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カジュアルヘルメットの贈り物

 先日、母に誕生日プレゼントを贈りました。
 母の誕生日が母の日に近いので、毎年ゴールデンウイークが近づいてくると、あぁそろそろ母の誕生日だ、と気づきます。
 毎年プレゼントを贈るような習慣はない家庭なので、今年もどうするか悩んだのですが、ゴールデンウイーク中に一年近くぶりに実家に帰った際に、こんな会話がありました。
「この間自転車で転んで」
 母は数年前から電動自転車に乗っています。長年の不摂生と病気による肥満で、普通の自転車が辛くなってきたことと、母の持っていた自転車が10年以上使用してガタが来ていることもあって、電動自転車に買い替えたそうです。
 はじめは電動の進み方に怖がっていた母ですが、今はどこ吹く風で自転車を愛用しています。近場に出かける時は必ず電動自転車に乗っていくそうです。
 そんな母の口から転んだ、と聞いたので私はとうとう危ないのかと思い、話をよく聞いてみると、電動自転車で転倒したのではなく、段差で転びかけた、というのが正しい表現のようでした。
 長年の病気で話を大げさにしてしまったり、話したい内容が先行して相手の話を無視してしまったりするところのある母に、父は少し呆れ気味に私に心配しなくていいと言いました。
 実際、一緒に暮らしているわけでもない私には何が出来るでもないのですが、以前近所の雑貨屋で見たある商品が頭をよぎりました。
 それが、自転車用ヘルメット。なぜ雑貨屋なのかというと、見た目が普通の帽子に見える形のもので、ヘルメット部分もプラスチックや樹脂でできた軽くて簡易型のものだったからです。
 実家から帰って、雑貨屋に見に行き、カジュアルヘルメット(便宜上こう呼ぶことにします)を確認、試しにかぶったりしてインターネットにある商品も調べ、色形を吟味し、そのまま雑貨屋で購入。
 仕事があり実家に渡しに行くのが難しいため、手紙を書き、梱包して配達を頼んで母へプレゼントを贈りました。
 実家に物を郵送するのは初めてのことで、なんだか変な気持ちになりました。少し時間がかかるとはいえ、帰れる距離の実家にわざわざ物を運んでもらうことと、母に直接プレゼントを渡せない罪悪感のようなものが少しあったと思います。
 事前にプレゼントを送ることを伝えていたのもあって、受け取りはスムーズに済み、母からお礼の連絡が来ました。
 自転車用のヘルメットは購入を検討していたらしく、届いたその日に使って出かけたそうです。母の自転車事故への懸念がなくなったわけではないのですが、少しでも役に立つものを贈れたようで良かったです。
 ぜひとも安全にお出かけをしてほしいなと願う今日この頃です。
 ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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