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未来の私

私の未来を書きます。
多分おそらくこの通り生きます。

◻️22〜25歳
軽はずみな言動で親友と絶縁して
ネットで愚痴るも皆に興味を失われて
何をしても楽しくなくなって
空虚で虚ろな日々を送るうちに
口座に金が溜まってることに気づき
念願の海外に留学しに行くも
英語もまともに話せず、
スキルも生かせず、
ただ自堕落に過ごし金が尽き半年で戻る

◻️26〜32歳
何とか再就職するも日本社会の闇にもう一度叩きのめされて
防衛本能が働いて2年も務めずに退職する。
心を癒すためとギャンブルや酒タバコに埋もれて
散財して人生初の自己破産申請
どん底に入るも羞恥心から家族に連絡できず
コンビニの深夜バイトを始める

◻️32歳〜37歳
一人しかいないから肩書きがバイトリーダーになる
その後店長がバックれて次に長いからという理由で
店長(社員)になってシフトを組むもバイトが
グループLINEで変わってくれませんか祭り
全てのシフトに変わりに入り月労働時間100越えを達成する
仕事して帰ってシャワー入って寝る。
ゴミのように積まれた洗濯物と薄暗い部屋と汚い床を見て
こういうのが社会人だよなぁと少しにやつく
いうこと聞かないからだに鞭打って朦朧としながら
レジを叩く、人がいなくなるとバックオフィスで
机に頭を何度もぶつけて眠気を覚まそうとする
深夜に何人か入ってきてDQNが「レジ早くしろよ」と叫び
いやいや出てきて謝り倒す。
クタクタな状態でバイトに雑な指示を出して
クレーム報告書を記入して提出する

◻️37〜45歳
たまたま大人数シフトを組むと
バイト達の陰口を聞いてしまう。
その時、夢だった起業が最低の形で実現したんだなと
鼻で笑って静かにオフィスで
シフト組みと電話対応、発注をこなす
売り上げが悪い、陳列法を変えろ広告もっと出せと
本社に無茶振りされて仕方なく対応、
バイトにお願いするものも「くそ寒いのにだるいお前がやれ」
と言われて落ちぶれたなぁと少し落ち込みながら
のれんを担いで2月初めの寒空の下に出る。
妹から久々の連絡がありそれは
母が亡くなったということだった。
父が亡くなっていたことも知らず驚愕するも
気がつけば出勤していた。慌てて葬式に向かうも誰もおらず
妹に「あなたは家族じゃなかった。もう二度と顔見せるな」
と静かに睨まれながら伝えられた。
急な休みのそんな日に鬱憤を晴らすように
思ったことを今のように雑な文にして
サイトにアップロードする。2ヶ月後にそのサイトから
メールが来てなんだろうと覗くと書籍化の誘いだった。
嘘だろと思い、でも嬉しくてたまらなくて慌てて
親友だった彼女に電話をする。子供をあやしながら
面倒くさそうに電話に出る彼女の声がとても懐かしく
とても愛おしいものだった。そして時々まじる子供の声から
俺もそういう人生を送るはずだったなと浮ついた思いが
死んでいくのをかみ締めて、
「書籍化の誘いを受けたんだでも自信が無い」と告げる
するとあの頃と変わらぬ様子で
「好きにすればお前の人生だろ」と気だるそうに言う
変わらぬセリフに感動して奮起を決意し、
「ありがとう」と告げ電話を切る。
次の日に退職届をオーナーの家のポストに入れて退勤する。

◻️45〜49歳
作品名は「中高年鬱」同世代に人気を博し
書店に並ぶその姿がニュースになっていた。
出版社に添削されまくったそれは
俺のもんじゃねぇとぶーたれてカップラーメンをすする。
ラーメン食えねぇんじゃねぇのかよと自分に突っ込みながら
残った汁を捨てに席を立つ。次回作もミドルヒットし、
処作は国語の教科書にのることになった。
3作目は売り上げが悪いとマネージャーに言われて
こういう風に書けばいいのではという若者ならではのお節介に
かんしゃくを起こし家から追い出す。
賃貸の契約を解除し山奥に隠居しようと決意する。
夢の印税生活だなんてボヤきながら心は相変わらず死んでいた
引越しの準備をしていると昔使っていた携帯を見つけた
母や父から会いたいと書いてあるメッセージを
既読もつけずに無視していたことを思い出して泣き崩れる
勝手に流れ出るその全てに思い出と感謝がつまっていた。
口座からあるだけの金を引っ張り出して妹に送る。
「もう遅いけど、ごめん、ありがとう」と一言添えて
現金を涙の跡が残る茶封筒にぶち込んで郵送した。

◻️50〜57歳
心機一転して再び自分の思ったことを文にする。
自然の良さ、命の大切さ、生きることの難しさ、
両親への謝罪の言葉を出版社におもむろに提出する。
書籍化するとミリオンヒットし、一躍時の人となる。
芸能人もどきになっていた親友だった彼女と
共演する機会が出来、久々に顔を見合せた。
互いにやつれ、若さを失い、惰性で生きている様で
「やっぱり同種だったな」と笑いかけると
不愉快な顔で「一緒にしないで」と吐かれる。
いつも通りというには日が経ちすぎたその言葉に
思わず涙が零れた。涙脆い人という枠で
一時色んなメディアに出るも体力の限界から
出演を断るようになる。
隠居生活に戻ると32の若いジャーナリストに
付きまとわれるようになる。
「なぜ芸能界から去ったのか、どんな時に書いたのか」
ありふれた質問を嫌という程してくる彼女に
「こんな所に来るくらいなら男と遊んでなさい」と説教した
すると彼女は堂々とした顔で「今はあなたにしか興味が無い」
とほざいた。あーあと呆れながら年甲斐もなくときめく想い
を噛み締めていた。そう遠くないうちに妊娠が発覚し入籍した。

◻️58〜死
嫁に似て美人になった娘の為に引越し
作業中に腰をいわせて入院、検査でガンが見つかる
取り返しがつかいらしくあーあと自分に呆れながら
娘と妻に申し訳ないと告げる。
娘が書いた似顔絵を飾り嫁の下手くそなうさぎリンゴを食らう
こんなに幸せでいいのだろうかと三四十代を思い出す。
病状が悪化して虫の息となった。
すると懐かしい親友だった彼女と妹が来てくれた。
妹には「腐っても兄貴、今までありがとう」と告げられ
親友だった彼女には「いつも美味しいよなお前は」と
毒を吐かれる。どうやら長生きしないのは良い事らしい。
そして最後に色々みんなに言いたかったが
体力的にも意識的にも難しかったので
「ありがとう」と告げて瞳をとじて死を待った。