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ふたりは ともだち~世界を照らすふたり~

本がますます売れなくなってきているんですってね。
うちのダンナさんに「子供の本を書く人になりたい」と言うと、「化石」と言われます。
でも、子どもたちには、わくわくしながらページをめくる体験をしてほしい。
デジタルの本じゃなくて。
どうか、紙の本よ、消えないで! 
紙の本を守るために、私ができること、それは「これを読んだら、世界がもっと明るく見えてきますよー」という本たちを、ご紹介していくこと。
その名も『世界を照らす本』シリーズ、始めます。

まず最初にご紹介したいのは、私の世界を照らしてくれた代表選手であるこのおふたり。「がまくん」と「かえるくん」です。

娘が小学校に入学して、ま新しい教科書をもらって帰ってきたとき、「がまくんとかえるくんのがあったよ~」と、うれしそうに見せてくれたのをよく覚えています。

国語の教科書に載っていたのは、アーノルド・ローベルの「おてがみ」。私が小学生だった30年以上前にも載っていました。今も載っているのかな、と思って調べてみましたら、2年生の教科書に載っているそうです。

「おてがみ」は、他の小さな4つのお話とともに、『ふたりはともだち』という本に収められています。

一度も手紙をもらったことのない「がまくん」。お得意のゆううつな気分で手紙を待っています。

「だれも、ぼくに おてがみなんか くれたことがないんだ。
まいにち、ぼくの ゆうびんうけは からっぽさ。
てがみを まって いる ときが かなしいのは    その ためなのさ。」

それを聞いた「かえるくん」は、いつものように「がまくん」に寄り添って、一緒に悲しい気分で玄関の前に座っています。
けれども、不意に「かえるくん」は、「しなくちゃいけないことがある」と言って、家に帰ります。「かえるくん」は大急ぎで「がまくん」に手紙を書いて、知り合いのかたつむりに、「がまくん」の郵便受けに入れてくれるように頼みます。

しっかり者で面倒見がよく、やさしい「かえるくん」。天然で失敗ばかりだけど、素直な「がまくん」。
このふたりのお話を知っているかいないかで、人生の温かみが違ってくる。そう言っても過言ではありません。

アーノルド・ローベルの挿絵は温かく、色彩はやわらかく、物語はユーモアとやさしさに満ちています。三木卓さんの翻訳もまた、この温かい雰囲気を倍増させているように思います。

本当に、本当に、このふたりを知らずに生きていくなんてことは、あまりにもさみしすぎます。

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