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『サタデー内装フィーバー』 vo,2 前書き 

内装の業界と言うところには、本当に様々な人間がいる。
超一流のエリートが進む道『官公庁』や『外資系企業』
一流の人達が進む『大企業』やら『上場企業』
その上記に記されている方々とは殆ど縁のない者の集まり(内装にも上場企業は沢山あるけど)が、この内装ワールドには様々な地方から、様々な人間が様々な事情を持ってやって来る。

何故かというと、この内装業界にはハードルが無い。仮にこの内装業界が東京ドームの形をしているなら、全周全てに入口があり、
各所にいる誘導員のおっさんに一言『おはようございます』『はい、こちらどうぞ』という一連の流れで入場出来てしまう。
この件が一流企業で言うところの入社試験だ。
『はい、こちらどうぞ』は合格通知と言っても差し支えない。
そうやって余りに気軽に入って来れるこの業界が内装業界というやつだ。
会社を問わなければ、この業界の志望倍率は常に1倍になるようになっているのだ。---
(もちろん、内装業界にも誰もが憧れる様な会社があり、そこのハードルはそこそこ高い。度々フォロー入れるのは、その辺がクライアントだからだ。俺にも生活があるのだ。)

ちなみに内装業界と言っているが、建設業の中の1つのジャンルと考えて貰いたい。
一般的には同じモノと言う認識だと思われがちだが、違うのだ。
いや、違わないかも知れないけど、俺の中では違うのだ。それでいいのだ。
建設業はご存知(かどうかは知らないが)人間の『衣食住』に関わるゼネコンを筆頭とする巨大産業なのだが、ゼネコンとは縁もゆかりも無く仕事を日々取り組んでいる点を考えると、親戚の様な、友達の友達の様な感情を抱きつつも、やはり別のモノなのだ。

そんな訳で、ニッチな雰囲気を出しつつも、そこそこに規模の大きさだけは目を見張るモノがある業界ではあるが、とにかく誰でも、気軽で、コンビニに立ち寄る様に、業界に入ってくる事が可能だ。 

川崎駅奥の『密着マッサージ』なる刺激的な看板の前を2〜3時間も往復しながら、結局勇気が出ず、お店に入れず大人しく帰宅するような俺がすんなり入れた業界だ。
余程ハードルが低いのが知れよう。

また、この業界に入ってくる人間の事情も様々だ。

『他で使ってくれるところないから』
って言って周りを切なくさせる『消去法タイプ』

『本業のミュージシャンの仕事だけじゃ食えないから』『役者じゃ食えないから』  
等の『夢追いタイプ』

そもそも、立派な学校も出て、沢山の資格を持っていながら、間違えて来ちゃった『うっかりタイプ』

そろそろ働かないと、起きしに親に刺されるかも。っていう『脱ニートタイプ』

就活の間で働いてって思ってたら、そのままずっといる『ミイラ取りがミイラタイプ』

『他でやらかしてしまって。。。』
………等といった、『脛に傷タイプ』

最近増えまくっているのが、東アジア〜東南アジア辺りから来たのであろう『グローバルタイプ』

勘違いして欲しくないので、釈明させて貰う(自分で落としておいて何だが、、、)が、ダメな人間が多い訳ではない。
ダメな人間もいれば、隣に隠れエリートもいたり、その隣では週末の舞台のセリフを覚えるのに必死なやつもいる。

そんなチャンポン業界なのだ。

更にこの業界に対する社会の評価(?)とは別に、内装業界の中ではある意味なカーストが存在している。

●施主と呼ばれる、発注者。分かりやすく言えばお客様と言われる人。
『お客様は神様』とは言ったものだが、この流れではバラモン的存在だ。

●デザイナーや設計をしている、『先生』と呼ばれるクシャトリア的な人達

●所謂、元請けという(営業やら、監督やらがこれに当たるだろうか)先生と職人の間に立って働く言わばバイシャ達

●後は細かい事は置いといて、職人たちはシュードラだ。

カーストに例える事については、方々への配慮を考えなくてはならないが、ただし少なからずカーストの様な構図が実際存在するのも事実だ。

例えば、某百貨店内の仕事の際の現場のルールで、
『職人はその百貨店内の営業中の利用と立ち入りを禁止する』
と言うルールがあり、『先日、百貨店内で買い物している職人がいた。』と朝から全員が厳しく注意を受けた。
いやいや、百貨店にドレスコードなるモノが存在するならともかく、もしくは日本にはそこしか現場がないならともかく、職人など至る所にいるのだ。
別の現場の職人がその百貨店を利用していた場合であっても、そこの現場に注意がされるのであったなら、そこの百貨店現場では俺が居なくなった後も日々同じ注意を受けていたであろう。
さらに普段着が作業着の一般客が居た日にはたまったものではない。
幸いに俺はそこには2〜3日しか入っていないので、それ以降の事は分からないが、数年前の2〜3日をこれ程克明に印象に残ってるあたり余程のインパクトであった事は間違いない。

