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ツアーが始まったので、レポを一箇所ずつ書こうと張り切ってみるけど、全然本題に入れないの巻。


遂にツアーが始まりました。
ツアーで大阪に訪れるのは、なんと二年振りでした。

前回のツアーというと、

再発見ツアーという形で、昔の曲を再構築してとことんアレンジしてみたり、再解釈してグレードアップさせたり、敢えて未熟な部分も愛を持って忠実に再現したりなどして、曲の良さを改めて再発見するというツアーでした。

"再発見"に込められた意味はそれだけでなく、当時徐々に戻りつつあったライブハウスへ足を運ぶという日常。それをひと押しする為に、ライブハウスの素晴らしさを再発見するという想いも込めておりました。 

色々なものの大事なものの価値を再認識する必要があるタイミングだったのです。

なので、お世話になったライブハウスや、久々に行く土地などを、我々の拠点アポロベイスの若旦那、キダユウスケという男と周りました。

そして対バンも久々に会うような友達に出てもらい、各地全て違う良さのあるツアーとなりました。
その後タイトルを改め、"新発見"と名付け、ワンマンライブを名古屋と東京で行いました。

その年の夏にリリースした「ダイヤモンド」「アネモネの根」、そして当時未発表であった新曲を5曲携えて、セットリストの半分近くを新曲で勝負するという挑戦という名の暴挙に出たのでした。

当時の僕等は其れしか出来ませんでした。
まあそんなことは絶対にないんだけど、其れしか残ってないと言い切りたかった。

何かに縋りたくなかった。

ロマンとエゴ以外ぶん投げて、無様に藻掻くべきだと思った。

結果は見ての通り、ちっとも大成功とは言えません。

その焦燥を引き金にメンバーは脱退、コロナ禍の情勢によりリリースも慎重にならざるを得ず、ライブハウスから人も減り、postmanの名前も段々と忘れられてゆき、事務所の人間とも上手く連携を取れず、何もかもが手からすり抜けてゆくような感覚に苛まれました。

しかし、そんな愚かな男、寺本颯輝が今、後悔していないのは、

君が「多拾人格」というアルバムに耳を傾けてくれたからです。

数字も振るわず、動員も減った我々が勝ち抜くには、音楽家でいる為には、

良い作品を遺すしかなかった。

気持ちを切り替える為に事務所を離れ、新たな仲間を迎え入れ、曲を一から作り、
そして少し苦い思い出にしたまま檻に閉じ込めてしまった新発見ツアーで演奏した曲の数々とも、改めてちゃんと向き合い、新しい形で完成させた。

ライブへの向き合い方も大きく変わった。
歌の在り方も変わった。

それらを拾い集めた、歪で美しい結晶こそが「多拾人格」なのです。

そんなアルバムを聴いてくれた、俺らのミュージシャンとしての誇りを、命を、大事に大事にに抱き締めてくれた君に逢いに行く。

それがこのツアー"人格のレシピ"なのです。
そんなツアーをやれてんのは、暗い深い淵を覗いたから。一度蹲ったから。潜ったから。

そんな長くも短くも思える辛い時間があったからだ。

だから後悔してない。傲慢かもしれないけど、昨日のような夜の為に全部あったと思わせてくれ。

改めて生かしてくれてありがとう。
音楽で繋いでくれてありがとう。
出逢ってくれてありがとう。

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