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【わたしと藻嶺#4 近藤裕彦さん】

氏名:近藤裕彦(こんどうやすひこ)
職業:ソフトバンク株式会社 法人事業統括 公共事業推進本部(2022年12月現在)
卒業年:2003年
学部・学科:文化学部・比較文化学科

プロフィール

▲ソフトバンク株式会社 近藤裕彦さん

北海道蘭越町出身。札幌大学卒業後、ニュージーランドへの語学留学、外資系企業勤務、ベンチャービジネスを経て、ソフトバンク株式会社へ就職。店舗勤務からスタートし、チームリーダー、店長などを経験した後、本社で社内基幹システムの開発やデジタルトランスフォーメーションなどに携わる。現在は公共事業推進本部にて、国や自治体へのデジタル支援を担当。2021年度経済産業省高度デジタル人材に認定。趣味は旅行と写真。

札幌大学在学中の思い出

Q:どんな学生でしたか?とくに心に残っていることなどがあれば教えてください。

▲サツダイ生だった頃の近藤さん

学業よりもアルバイトや遊びに時間を注ぐような、お世辞にも真面目とは言えない学生でした。ただ学生生活はとても楽しく充実していました。

学生最後の夏休みに、北海道から沖縄まで「青春18きっぷ」を使って日本縦断の旅をしました。南に行くにつれ景色が変わる様子に感動し、とくに鹿児島から沖縄への船で見上げた満天の星空や、エメラルドグリーンの海の色などは忘れられません。それがきっかけで卒業後も旅がライフワークになり、現在までに20か国以上を巡っています。

また、当時趣味だった音楽活動の延長で、札幌大学のYOSAKOIチーム「La fête」にDTMで楽曲提供も行いました。一生懸命取り組んでいた後輩たちを応援したい気持ちから、和楽器を勉強したり、後輩たちの声を録音して作品に入れたり、時間を見つけて作りこんだ記憶があります。「La fête」の同窓生の方々とは(数名ですが)今でも交流があります。

キャリアについて

Q:大学を卒業されてから現在までのご経歴や、現在のお仕事の具体的な内容を教えてください。

就職氷河期の真っ只中!あえて就職はせず、留学し外資系企業へ

私たちの世代は就職氷河期とよばれ、その中でも特にひどい時期に卒業を迎えました。就職活動を始めたものの、「自分に何も武器がないと戦えない」と思い、就職ではなく「国際コミュニケーション力を身につける」という目標へ方向転換しました。大学時代からアルバイトでコツコツと貯金し、さらに卒業後も半年働いて資金を作り、ニュージーランドへ語学留学しました。短い期間ではありましたが、そこで多くの経験と最低限の英語力を身につけ、帰国後すぐに上京し、米国企業(リゾート開発関連)の東京支社に就職しました。

後ろ盾がない中、単身上京しての会社員生活は中々大変でしたが、それなりにキャリアも積み、人脈も広げ、20代後半で一心発起しウェブ系のベンチャービジネスに着手。しかしリーマンショックのタイミングと重なったこともあり、あえなく継続困難となりました。この時期はかなり苦労をした記憶があります。

自身の力不足を痛感し、ソフトバンクの直営店本店へ転職した後、改めてビジネスやマーケティング、会計などの実務的な知識を独学で学び、資格を習得し、スキルの底上げに労力を注ぎました。

実は当初、新たにビジネスを再起するまでの繋ぎのつもりで、ソフトバンクに就職しました。しかし、職場の居心地がよく長居をしてしまい、外国人対応のバイリンガルスタッフから数年かけてチームリーダー、店長へと実績を積み上げました。横浜、新潟の転勤を経た後に本社勤務となり、社内基幹システムの上流開発といった全く異なる業務を担当することになりました。ちょうど前の会社の勤続年数を超えて少し経ったくらいの頃です。

未来を見据え、デジタルを軸に人生設計

それまでは店舗運営や営業実績で評価されてきたのですが、今までとは全く異なる業務になったことで、会議で話される用語もわからず、議論にもついていけず、何が正解なのかもわからず、あやうく精神的に参ってしまうところでした。

それでも、周りの方からの協力を得ながら少しずつ知識を蓄え、自分でウェブアプリを作ってみたり、またRasberry Pieという小型コンピューターを購入して、センサやカメラをつなげてIoTを作ってみたりと、あらゆる実証を重ねました。その結果、スキルが自然と身に付き、技術者目線で業務に関わっていけるようになりました。

店舗で営業の仕事をしていた時は、それなりに実績を残すことはできていましたが、優秀な人材がたくさんいる中でこれから先も戦い続けるためには、希少性の高い武器を身につけることが必要だと考え、模索しているうちに「デジタル」を軸にしたリスキリングにつながりました。

2010年代後半になると多くの企業でAIの実証が多く行われましたが、弊社も例外ではなく、デジタルトランスフォーメーションの部署が新設されました。これまでの技術知識とスキルが買われ、そこへ異動。ほどなく新規事業などを扱う事業開発という部門に部署ごと吸収されました。そこでは、AIの実証事業を次々と回していき、テキストマイニングや画像認識、音声認識、AI-OCRなどの先端技術を使ったプロジェクトに関わりました。文化の異なる他社やスタートアップと協業できたことも大きな収穫でした。

コロナ禍をきっかけに場所を選ばない働き方ができるように

▲プレゼンテーションを行う近藤さん

コロナ禍によって仕事がリモート主体になると、東京に留まる必要性がなくなり、仕事のパフォーマンスもどこにいても変わらないだろうと私自身も感じるようになりました。半年かけて会社を説得し、2021年春に地元北海道への転居を認めてもらいました。北海道に戻ってくるのは実に18年ぶりになります。

転居に伴う組織異動で業務内容こそ変わりましたが、とくに地方に居住することによる支障は感じず、以前と変わらずアグレッシブに仕事に取り組んでいます。今は公共事業に対してデジタル支援を行う部門におり、国や官公庁や北海道の自治体と共にデジタルソリューションで地域発展を進める業務を行っています。

昨年は経済産業省に高度デジタル人材に認定され、沖縄県で他社人材との協業で観光支援を行いました(以下リンクを参照)。今後もデジタルとビジネスの両軸で、北海道に貢献したいと考えています。

▶沖縄に新しいツーリズムを。高度デジタル人材と地元企業が“協働”で課題解決へ
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ソフトバンクニュース(ソフトバンク株式会社が運営するWebマガジン)

札幌大学の後輩に向けたメッセージ

Q:札幌大学の後輩や同窓生に向けてメッセージをお願いします。

大学時代の4年間は、長い人生の中でも自分の好きなことに取り組める数少ない期間だと思います。やりたいことが今なくても、やりたいことを探せる期間でもあります。お金やチャンスがないことが支障になっているのであれば、ないところから工夫して、出来ることから何でもやってみると良いと思います。

今はかつてないほどの不確実な時代で、こうしたら良いという既定路線もこのご時世ではまったく通用しません。自分で正しい知識を身につけ、自分で判断して前に進むことがとても大事です。

苦労や困難も、いずれ長い人生の貴重な経験になりますので、物怖じせずに何でも挑戦してみてください。ぜひ残りの学生生活も楽しみながら、充実した札大ライフを送っていただければと願います。

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