ふたとせ

 地方官吏となりて早や二年過ぎけり。

 書生の身にありしは、世に出ではいかばかりか愉しきことあらんと慕ふ心地しけるが、何の事は無し。徒に二歳をぞ過ぐしにけり。

 世の人、人の行いをもあれとこれと論うなり。などはかく。何故に己が賢しき正しきを、人にて。

 二歳を過ぎて我の世に学ぶこと、人を見ず、人を論わず、この二つばかりなり。

 もとより、この二つばかりなるを他の所為にはせむずるなり。嗚呼、この年の、ややも明るくならんことを。

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