カーストと例えるのは些か乱暴ではあるが、その不条理と理不尽は正に差別的ではある様に思える。

またカーストとは全く関係ないないのだが、
ウチの従業員の『ケンちゃん』がいたく気に入っている現場ルールの話しがあるので紹介したい。

職人がある程度大規模な工事現場に入る際は、左腕に腕章なるモノを付ける事が義務付けられる場合が多い。
これはそこの現場に入る際に、関係者である事を証明する上で必要なもので、重要であるのは間違いない。
なので、現場に入る際に腕章を付けていないと警備担当者に止められてしまうのだ。
それは当然納得の流れだか、とある現場では退場する際にも腕章を付けて居ないといけないと言ったルールがあった。(館内では腕章を着用と言うルールがある以上、当たり前の話しではあるのだが、、、)
但し、退場の際
『退場しきるまでは腕章を着用して下さい。』
と言う注意で終わる事が殆どだ。
しかしそこの現場は違った。
『腕章が無いと出られません。』
と警備担当者に怒られている職人がいたのだ。
これは困った事だ。
その職人は腕章が無いから出られない。
だが、腕章が無いと中に入れ無いのだ。
腕章を取りに戻ろうとすると、見えない壁に『ゴンっ』と当たり、出ようとしてもまた『ゴンっ』と見えない壁に当たる。
『出れない、入れない、出れない、入れない…』
『ゴンっ、ゴンっ、ゴンっ、ゴンっ』
とそこには面白いパラドックスが発生していた。
俺はケンちゃんと顔を見合わせて爆笑していた。

その職人がどうなったかは知らないが、いかんせん数年前の事なので永久機関の様に今も『ゴンっ、ゴンっ…』となっているとは考え辛いので、
きっと警備担当者が根負けしたか、見兼ねた誰かが腕章を付けてあげたか、携帯電話を使う位は許されただろうから、誰かに持ってきて貰ったか。

何にしても印象的な一幕だった。

というか、カーストの話しから大分脱線してしまった。
1つのワードをキッカケに話しが盛り上がり(一方的にだが)最終的に『何の話をしてたんだっけ?』って言うのは普段の俺にありがちな事なのだが、文章でも適用されるとは新たな発見だ。新たな俺、こんにちは。だ。
そしてこうしてまた脱線しているのだ。
ここいらで閑話休題だ。

という訳で内装カーストに関してはまだまだ豊富なネタを抱えているが、追々紹介して行くとしよう。
というか、内装カーストと言う何とも過激で被虐的な物言いの割に大したエピソードが無いと、何とも当たり屋的な被害者意識だと、我ながら思ってしまうのだが、有限なネタのストックを心配しての話だ。ご勘弁願いたい。

そんな訳で俺は(今更だが、こう言う場合の一人称は実に困る。私にしようかとも思ったが、ワタシだと女性っぽくなる時には、ワタクシって表現したくなってしまうが、変換するとどっちも『私』になってしまう。面倒な事だ。そんな訳で暫定『俺』で行こう。どうでもいいけど。)この悲劇的で喜劇的で衝動的で感動的な、内装業界の知られざる実情を世に広めるべく、この『内装物語』を紡いでいけたらと思う。

差し詰め、内装系短編小説『サタデー内装フィーバー』とでも名付けようか。

ブログとかコラムと言うのは苦手だ。
『何でも良いから、ブログ書けやー!』と地下牢に監禁されていた過去のトラウマを刺激されるからかどうかは不明だが、こんなモノは言ったもの勝ちだろう。
ブログページにアップしている以上、ブログ以外の何者でも無いのだが、天邪鬼過ぎて『空気吸うなんて、普通過ぎるだろ。』と、いつか言い兼ねない俺の、世間へのささやかな抵抗だ。
小説家ぶって、小説と言い張って、単なるブログをせこせこアップしている俺を
暖かく、優しい目で、時に煽てて、時に甘やかして、たまにはウチに来てマッサージの等をしてくれると非常にありがたい。

次回予告

筆者である俺のクソ過ぎるパーソナリティが明かされる。中々クソな生活を送っている人には『俺より下がいんのか』と前を向けるチャンスだ。もしくはドロドロに足を引っ張り合えるかも知れない。ピンチだ。
次回、『サタデー内装フィーバー』vo,3

『オレトイフヒト』

乞うご期待


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