たばこの煙

窓を開けて外に向かってふうと煙を吐いたら、ずーっと息が白いままだった。ぼんやりしながらその違和感を考えていたが、これは煙じゃなく、息が白いのだ。ここ最近、12月と思えぬほど暖かい日が続いていたから、日が落ちてからの寒さに驚いた。
試しにたばこを離して、ただ息をふっと吹いてみた。しかしそれでは白くならない。肺に煙を入れて、深く吐くとき、肺の中で温まった空気が外に逃げる。だから白いんだろうと思った。たぶん。
たばこで深呼吸をしている。

バカみたいな話だけれど、たばこを吸っているのはただのポーズだ。未成年が悪ぶりたいのと同じ。こんな歳になって、子どものようなことをしている。
誰に対して悪ぶっているのかというと、自分だと思う。健康を害して、私は病んでいるという妄想に浸っている。失敗の言い訳にしている。
私は悪い人だ。努力も夢もなんもないんだよ。
深呼吸するみたいに血中酸素を減らしていく。
自分のこと、痛くて大嫌いだ。

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