしています。

 ただ、今目の前でやっていることが楽しいことは事実です。自分が作ったものが、自分が直したバグが、少しでも誰かのためになっていると思うことは、この上なく生きる活力が湧いてきます。

 私はとりあえず今目の前にある楽しいことに触れ続けられるならそれでいいのです。その結果、私が「労働市場において価値がない」とされて社会の淀みに沈んでいくことになっても構いません。見て見ぬ振りしてるだけで、そうなる人はたくさんいますし、ただその内の一人に私が加わるだけのことです。「世界の狂気」とはそういうものです。

 

 だからこそ、私は今目の前にある、何とか熱意の注げるものに集中するしかないのです。

 


 

 

 

 

 

 


 

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