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理(ことわり)〜素朴な父と、ヤンチャな娘のストーリー〜 小説

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高等学校の校長をしていた父は、退職まであと2年を残した57歳の夏、膵臓ガンでこの世を去っていった。 母:小学校校長 57歳 兄:信用金庫に勤める 27歳 私:新米小学校教諭(育…
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#自分軸

#1 一通のメール

それは、一通のメールから始まった。 2005年6月18日 けいへ 今、どこで何をしていますか? 大事な話があるのですが、いいですか? 心をしっかり持って、聞いて、またはメールを読んで欲しい。 けいも、もう子どもの親だし、どんな話を聞いても、知っても、 乗り越えていけるよね、大丈夫よね。 ダメなら、ダメと言ってね、 母より ーお父さんが死ぬー 直感だった。 いいや、そんなはずない。 お父さんの病気はただの”膵炎”だと聞いている。 ていうか、私が 「

理(ことわり)

文章力なんてまるでない だって父親ゆずりのガチガチ理数系 語彙力なんてまるでない だってまだまだピチピチ?華の26歳 真似でもパクリでも何でもない だってリリーさんのように書けるわけがない ただ残したくなった 「東京タワー」を読んで本気になった ずっと私の前にいた 愛すべきキャラのおじさんを 忘れていくのが恐くなった ただ それだけのこと 《登場人物》 父:松永安幸(57歳) 母:松永美絵(57歳) 兄:松永カズ(27歳) 私:松永けい(26歳)