がまんならないもの

 本についている栞紐が苦手だ。装丁に合った美しいものもあるけど、使われてぴょこんと出ているのが好きじゃない。先がぼさぼさになっているものとか、ぴしっとせずにゆるく挟まれているものとかも。
 何冊も並んだ本から栞紐がぴよぴよ出ている様子は大嫌い。ぜんぶきっちりしまいたくなる。しまうときは適度な力加減で斜めにおろし、下から三分の一あたりのところでくるりと返す。このとき上のほうがたるむのは許せない。
 新しい本の栞紐はページの間にくるりと美しい線を描いて固まっている。このとき本にできているひそやかな窪みが好きだ。その形を壊さないようにそっとページをめくる。
 もっとも、最近では栞紐つきの本は少なくなっているような気もするけれど。

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