薬学部再受験

薬学部再受験というのがある。
一旦社会に出たが、薬剤師になるため薬学部に入り直すために受験をすることを言う。
薬学部再受験するのはいいけど30初めまでかなという話。
当然、医学部再受験もあるがここでは述べない。
あと、お金の問題は解決している前提で話を進める(結構大事)

まず、再受験の人は何となく薬剤師になればバラ色の人生になるというか一発逆転の感じがあると個人的に思っている。
薬剤師だって仕事の一つだし、病院や薬局で働けばただのサラリーマン。
サラリーマンなんだからバラ色なわけがない。
そういっても消費税は8%→10%に上がり、不景気な上にコロナが直撃しているので、手に職を付けて人生設計を見直したいというのは分かる。

おさらいとして、薬剤師になるには大学の薬学部を卒業して、国家試験を受けて受かれば薬剤師免許がもらえる。
薬学部は医学部と違って年齢制限はない(医学部も一応年齢制限ないが若い方を取る傾向がある)ので入学はできるし、点数が足りていれば卒業もできるし国家試験も合格する。資格職だから就職は全くできないことはない(一部限定されることはあるが)
ここでは調剤薬局への就職する場合を書いている。

大事なのは薬剤師免許取得時の年齢。
なので、18歳で入って6留して30歳。
国試3回目でやっと取れたとしたら32歳。
26歳で大学入って、ストレートで卒業して国試を取った人と同じ条件で見られる。

30歳くらいまでは「新卒」。
新卒だから、調剤が出来なくても当たり前。
出来ない前提で教えるから問題ない。

30~40歳は「調剤薬局業界未経験」。
この年代は病院からの転職者が多い。
なので、「調剤(薬を作ること)できて当たり前、薬のことも分かって当たり前」となる。
出来ないのは、投薬(患者に薬の説明をすること)だけ。
投薬は病院になくて、調剤薬局にはあるから(病院もベッドサイドで薬の説明はするが、調剤薬局のように多くの人数を短時間で説明しないので)。
ごくたまに製薬メーカー(主に営業)、ドラッグストアなどを辞めて調剤薬局に勤めることがあるから、30歳過ぎても調剤未経験でも仕方ないという感じがある。
それでも30代前半までは比較的調剤ができなくても大目に見てもらえるが、30代半ばから厳しくなってくる。

でも40歳になると「調剤未経験」。
24歳で製薬メーカーやドラッグストアなどに入ったけど、40歳になって色々な理由で調剤薬局に転職しようとする人と同じ扱い。
新卒だが中途扱い。
早い人なら調剤薬局の社長になっている。
どの業界でも40歳になればそれなりの経験と立場になっていることが多い。
一般的に40歳以上の転職は人脈、経験などが必要言われている。
調剤薬局も同じ。
そういう人と同じ土俵で勝負するわけだから、勝ち目はない。

上の30歳、30~40歳、40歳以上は免許取得時の年齢。
当たり前だが入学時は6を引くので、40歳までに薬剤師免許を取るとなると34歳までに入学しないといけない。
現実的に調剤未経験が許されるのは30代前半までだから入学は27-28歳。
つまり、調剤薬局に勤めるには薬学部入学が20代半ばまでで、20代後半となるとギリギリな感じがある。

具体的に就職を考えてみる。
大手調剤は年齢制限をかけている訳ではないが実質20代までだと思う。
・同期は20代の若い子ばかり
・配属先の上司である管理薬剤師(薬局長)より年上の可能性がある(大手は入社2-3年で管理薬剤師なることがある)
・給料は安く(400-500万程度)、異動は多い
このため20代に限定されると思う。

次は県大手(○○県では大手)の所は30代半ばまでなら、ギリギリ大丈夫かもしれない。
大手調剤ほど若い子ばかりでもないし、店舗によっては中途で入ってきた管理薬剤師がいることも多いので、上司が年下の確率は大手より低いと思う。
給料は安い(年収400-500万程度)のは同じで、異動は多いが県内での異動なので大手より幾分マシという程度。

確かに30代後半で入れる所はあるとは思うが、なかなかないと思う。
その年代になると、上にも書いたが「他業種からの転職者」扱い。
調剤報酬改定(2年に一度、国が調剤薬局の収入の部分を決める)は厳しくなり(調剤薬局の収入が減る)、その上コロナ禍で患者が減ってさらに収入が減っている状態なので調剤未経験者はかなり厳しい。
給料、場所(田舎勤務)、人間関係、大手の様な研修のどれか複数は諦めないと入れない。
40歳で調剤未経験でも入れる薬局はあると言えばあるが、給料はいいとこ500万と思って間違いない。
経験がないから1人薬剤師はダメなので2人以上の薬剤師がいると店舗になることから、就職活動は上手く行かない部分があると思う。
××県○○地域で何店舗かある薬局なら大丈夫かもしれない。

調剤薬局以外の病院やドラッグストアはどうなのかと言うと、入れないことはないがお金か時間のどちらかは諦めないといけない。
病院はお金を諦め(年収300万程度)、ドラッグストアは時間を諦める(土日祝の休み、盆正月GWの長期連休、長時間労働)ことになる。
基幹病院(その地域で大きい病院で労災や日赤など)は高確率で入れない。
仮に入れても年下の先輩薬剤師や看護師に指示されるのを耐えられるか?
病院関係者は気が強い人が多いので。
中小病院なら入れるとは思うが、病院は給料が極めて安いのでそこをどうするかがポイント(手取りで20万いかない。奨学金を払うと1人暮らしだと厳しい)
ドラッグストアは入れると思うが、体力的にキツい部分(夜遅くまで働く、重い物を運ぶなど)や頻繁な異動(短いと半年で異動)、小売業なので土日祝日は仕事だし長期連休は取れないので、行くなら覚悟を決めて。

実習をしたから言って、調剤できるとは見なされない。
監査も投薬もしていないから。
調剤薬局の言う、「調剤業務」とは調剤・監査・投薬が出来ることが最低ラインだから。

最後に薬局は零細企業や中小企業が基本。
つまり個人商店なので理不尽は当たり前と思っていて欲しい(多少ブラックだがひどくはない)
というか、調剤薬局業界自体理不尽だらけ。
「○日病院に行きたいので休みたいです」と言っても、「代わりに来る薬剤師がいないのでダメです」とかは当たり前。
1人薬剤師の店舗なら遅刻はできない(薬を渡す人がいないので)、週休1日(水土の午後休み、1日休みは日祝だけ)だし。
一族経営なので、社長の身内(非薬剤師)は仕事しないのに高い給料をもらって、身内じゃない社員は安くこき使うのは基本(以前いた職場)。
大手調剤は違うのか?というと
一応大企業にはなっているが、中身は大企業ごっごしている会社で零細・中小より少しマシなだけ(かかりつけ薬剤師のノルマがある会社もあるし)

楽そうに見える調剤薬局の薬剤師。
確かに比較的定時で帰れるし3kでもないので、それを理由に薬剤師を目指すのはいいがこういう部分もあると言うことは知って欲しい。


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