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2021年度 里山百手プロジェクトまとめ

2021年度の里山百手プロジェクトで行った授業について、全授業の振り返りをこの記事でまとめたいと思います。昨年度は授業毎に記事を書いていましたが、今年度は本業が多忙になり、なかなか時間が取れなかったのでこのような形になりました。
長くなりますがお付き合いください。

はじめに

本年度の授業は、
①生徒のみんながやりたいことを地域の方々の力を借りて実現するもの
②僕からの提案
の2つの軸で進めることにしました。
まず①のみんながやりたいことは何か、最初の授業で意見を出し合います。

みんなから出た意見。数字はやりたい人の数。

「地域にでっかいクリスマスツリーをブッ立てる」に意見が集中しました。なかなかハードル高そうなアイディアだなぁと思いつつ、地域の力でどうにか実現できないか検討開始。
その他には給食用のにんじんでドレッシングづくりをする等の案も。

②僕からの提案については、僕の本業である一本杉農園で新たに準備している新店舗に絡めて何か一緒にやりませんか?というもの。
新店舗は"古本喫茶"を予定しており、その場所を使ってできる地域貢献とは?を検討。
現状、南摩地区には美術館や博物館などの文化施設がないので、そういった文化的な体験ができる空間をみんなの力で形に出来ないかというアイディアへ発展していきました。

クリスマスツリーはどう立てる?

大きなもみの木の調達、イルミネーション機材の手配、電源の確保、設置場所の交渉、、などなど山積みの課題を抱えて、地域の方々にとにかく相談しまくりました。
自治会長さんたち、コミュニティセンターの皆さん、地域の事業主の方々、みんな一緒に懸命に考えてくれました。
しかし、検討の結果、安全面、経済面ともに本物の木を立てるのは無理だな…。という結論に。みんなごめん…。
そこで、代案を考えようということに。
まず、なぜ、クリスマスツリーを地域に立てたいのかを整理すると、

クリスマスツリーを立てる

地域に映えスポットが出来て人が集まる

普段は静かな南摩の夜に賑わいが作れる!

という目的だったのではと。
そこで、1以外の手段で2,3を実現できればいいんじゃない?ということで!

クリスマスツリーを立てる
  イルミネーションを作って光らせる! & Instagramを活用して今すでにある映える景色をみんなで探す!

地域に映えスポットが出来て人が集まる

普段は静かな南摩の夜に賑わいが作れる!

この代案で行くことにしました。
まずはイルミネーション。

原画をiPadで作成
コンパネに原画を描いていきます
プロジェクターで原画を映して正確に
みんなでペンキで描く
描く描く
穴を開けて電飾をつけて完成!

クリスマスツリーの相談をした地域の方々が、地域の取り組み用で所有していた電飾を貸してくれたり、イルミネーション設置用の足場を組んでくれたり。地域の皆様の力強いご協力のおかげで形になりました。

次にInstagramを使った取り組みについて。

ちょうど同時期に地域の方がInstagram企画をやっていた

地域の有志の方々が開催されていた「なんまんフォトコンテスト」に参加してみんなで盛り上げよう!ということに。
授業内で地域を散策し、気に入った景色を写真に撮ってInstagramへ投稿してもらいました。
見事にクラスからコンテスト入賞者も出ました。賞品もゲット出来たようで、何よりです。

でっかいクリスマスツリーはブッ立てられませんでしたが、イルミネーション&Instagramで、でっかいクリスマスツリーに匹敵するような経験は残せたんじゃないかな…そう思ってくれてるといいなぁと思います。
また、クリスマスツリーという手段から一度その目的に立ち戻って、目的に合う別の手段を探す、という、抽象と具体、思考の階層の行き来の仕方も、様々な状況に柔軟に対応する態度の例として、今後の人生どこかで少しでも参考になれば嬉しいです。

地域に文化施設をつくる

次に、②の僕からの提案から発展したアイディアについて。南摩地区には現状、美術館や博物館などの文化施設がないので、それをみんなで作れないか、という検討をしていきました。
そこで思い出したのが、僕がバックパッカー時代にクロアチアのザグレブで立ち寄った「失恋博物館」。

日本語パンフレットもあったのがありがたかった
思い出のエピソードと共に思い出の品が展示されていました

こんな感じで、失恋に限らずみんなの思い出の品をエピソードと共に展示したら、「南摩の思い出の博物館」が作れるんじゃない?ということで、
みんなの「大切だけど手放せるもの」をエピソードと共に持ち寄ってもらいました。

思い出の品と、その思い出
思い出はみんなそれぞれ様々
新店舗の空間を自由に使って展示

こうして期間限定の南摩初の文化施設、「南摩の思い出博物館」が出来上がりました。
しかし、コロナ禍の影響をモロに受け、まん延防止重点処置の度重なる延長により、展示の会期を先延ばしにせざるを得ない状況が続きました。結局、まん防が解除になったのは3月21日。みんなが卒業してしまった後に。卒業後は展示物をみんなの手元へ返すのが難しくなってしまうため、この展示は公開中止となりました。残念。
公開は叶わなかったものの、みんなの力で一つの文化施設を作ることが出来たことには違いありません。それぞれの思い出エピソードをみんなで共有できたのも、お互いをより深く知ることが出来たし何より楽しかったです。

B品ニンジンを商品化して販売

地域の有志で地域の子どもたちに給食で食べてもらう用に無農薬で育てているニンジンのうち、給食に使えないサイズの小さいものや形のいびつなものは、これまで廃棄するしかないのが現状でした。
それらのニンジンを有効活用して商品化しよう!というのがこの取り組みです。

南摩地区からほど近い深程の料理店「近江屋」さんにドレッシングの作り方を教えていただきました
実際に自分達で調理してみます
実食!

調理を体験した後は、ドレッシングのパッケージデザインを考えたり、ドレッシングを宣伝するCM動画を撮ったりしました。

みんなのアイディアを元に出来上がったドレッシングのデザイン
食品加工は近江屋さんに委託し、実際に商品化しました

ドレッシングは一本杉農園で販売し、販売初日であっという間に完売しました。(制作時期が押してしまい、3月初旬になってしまったため給食用のニンジンが残り少なく、22本限定での販売となりました。)


廃棄されてしまうはずだったB品ニンジンを、加工することで付加価値を付けて流通させることができました。
今回一本¥600で販売したので、
¥600×22本=¥13,200
の売上に。ニンジン以外の材料原価や製造コストを引いても(近江屋さんのレシピの詳細な分量は非公開のためハッキリとした計算結果は出せませんが)、もともと¥0だったニンジンの価値が大きく増加したことを実感できたかと思います。

最後に

今年度は昨年よりもさらに大きくコロナ禍の影響を受け、予定していた授業数が出来なくなったり、博物館の企画が出来なくなったりと、難しい状況も多々ありました。
しかし、感染拡大のタイミングと学校行事のタイミングがうまくズレてくれて、今年の三年生は無事に修学旅行も泊まりで行くことができ、学校祭や運動会も開催できたのは本当に何よりでした。
その分授業予定はタイミングが悪くなりましたが、そんな中で出来る精一杯の授業を、生徒のみんなや先生達と一緒につくってきました。
里山百手プロジェクトの授業があったことで、ここでしか出来ない経験や思い出づくりが出来ていたら幸いです。
今年度の三年生のみんな、卒業後もたまにお店に顔を出してくれたら嬉しいです!

2021年度 里山百手プロジェクト
Special thanks
ドレッシング指導・加工協力 近江屋様
イルミネーション貸出協力 なんまん本舗様
イルミネーション設置設備協力 日南工業様

講師 
福田大樹

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