賽の河原にて

あの時諦めずに生きていたら
こんなことにはならなかっただろうな
そう思いながら目の前の石を積むだけ

苦しい、誰もわかってくれない、死にたい。
そんなことばかり考えていた
確かにあった愛を見ないフリして
自分の殻に閉じこもった
結果、こんなザマ
空を見上げあの人を思い浮かべる
あなたは今幸せですか?

「君がいなくなった世界で幸せな訳が無い」
空耳が聞こえる

「どんなに幸せになったって
どれだけ不幸が訪れたって
前に進むしか無いじゃ無いか
とりあえず君がいないと僕はつまらないから
君を助ける腕が千切れ飛んでいるのなら
もう一回縫い付ければいいだけだろう」

石を積みながらそんな妄想をしてみる
誰かが自分を助けるなんて
くだらない絵空事

幸せが訪れたって次の日には
絶望が現れるって事がわかってしまったんだ
自分よりすごい人がいて
その人にはなれないって事も
諦めた人間の行き着く先
目を瞑り思い浮かべる
あなたとまだ一緒にいたら
まだ笑えていましたか?

「そんなの当たり前だろ」
またそんな嘘ばっか言って

「嘘だってなんで決めつけるんだい?
ここに確かに君を愛する僕がいるのに
それでもわからないと思うなら
その下らない絶望の中で待っていな
君を見つける目が無くなったのなら
残りの感覚全てを使って
容易に見つけ出してやるから」

全てが妄想
誰も助けてなんてくれない
この先ずっと私は1人
「うるさい黙れ。下らない戯言は聞き飽きた。今から救いに行くから待っていろ」

「そんな所で1人で居てなにが楽しいんだ?
今までの笑顔は嘘だって言うのか?
そんな訳ないだろう
これからも君を笑顔にする覚悟はできたから
疑わずにこの手を取ってみろ
消えかけの命なんであれば
もう一度熱く燃やしてやるから」

今ツギハギだらけのヒーローの
手を強く握りしめる

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?