Mリーグ2020最終日を見て思い出す森山発言の意味

Mリーグ2020は、EX風林火山がファイナル4位進出からの大逆転優勝を決めて幕を閉じました。

https://m-league.jp/ranking?season=2020

これで、3シーズン連続でファイナルに4位で進出したチームが逆転優勝を決めた事になりますが、最終日の第2試合(ファイナル最終戦)で赤坂ドリブンズの村上淳選手がトップを取りに行った事が侃々諤々を生んでいます。

最終戦の時点で赤坂ドリブンズはトータルスコアで他3チームから大きく離された4位でしたから、ここで(普通の)トップを取った所で総合順位が上がる訳ではありません。一方で、他3チームは順位や素点によって優勝から3着まで可能性があった訳で、ある意味で「村上淳選手の立ち回りで総合順位が変動する」状態でした。

私自身は、麻雀の目無し問題そのものについて深く語れる程の識見を有している訳ではありませんから、競技麻雀ファン・ライト層の両方を知るウヒョ助氏のツイートを引用するに留めます。

「目無し」になってもトップを取りに行く事を是としつつ、差し込み(意図的な他家への放銃)は自重すべきというのは、バランスが取れている意見だと思います。Mリーグが単なる競技麻雀ではなく「プロリーグ」という興行である事を考えれば、実に合理的でしょう。

さて、こんな時に思い出すのが、昨年の「麻雀最強戦2020 超攻撃型プロ決戦」で解説をしていた日本プロ麻雀連盟の森山茂和会長の発言です。

https://kinmaweb.jp/archives/101823

https://umaimahjong.onasake.com/renmei/moriyama4.html

詳細な経緯は省略しますが、ここで特に思い出されたのが、この部分(上記リンクより引用)です。

勝者を敗者が作るのはやめようよ。勝者は勝者が自分の力で作ろうよ。もちろん近藤君は自分の力で勝ったんだけど、あの形テンはいらないよ。まったく不要。だからそういうことが蔓延してて麻雀をつまらなくしてるから、それは今麻雀プロを目指している人とか、麻雀をやっている人たちにプロの技を見せる、それが何かということをもっと深く考えてほしいと。近藤君の勝ちは素晴らしかったんだけど、それがすごく残念だったんで。浅井君若いし、僕も放送の中でキツイことを言ってプロ辞めたほうがいいよって言ったんだけど、それは別の期待も込めて、変わってほしい。プロの世界は僕なんかも始めて何十年もたちますけど、今後もっともっと伸びてほしい、まあそういう意味でも麻雀の奥深さを感じ取って伝えるような麻雀をみんなに見せてほしいと思います。

森山茂和会長は、麻雀界でも毀誉褒貶の尽きない人ではありますが、少なくともプロ雀士や麻雀プロ団体の存在を一般的なものにしたという意味では有数の功労者である事は間違いありません。そして、その師匠とも言うべき小島武夫氏は第二次麻雀ブームの立役者であり、「麻雀のメディア展開」の第一人者とも言うべき存在です。

問題となった「勝者を敗者が作るのはやめようよ」という発言は、競技麻雀の選手としてというよりは、麻雀番組のプロデューサーとしての観点から出てきたものでしょう。縦令それが競技としてより良い結果を引き寄せる為の行為だったとしても、視聴者やスポンサーに不快感を抱かせる事になってしまっては、興行としては失敗に他ならないからです。昨年の麻雀最強戦で浅井裕介プロの形式テンパイにより近藤誠一プロが親の跳満をツモったのも、昨日のMリーグ最終戦で村上淳選手が勝又健志選手に差し込みに行ったのも、対局者自身にとっては最善手でもプロデューサーとしては違和感が残る事になったからこそ、そこで議論が生まれてしまう訳です。

こうした行為は、野球で言えば敬遠策のようなものなのですが、それを理解できるほど視聴者やスポンサーが育っていないというのも、また事実でしょう。何せ、Mリーグはまだ開始から3シーズン目なのですから、Jリーグで言えば「ドーハの悲劇」の直後くらいのものです。視聴者やスポンサーの知識や見解は、これから育っていくものです。

個人的には、Mリーグはファイナルだけでも新決勝方式を導入すべきだと思っているのですが、これはこれで視聴者やスポンサーの理解が追い付くまでには相当時間が掛かりそうなんですよね。

日本初の「麻雀プロリーグ」なのですから、実験的な要素も試して行って欲しいものです。

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