LINEでは書けない。『レター教室』(三島由紀夫)_044
ある編集さんにおすすめいただいて読んだ本。とにかく素晴らしかったのだけれど、この「素晴らしかった」をどんな言葉で表現すると一番粋なんだっけ、と思わず考えてしまって感想を書きにくくなるタイプの、本。
言葉が宝石をぶちまけたみたいに、キラキラ反射しあっていて、もう、読み終わったあとは「文章なんて二度と書けない」という絶望的な気持ちにさせられてしまうくらいに(これは多分、私がライターだから)、言葉に存在感がありすぎて言葉が立ちまくっていた。
この本は、5人の登場人物を中心とした「手紙」だけで構成されているのだけれど、あれなんだなたぶん。小説だと、山あり谷ありのメリハリが重要になってくるのだろうけれど、手紙はその1通の中に、いったんすべてを詰め込むから、もう、ひとつもゆるみのない選び抜かれた言葉だけが生き残っていて、だからこんなに全部がメインディッシュ感なんだろうな。
先日、同じ手紙(メール)のやりとりだけで完結する「ルビンの壷が割れた」を読んだけれど、似ていて完全非なるかんじ。LINEやFacebookのメッセンジャーでは書けないタイプの文章なのかも。
言葉を職業にしている人には、ぐさぐさ面白いと思う。
心が繊細(かつ傲慢)な人は「これを読んだら、もうやすやすと書けなくなる」と思うかもしれないし、
心がわりに強い人は「やばい、書くのって楽しいなあ」って思うかもしれない。
私は、まいったなあ、これからまた文章書くの、難しくなっちゃうなあと思ったのだけれど、すごく忘れっぽい人なので、結局大丈夫だと思う。
というわけで、編集さんや、ライターさんとこの本について話をしてみたいです。
あと、婚活中の人とか、不倫中の人とかにもおすすめです。
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