畑を通して「食べる」を考える。
里山百手プロジェクト、第一回のテーマは「畑を通して「食べる」を考える」。
実際に畑で農作業をし、その後教室に戻って対話形式のワークショップを行いました。
白菜の苗の定植と、ニンジン、玉ねぎの種蒔き。
ここで育てた野菜は、収穫後、給食で中学生のみんなが自分で食べることになります。
芽吹音農園の石原くんに講師に来てもらい、プロの指導のもとみんなで作業。
みんなまじめにしっかりと取り組んでくれたので、作業はスムーズに進みました。
今後の野菜たちの管理について、育ち方や手順を教えてもらい、今日の畑での授業は終了。
場所を教室に移して続きを行いました。
教室での授業は頭の体操から。
はじめにJ.P.ギルフォード氏の「ナインドットパズル」をみんなで解いてみます。
脳トレです。検討時間3分。チクタクチクタク……
答えは↓
解き方は何通りかありますが、一例はこれ。ここで使っている直線の数は、
5本です。次に、
4本の直線で線を引いてみます。これも3分。チクタクチクタク……
答えは↓
こうすると引けます。解けた人も何人かいましたが、さっきよりも正答率は大きく下がりました。この答えが出にくい理由は、
このような"見えない枠"や、"自分が勝手につくった、実際にはないルール"が思考を狭めるからです。
・●の外側に線がはみ出てはいけない
・線は●の中心で折り返さなければいけない
実際には無いのに、無意識に現れる制約。このような見えない枠は、「食べる」にも存在するかもしれない。
食べるのまわりある無意識の枠を見つけて、必要となればその外側へ出たり、制約を解くことで、より自由で豊かな生き方が可能になるんじゃないか。
そんな「食べる」にまつわる思考の探検をしてみようというのが、この授業で行うワークショップの趣旨です。
前置きが長くなりました。
ここからは、3人一組のグループでの対話形式で進めていきます。(※グループワークの際には、マスクの着用の徹底、窓の開放など、感染予防対策を取った上で行いました。)
まずは具体での現状把握から。自分の食体験を話し合い、列挙してもらました。時間は5分。
日常を思い出したり、好きな外食を思い浮かべたり、食の構造に思考を巡らせたり。様々な「食べる」が出てきました。
次に抽象を考えます。
食べることで得られるメリットを、生理的なもの、社会的なもの。大まかに二つの方向性に分けて考えるように対話をしてもらいました。時間は5分。
食べるといいこといっぱいありますね。
「会社の上司と食べると出世できる」には笑いました。半沢直樹の最終回の直後の授業だったからね。
期待していた以上に食べることの本質に迫る意見があり、また経済面に着目する意見も多く、クラスのみんなの思考力の高さを実感しました。
次に、前に考えた具体と、ここで考えた抽象をつなげて考えてみます。
先ほどホワイトボードに書いてもらった「いいこと」はそのまま残して、今の食べ方(具体)で、ホワイトボードに書いてある「食べるのいいこと」(抽象)を満たすことができているか。できていなならそれはなぜかを考える。また、もう一度具体に戻って考えたことで改めて思いついた「食べるのいいこと」は書き足してもらいました。時間は5分。
そして最後に、
ほかの食べ方について想像する対話を5分。
この具体と抽象を行き来する過程が、「食べる」のまわりにある"見えない枠"の輪郭を浮かび上がらせてくれると思い、このように対話をしてもらいました。
よりよい食べ方とは何か、今どんな食べる時間が必要か、いいことを満たすために何を食べるべきか。。。
様々な対話が聞こえてきました。
最後の対話の後の発表は挙手性にしましたが、元気に手が上がり、素晴らしい意見がいくつも出て、うれしくなりました。(写真が撮れなかった意見もありました。ごめん!)
畑の指導をしてくれた石原くんから、まとめ的に「食べる」のお話をいただきました。
自分の「食べる」のほんの一部でもいから、自給することができると、暮らしには安心感が増し、食事には充実感が生まれるというお話。
小さな循環を大切に育んでいる有機農家ならではの内容で、この時間の前に一緒に畑作業をいたこともあり、お話が教室全体にあたたかくじんわりを染み渡っていくような空気を感じました。
以上が、第一回の授業でした。
次回からは、今回考えた「食べる」にまつわる様々なことを、様々な視点、角度から掘り下げてきます。
里山百手プロジェクト 第一回
講師 石原潤樹 福田大樹
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