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【高級レンズの話】35mmF1.4単焦点【ツーリング風景写真用/SEL35F14GM】

こんにちは、フォトグラファーのSATです。

この番組では皆様の写真ライフが楽しくなるような話題を取り上げています。

今回は最近買った35mmF1.4の単焦点レンズのはなしです。SONY純正のGマスターレンズという約17万円の高級レンズです。35mmF1.4の単焦点レンズは実は2本目で、以前はフォクトレンダーのNOKTON Classic 35mm F1.4というマニュアルフォーカスの単焦点レンズを愛用していたのですが金策のために手放してしまいました。NOKTON Classic 35mm F1.4は6万円くらいの比較的リーズナブルなお値段のレンズです。他にもSONY純正の16-35mm F2.8 GMという27万円の高級レンズも持っていますので、35mmF1.4GMが本当に必要だったのか?と思われる人もたくさんいると思います。

ということで、今日は35mmF1.4Gマスターレンズを買って、実際に使ってみた感想、ぶっちゃけ買って良かったのか?についてお話したいと思います。

なお、このレンズ、実際にフィールドで使ったのはまだ2〜3回程度ですので、感想の方はファーストインプレッションとしてご理解くださいね。

では、さっそく

結論

はじめに結論を申し上げますと

本当に必要だったのか?

買って良かったのか?

と問われると、

「もっと良い選択肢があったかも...」というのが正直な感想です。

レンズの写りは、お値段分の価値はあると思いますが、自分の目的に合っていたのか?というと、第一印象は「う〜ん、何とも言えね〜」といった感じです。

でも、このレンズでしかできない表現もあるので後悔はしていません。

おそらく、使いこなせば愛用の1本になる予感がしています。

ということで、売らずにキープです。

今日は、この辺のところを詳しくお話したいと思います。

買った目的

買った目的を最初にお話しておくと、バイクツーリングに行った時の写真撮影用です。

被写体としては、優先順位の高い順につぎの通りになります。

1.風景+バイク

2.風景のみ

3.食事等のツーリングの記録・スナップ撮影

4.日常の記録・スナップ撮影

買った動機をもう少し詳しくお話すると、次の3つの要望もありました。

1.ズームレンズより軽量コンパクトな単焦点レンズが欲しい

2.バイクを撮影するために背景を激しくボカしたい

3.絞り開放からシャープに撮りたい

今日はこのうち、一番の目的だった「風景+バイク写真」について具体的にどうだったのか?お話していきましょう。

サイズ・重量は許容範囲だったか?

このレンズのサイズ感は軽量コンパクトとは言い難いですが、バイクツーリング用としてはギリギリ許容範囲ではありました。

重さもそれなりにありますので、ストラップなしで手で持って歩いていると結構な緊張感を感じます。「落としたらどうしよう」みたいな感じです。お世辞にも気軽に持ち歩き、気軽に撮影できるレンズとは言い難いです。

とはいいつつも、フルサイズ35mmF1.4レンズとしてはかなり軽量コンパクトな部類に入ると思いますので、僕の感想が「ゼイタクだ」と言われても文句言えないです。

でも、このレンズのサイズ・重さは一歩間違うと標準ズームレンズくらいはあるので、だったら標準ズームレンズを持ち歩いた方が撮れる写真のバリエーションも増えるし、結果的に幸せになれたかもしれません。

ちなみサイズ重量を書いておくと、SIGMAのF2.8標準ズームの方が50g以上軽いのです!

SEL35F14GM

・長さ=96mm

・重さ:524g

SIGMA 28-70mm F2.8

・長さ=103.5mm

・重さ:470g

SEL35F14GMで注意が必要な点

風景の中のバイク写真のイメージならとても撮影しやすいレンズでした。バイクを少し小さめに写真に写すと妙に収まりのいい写真が撮れます。

見る人に違和感を感じさせないためには、バイクは写真全体の1/4程度の大きさが妥当なような気がしますね。

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それ以上の大きさではパースで遠近感が強調されて、バイクの形状が歪むというかデフォルメされてしまいます。

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アングルによっては非常にダサい形に見えてしまう傾向があります(下の写真)。特に斜め上から見下ろすようなアイレベルローアングルからの撮影はバイクがダサく写りがちですので要注意です。

