マガジンのカバー画像

装丁コレクション

12
所有している本の中から、気になった装丁を写真で紹介。
運営しているクリエイター

#コラム

古本をめぐる冒険 宮沢賢治「風の又三郎」

本棚の中から、装丁が魅力的な書籍を紹介。今回は「宮沢賢治 風の又三郎」の復刻版です。装丁と挿絵を手がけたのは、小穴隆一氏。 函つきの豪華な装丁です。「柿色」と「朱色」の中間といえばよいのでしょうか。昭和という時代をそのまま取り込んだかのような、繊細で力強い色合いです。 裏側。表紙では白馬だけでしたが、こちらでは二頭の馬が「顔をならべて」駆けています。姿勢や脚の位置などから疾走感が伝わってきますね。 背と挿絵。佐太郎が妹かよの鉛筆をふところの中に入れ、机の上にうつぶせにな

古本をめぐる冒険 濱田廣介「大將の銅像」

先日、待ち合わせまでに時間があったので、古本屋に立ち寄った時の話。抱えていた荷物が多かったため、眺めるだけにしようと考えていたのですが、ふと目に飛び込んできた装丁が気になってしまい、思わず購入してしまった一冊がありました。 それが今回紹介する、濱田廣介「大將の銅像(復刻版)」です。 帰宅してから、あらためて手にとって眺めてみると、装幀及び扉は竹久夢二、口繪及び挿繪は川上四郎でした。なるほど、道理で目を引かれたわけです。 序文と目次には、朱に近い文字色が使用されています。ペ

「古書を買う」と、いうこと。 夏目漱石「漾虚集(大倉書店)」

ここに一冊の古書がある。 夏目漱石「漾虚集(大倉書店)」である。以前、地方の古書店で見つけ手に入れたものだ。 一見して「だいぶ古そうな本ですね」と、いう佇まいをしている。奥付けを見てみよう。発行は大正六年。そう、今から100年以上前の本になる。ご高齢である。ちょっと力を入れて開くと、バラバラになってしまいそうな気配がある。 この古書を開くと、中に新聞の切り抜きが折りたたんで挟まれていた。すでに端の方から劣化が進み、指で触れるとボロボロに欠けてしまう。慎重に開いて眺めてみる

古本を巡る冒険 夏目漱石「切抜帖より」

本棚の中から、装丁が魅力的な書籍を紹介。今回は夏目漱石「切抜帖より(復刻版)」です。ご覧の通り、とてもシンプルな装丁です。上品な佇まいで、それだけでも魅力を感じますが、今回特筆したいのはこのサイズ。 大きさを表すために、近くにあったマッキー(極細)を置いてみました。おおむねイメージしていただけたでしょうか? 片手で持ちやすそうなコンパクトなサイズをしていますね。角の丸みも絶妙です。 実際に持ってみました。やはり片手で開く時にちょうどよいサイズです。表紙も厚みがあるので