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失われた純潔

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出会いは不純だった。
途中からそれは純愛に変わった。

嫌われやすい子だった。
嫌われる素振りをわざとするような子だった。

待ち合わせ場所に走ってくる子だった。
約束は絶対に守る子だった。

家族が大嫌いな子だった。
家族に対して家族を演じることを嫌っていたから。

無償の愛を求める子だった。
無償の愛を与えることに躊躇がない子だった。

約束を破られることが許せない子だった。
妥協点という場所を懸命に探す子だった。

生涯忘れられない子
あんなに短い期間しか共に生きられなかった子

人生がどんなに狂おうとも
あの子の純潔は僕の中では一点の曇りもない

無意味な日に生まれた子だと
法事のときにその子の母は涙しながら言っていた

それでも
その子は家族を誇りに思っていた

その子は家族を心から愛していた

6月13日
誰もが忘れても 僕の中の記念日

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