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無難なのはグランドレベル(地面と同じ高さ)からの撮影で、要するに下から見上げるような構図だと、形が多少パースでデフォルメされても様になる感じでした。なおかつ、絞り開放のF1.4であれば周辺減光もいい味を出してくれます。

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ただし、バイクを大きく写すとパースで独特な形状にデフォルメされるので、それ中心に撮影してしまうと、少し癖のある似たような写真が多くなり、見ている方が飽きてしまうと思います。

つまり、背景の風景は違ってもバイクは同じ見え方で写っているので、アルバムで通しで見ても写真に変化が無いように思えてしまんですよね。

ですので、風景+バイク写真を撮影するときには、ある程度引きの構図で風景を大きめに撮影した方が良いように思えます。

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一方、Instagram投稿用のバイク撮影レンズとしてはどうか?というと、ハッキリいってあまり向かないと思います。Instagramではバイクがある程度大きく写っていて、あくまでも主役はバイクじゃないと興味を持ってもらえない傾向があるからです。

ですので、バイクが主役で、バイクを大きく写したい場合には、標準画角の50mm〜中望遠域のレンズが向いているように思えます。

どちらかというと、中望遠から望遠の方が圧縮効果で背景の風景を大きく写せていいかもしれませんね。

ということでは、(下の作例のように)24-105mmのような標準ズームレンズの方が使い勝手の点ではバイクツーリング写真向きかもしれません。少なとも1本のレンズで撮れる写真のバリエーションは標準ズームの方が格段に上でしょうね。

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あとSEL35F14GMを使っていて気になった点は、これは35mm全般に言えることですが、準広角だと中途半端に様々なものが背景に映り込むので、被写体のバイクが引き立ちにくく、構図が混乱しがちになる点です。

風景単独で写すなら構図は作りやすくても、そこにバイクも入れるとなると駐車スペースの関係もあってか、余計なものが写真に入ってしまったりで、「結局、何が撮りたかったんだ?」的な写真になってしまうことも多々ありました(例えば、下の写真)。

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...と、悪い点ばかりを最初に主張してしまいましたが、SEL35F14GMには良い点もあります。

SEL35F14GMの良い点

良い点1.絞り開放からシャープな写り

良い点2.F1.4は背景が被写体を引き立てるには十分ボケる

絞り開放からシャープというのは、SEL1635GMの広角ズームと同じですが、サイズと重さが全然ちがいます。SEL35F14GMも軽量コンパクトとは言い難いサイズ・重量ですが、SEL1635GM(長さ=121.6mm, 重さ=680g)の広角ズームと比べると十分軽量コンパクトです。

とくに重さが約150g軽いはありがたいです。

一方、僕のもう一つの愛用レンズNOKTON Classic 40mm F1.4 MCはボケとオールドレンズ風の描写は最高なのですが、絞り開放では主題のバイクすらシャープに写りません。っていうか形もかなり歪みます(下の作例)。

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ですので、バイク写真でF1.4のボケを堪能するには、絞り開放からシャープに写る現代の純正レンズ『SEL35F14GM』は十分に役目を果たしてくれます。同じF1.4レンズなのに絞り開放でのシャープさがここまで違うと感動すら覚えますね(下の作例)。

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あと僕はSEL1635GMというF2.8の広角ズームも持っていて、このレンズも35mmレンズとして使えるのですが、F2.8では背景ボケが足りないんですよね。被写体を背景から浮き上がらせるほどのボケはハッキリ言って期待できません。(たとえば、下の作例)

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これが今回買った『SEL35F14GM』では被写体のバイクを背景から引き剥がすくらい強力にボケてくれます。

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でも、背景ボケを期待するなら素直に明るい標準ズームの望遠端で撮影した方が楽だと思います。

まとめ

最後、まとめると

SEL35F14GMは、バイク風景撮影用として最適だったか?と問われると正直もっと良い選択肢はあったと思います。

ぶっちゃけ風景撮影専用なら24mmF1.4、バイク写真専用なら50mm〜中望遠域のレンズを買った方が幸せになれた気がします。

しかし、その描写性能はお値段分の価値があることも確かですので、使いこなせば愛用の1本となる予感がしています。

ということで、売らずにキープして使い込んでいく予定です。


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