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covid-19重症化前に気づくヒント?

いつもと全然違う内容だけど、大事な情報を見つけたので、書いておきます。covid-19 特有の症状についてのペーパーです。検査に行かなくても、重症化する前に自分で感染を発見するヒントになるかも。

以前、NYT に救急救命医の方が「SpO2 が非常に低いレベル(50%程度)にまで落ちているのに、挿管直前までスマホをいじっている covid-19 患者がいる」という衝撃の報告をされていた。

普通ならあり得ない話なのだけど、covid-19 ではよく見られるらしい。こういう状態を「Silent Hypoxemia」(無症状の低酸素血症)と言うそうだが、その原因についていくつかここでは書かれている。主なものを挙げると、

・パルスオキシメーターは SpO2 が80%を切ると著しく精度が落ちる可能性がある。

・高熱による PaO2 に対する SpO2 の相対的な低下。

・PaCO2 が PaO2 と同時に低下すると、脳が低酸素状態に反応しにくくなる。

1つ目のパルスオキシメーターの精度低下によって低酸素状態が誇張されている可能性については、そういうこともあるだろうけど、70%でも十分にヤバイわけでね。2つ目についてもそれほどの高熱でないにも関わらず、SpO2 の異常な低下がみられる場合もある。

注目すべきは3つ目かと。
ただ、このリンク先の論文本文を読んでも、「なぜ、PaO2 が低いのに、同時に PaCO2 も低く抑えられるのか?」という理由については書いていないようだ。
PaO2 が低いということは肺胞におけるガス交換が正しく機能していないことを意味すると思うのだけど、じゃあ、なぜ CO2 は排出できているのか(=PaCO2を低く抑えられているのか)、ということが分からない。

仲良くしていただいている医大の研究者の先生にこのペーパーのことを書いたら、「PaO2が低くて、PaCO2が低い状況で思い出すのは肺梗塞です。肺梗塞の場合は、患者さんがしんどくて過呼吸になり、二酸化炭素の排泄量が増えて、血中二酸化炭素の量が減る」ということを教えていただいた。

なるほど!これで話が通じる。

この場合は、Silent (Happy) Hypoxemia という名前の通り、患者は苦しくないということなのだけど、例の NYT の記事でも救急救命医の方が「患者は気が付かないまま呼吸が早くなっている」書いておられた。
あくまで、これは自分の推測だけど、

・肺胞の損傷がスローペースで進むため、「高地順応」のように患者は「なんとなく」順応する

・しかし、当然ながら、酸素を確保する必要があるため延髄が反応し呼吸が早くなる

・それにつれ、当然ながら PaCO2 も低くなる

・PaCO2 が低くなると、息苦しさが薄れ、ますます気づかない内に肺の損傷が進む

・気付くとありえなくくらいに SpO2 が下がっている

という機序かな。

そう考えると、やはり、パルスオキシメーターを使って、定期的に SpO2 を測定し、94%をコンスタントに切ってきたら、感染して肺炎が進み始めている可能性を考えて診察を受ける、というのが良い方法かもしれない。

パルスオキシメーター、Amazon なら安いのは数千円で購入できる。
ただし、安価なものは精度の心配があるので、メーカー違いで、仕様が全く違いそうに見えるものを2つ購入して測定するのが、安全かも。


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