卒業生から在学生・高校生への提言シリーズOB&OG TALK SESSION #1
サツダイで得意を積み重ねろ!~チャレンジできる能力は、いかにして培われたのか?~
第20回目となる今回は、先月札幌大学のオープンキャンパスの一環として開催された「卒業生から在学生・高校生への提言シリーズ OB&OG TALK SESSION #1」を取材。一般社団法人札幌大学校友会の主催によって行われたこちらのイベントでは、本学をほぼ同時期にご卒業された奈良まなみさん(1993年女子短期大学部英文学科卒)、駒野裕之さん(1995年経営学部経営学科卒)、清田純一郎さん(1995年経営学部経営学科卒)の三名が、それぞれの人生におけるチャレンジと、その原点となるサツダイ時代の思い出話をお話しされました。
※本記事は、「卒業生から在学生・高校生への提言シリーズ OB&OG TALK SESSION #1(2024年9月14日開催)」の内容から一部抜粋して編集したものです。
登壇者プロフィール
短大卒業後は、フリーアナウンサー事務所「ボイス・オブ・サッポロ」に所属し、3年間勉強・活動した後フリーランスへ。20代後半から10年ほどSTVの契約アナウンサーとして勤務。契約終了後、現在に至るまでラジオパーソナリティーとして勤務。現在はSTVラジオ「リクエストプラザ」(午前8時~10時/月・火・金担当)、「coconoSラジ」(午後1時~2時/火曜担当)、「田中賢介のアフタースクール」アシスタント(土曜18時~18時30分)で活躍。その他にナレーションやCM、各種イベント・パーティー等の司会、新入社員のマナー研修講師等を行っている。
札幌大学卒業後、株式会社十勝大福本舗に入社。道内および東京営業所で勤務。2012年に和菓子等の製造・販売を行う株式会社とかち製菓を設立。全国各地で販売に加え海外への輸出事業も積極的に行う。2015年には関連会社であるHokkaido Tokachi Seikaをマレーシアに設立。2019年に「輸出に取り組む優良事業者」として農林水産大臣賞を受賞。
札幌大学卒業後、株式会社北海道新聞社入社。広告校閲業務、営業、イベントプロデュース、観光や農業の振興、宅地開発など、さまざまな業務を経験する。東京支社では大手広告会社やナショナルクライアントとの取引を担当。また札幌本社経営企画局スポーツ戦略室では札幌2030招致を見据えた東京2020関連業務やパラスポーツ推進なども担当した。退職後、2018年に株式会社清純堂を設立し代表取締役に就任。2019年に「ちょい寝ホテル札幌手稲」を開業。手稲渓仁会病院などにアクセスの良い立地で、入院患者の家族に低料金の宿を提供したいという想いで立ち上げたが、現在はスキーや観光など多様に利用されている。
(以下、敬称略)
札幌大学在学中の思い出
Q:どんな学生でしたか?とくに心に残っていることなどがあれば教えてください。
奈良:私は札幌大学女子短期大学部出身で、英文学科の学生でした。学生時代は楽しかった思い出ばかり。とくに文化系サークル「超自然現象研究会AZTEC」に所属し、今日の司会の清田さんをはじめ、たくさんの先輩や後輩、友人たちと出会いました。
高校時代から、放送部で校内放送をしたりNHKコンクールに出場したりと、アナウンサーになる夢を追いかけていました。短大ではもっと視野を広げたいという理由であえて放送以外のサークルへ。楽しかった思い出はもちろんのこと、そこで出会った先輩方とのつながりが、その後の自分のキャリア形成に大きく影響を受けることになりました。
学生時代は、自分も周りの学生もアルバイトに精を出していました。そんな中で、テレビ局のアルバイトをされていた方から「こういう道があるよ」とフリーアナウンサーの事務所のことを教えていただきました。当時テレビ局のアナウンサー試験を受けるには4年制の大学を卒業する必要があったのですが、「短大卒の私でもアナウンサーになれるんだ」という気づきにつながり、この道に進むきっかけになりました。札幌大学は学生数が多く、こうして学生時代に縦横のつながりを築けたというのは本当に貴重なことです。
駒野:十勝の幕別町出身なので、札幌大学に入学した時は「大都会に来てしまった」と大変緊張した記憶があります。同級生になかなか声をかけられなくて寂しい時期もありましたが、その後友達もできて、楽しく充実した大学生活を送ることができました。とくに、大学1年生の冬に先輩に声をかけてもらい、学生自治会執行部の活動に参加しました。3年生の時には学生自治会会長として、常に前面に立つことで、どんな状況でも逃げずに立ち向かう姿勢を持てるようになりました。その時に出会った仲間は、苦しさを乗り越え一歩一歩前進するという経験を共にした一生の友達。経営者となった今で付き合いが続いています。
私の親が会社を経営しており、実は高校生の頃は大学に進学するつもりはありませんでした。たまたま高校の先生に勧められて進学の道を選び、札幌大学へ。何かはっきりとした目標があったわけでもなく、大学卒業後は親の会社に入ればなんとかなるだろうと考える甘い学生でした。しかし、自治会執行部という厳しい環境に入り、仲間と何度も議論を交わし、会長として貴重な経験をさせていただきました。札幌大学での学生生活は、生ぬるい私を変えてもらった大変貴重な4年間だったと感謝しています。
清田:私は駒野さんが学生自治会会長をされていた時に、文化連合会の委員長をさせていただきました。自分が気に入ったサークルに入って楽しく4年間を過ごすはずが、突然厳しい環境に入ることに。当時文化系サークルは30団体くらいあり、それぞれが色々な思いを抱えながら過ごしていました。そんな中で、組織の統率や予算編成、イベント制作、協賛金集めなど厳しくも大変貴重な経験をさせてもらいました。失敗の連続で心が折れそうになったこともありましたが、今振り返るとあの頃たくさん失敗しておいて本当に良かったと思います。
