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装丁コレクション

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所有している本の中から、気になった装丁を写真で紹介。
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#古本

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古本をめぐる冒険「有島武郎 一房の葡萄」

「古書を買う」と、いうこと。 夏目漱石「漾虚集(大倉書店)」

ここに一冊の古書がある。 夏目漱石「漾虚集(大倉書店)」である。以前、地方の古書店で見つけ手に入れたものだ。 一見して「だいぶ古そうな本ですね」と、いう佇まいをしている。奥付けを見てみよう。発行は大正六年。そう、今から100年以上前の本になる。ご高齢である。ちょっと力を入れて開くと、バラバラになってしまいそうな気配がある。 この古書を開くと、中に新聞の切り抜きが折りたたんで挟まれていた。すでに端の方から劣化が進み、指で触れるとボロボロに欠けてしまう。慎重に開いて眺めてみる

古本をめぐる冒険 太宰治「パンドラの匣」

太宰治といえば「人間失格」や「斜陽」を思い浮かべる人も多いかと思います。自分の場合は以上の作品に加えて「パンドラの匣」が頭に浮かびます。その理由は、本作品が地元の河北新報で連載されていた作品ということで、それとなく身近に感じるからでしょう。 そんなわけで「パンドラの匣」は河北新報版で読みたいもの。装丁も美しくモダンで所有する楽しみも感じる一冊です。 今回紹介している「パンドラの函(河北新報版)」は復刻版なのですが、奥付けもちゃんと再現されています。「太宰」の判子が、いい感

古本をめぐる冒険「春と修羅 宮沢賢治」

わたくしが「古本の装丁」に興味を持つきっかけになったのが「春と修羅」でした。しかし当然のことながら、初版本はとても手がとどく金額ではありませんでしたので、復刻版を探すことにしました。何軒か古書店を巡ったり、ネットで検索したりして、ようやくこの一冊に出会えた時は「お宝を発見!」したような気分になったことを覚えています。 布の表紙にアザミが描かれています。賢治は「青黒いザラザラの布」を探していたらしいのですが、実際に見つけてもらったのは「まったく違った色の布」だったそう。すると