また、道内各地から集まる大学の友達には本当に色々な人がいて、そういう点でも新鮮でたくさん刺激を受けました。
キャリアについて
Q:大学を卒業されてから現在までのご経歴や、現在のお仕事の具体的な内容を教えてください。
駒野:卒業後は親が経営する会社に入社し17年間勤務しましたが、ある時ふと自分で挑戦してみたいと思い、完全独立して「とかち製菓」を立ち上げました。かなりの負債を抱えることになりましたが、とにかく「負けるものか」という想いで無我夢中でやってきました。
現在は十勝の中札内で大福や和菓子、白玉ぜんざいなどを製造し、日本全国、海外(香港、アメリカなど)へ輸出しています。主力商品はコンビニエンスストア向けのチルドデザート(冷やして食べるデザート)で、札幌市内では生協やイオンなどのスーパーマーケットにも置いていただいています。
清田:私は駒野さんと同じ1995年卒業で、いわゆる就職氷河期第一期生と呼ばれる世代です。50社くらい応募した中でたった1社からしか内定をもらえないという大変な状況でしたが、その1社がなんと北海道新聞社でした。そこで23年働きましたが、そのままサラリーマンを続けるのではなく、新しいことをやってみようと思っていました。それで2019年に「ちょい寝ホテル札幌手稲」という宿泊施設を始めました。
きっかけは、私の子供は生まれつき重度の障害があり、入退院を繰り返していましたが、妻が付き添いをする時の宿泊施設を探すのに苦労したことです。患者家族が低料金で宿泊できるホテルを作りたいと思いました。仕事には「収入を増やす」という側面がありますが、私がこの事業を立ち上げた時は「この地域の方々のために何かできないか」という想いが根底にありました。「安定した生活を手放して何をやっているんだ」という見方もあるかもしれませんが、私としてはチャレンジして良かったと思っています。
奈良:私は短大を卒業後、4年制の大学に編入しようと考えていました。しかし編入試験に落ちてしまい、短大卒という肩書で就職活動することに。そんな中で(前述の通り)先輩の助言からフリーアナウンサーの事務所の存在を知り、オーディションを受けました。その事務所に所属してからも、順風満帆なキャリアを送ったわけではなく、テレビやラジオのオーディションにもたくさん落ちましたし、落ち込むことも多々ありました。だからといって不思議と辞めようとは思わなかったです。自分がやりたいことをつかむまではチャレンジし続けました。
その後、テレビ局でのレポーターの仕事なども経験させていただき、現在はラジオパーソナリティーの仕事やナレーション、CM、各種イベント・パーティー等の司会などを行っています。私たちの年齢からでもまだまだチャレンジはできますが、大学生の皆さんには自分のために使える時間がたっぷりあります。失敗することもあります。ぜひ学生生活の中で自分の夢を見つけて、たくさん挑戦していただきたいと思います。
札幌大学の後輩に向けたメッセージ
Q:札幌大学の後輩や同窓生に向けてメッセージをお願いします。
駒野:会社を立ち上げてその2年後にマレーシアにも会社を作りました。その当時は、海外に出て行くことはハードルが高く、精神面でも金銭面でも不安ばかりでした。それに対して、今は海外を大変身近に感じることができる時代です。実は、先週から東南アジアへ出張して今朝帰国したところなのですが、タイ、マレーシア、ベトナムと移動して仕事をしてきました。東南アジアの国々は、日本国内を移動するような距離感で周ることができます。海外から日本を見るとさまざまな気づきが生まれます。学生の皆さんには、ぜひ若いうちから海外へ旅行に行って、グローバルな視点を養ってもらいたいです。そして、どこに行くにも何をするにも、とにかく一生懸命に。自分はどんな人間なのかということを少しずつ発見してみてください。
清田:私も駒野さんと同感で、ぜひ学生時代に海外含め旅行を経験してもらいたいですね。旅行業を営んでいて日々思うのは「かわいい子には旅をさせよ」は真義だなということです。旅では、計画を立てたりトラブルに遭い、その対処をしたり、本当に良い経験ばかりです。目的はなくても良いので、とにかく旅に出ることをおすすめします。出てみると新しい景色に出会うことができますよ。
大学4年間は自分が何者になりたいのかに気づくための時間ですし、気づけるか気づけないかは皆さんの行動次第です。行動には失敗がつきものですが、恐れてはいけません。比較的取り返しがつく学生時代は失敗するために行動すると言っても過言ではありません。失敗が必ず今後の糧になると信じて邁進してください。
奈良:「自分の周りの人と時間と健康」を大事に過ごしてください。時間は人類みな平等、一日24時間しかありません。貴重な時間をどう過ごすかは自分次第ですし、その時間を充実させるためには、人とのつながりと健康がとても大切です。
おわりに
今回は「チャレンジ」をキーワードに、本学の卒業生3名の学生時代から現在に至るまでのご経験についてお話いただきました。トークショーを企画した一般社団法人札幌大学校友会は、のべ64,528人(2024年3月末現在)の卒業生を社会に送り出してきた札幌大学の同窓会組織です。札幌大学に入学する学生は入学時点で準会員として校友会に入会し、卒業と同時に正会員として登録されます。校友会主催による卒業生のトークショーは初めての試みであり、今後も継続が予定されています。どうぞお楽しみに!
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