見出し画像

コロナウイルス感染状況から株価底打ちのタイミングを探る

当noteではコロナウイルスの感染状況から株価の底打ちタイミングを考察しています。ただし、私自身は医学的知見はまったく持っていませんので、その点をご承知頂いたうえでお読みください。

こんにちは、上原です。

当noteでは世界同時株安となっている今の状況がいつ底打ちに向かうのか、コロナウイルスの感染状況から考察を行っております。

普段はTwitterで株式投資に役立つ情報を発信しているので、フォローしていない方はぜひフォローしてください。

それでは本題に入ります

2月中旬からコロナウイルスの影響やら原油価格下落の影響やらで株価が一気に落ちましたね。1月頃までは相場も強気ムードだったので、その頃からは雰囲気が一気に変わってしまいました。

株価下落の要因になったのは、中国武漢から始まったコロナウイルスの感染拡大です。その後は原油価格の急落もあり、現在は金融危機が心配されるほどのリスクオフ相場となってしまいました。

ただ、コロナウイルスによるサプライチェーンの混乱はあくまでも一時的な問題です。コロナウイルスが終息すれば「①通常の需要への対応」と「②不足してしまった在庫の積み増し」という2種類の生産が行われるため、経済活動はV字回復へと向かうはずです。

株価を予測する上でも感染拡大の状況はとても重要です。

株価はファンダメンタルに先行して動くので、実際に生産が回復し始めてから買うのでは遅いです。そもそも生産の統計が出てくるまでタイムラグがあるという問題もあります。

なので株価の底打ちタイミングを考える上では、生産が回復してくるタイミングよりも悪材料(感染拡大)に改善の兆しが見え始めるタイミングの方がより重要です。

そこで当noteでは、各国の感染状況を見ながら株価底打ちのタイミングを考えてみようと思います。

1.各国の株価トレンドとコロナウイルス感染拡大の状況

まずは日米中の株価のトレンドを見てみましょう。下のグラフは1月21日を100とした日本、中国、米国の株価指数の動向です。

画像1

コロナウイルスの震源地である中国の株価指数(上海総合指数)はすでに感染拡大前の水準まで戻しつつあります。一方で日米の株価は2月後半からまだ下落が続いています。

中国と日米で株価の動きに違いが出ている理由は下のグラフに表れています。青い線がコロナウイルスの世界の感染者数(累計)で、緑色の棒グラフが中国における日当たりの新規感染者数、オレンジ入りの棒グラフが中国以外における新規感染者数です。

画像2

このグラフを見れば一目瞭然ですが、中国では2月6日をピークに新規感染者の数が減ってきています。実際、2月24日にはWHOが「中国では感染増加のピークを過ぎた」とコメントを発表しています。

続いて、中国の感染拡大の様子を震源地である湖北省とそれ以外の地域に分けて見てみます。

下のグラフは、左のグラフが湖北省での新規感染者数と株価を、右のグラフが湖北省以外の地域での新規感染者数と株価を比較したものです。

画像3

中国では春節休暇が明けてから株価が反転していますが、湖北省以外の地域で新規感染者の数が減り始めたタイミングを重なります(右のグラフ)。

さすがに原油価格が急落した時は中国株も下がっていますが、日米の株価に比べると下落率はずっと小さいでです。

「新規感染者の増加が落ち着いてきたのでこれ以上悪い状況にはならないだろう」というのが中国の株価が他の国に比べて落ち着いている背景だと思います。

この章のまとめ
・中国では感染拡大のペースがすでに落ち着いてきた
・中国以外の国ではまだ感染拡大が加速中
・中国の株価は感染拡大のペースが落ち着くと共に底打ち

続いてほかの国の状況も見ていきましょう。

2.中国以外の地域でのコロナウイルス流行の状況

まずは中国以外の全地域での累積感染者数(青線)と新規感染者数(緑棒グラフ)です。

画像4

感染者数が落ち着いてきた中国とは違って、中国以外の国ではまだまだ感染者数が増えている状況です。ただしこれは国によって状況が変わります。

まず、コロナウイルスが特に流行している韓国、イラン、イタリアの新規感染者数の推移です。

画像12

韓国とイランはすでに感染者の増加がピークアウトして落ち着いてきています。イタリアも3月11日に新規感染者数が大きく減って、このまま落ち着いてくればピークアウトと言えるでしょう。

ちなみに、新規感染者の数が100人を超えてから感染拡大のペースがピークアウトするまでにかかった日数は、韓国とイタリアが9日間で、イタリアは14日間でした。ちなみに中国では以下のグラフのように感染拡大のピークアウトまで約15日かかりました。

画像6

ちょっと視点を変えて、各国の人口に対する累積感染者数の割合も見てみましょう。

画像7

上のグラフは感染者数が多い韓国、イラン、イタリアの「累積感染者数÷人口」を表しています。グラフ上に数字が書かれているのは新規感染者の増加がピークアウトした時点です。

このグラフを見ると、韓国とイランは人口に対して0.006%程度まで感染が拡大したタイミングで新規患者の数がピークアウトしたことが分かります。イタリアは人口の規模と比べてかなり流行が進んでおり、0.015%まで感染が拡大してようやくピークアウトの兆しを見せています。

国によって人口の規模も感染対策のやり方も違うので単純比較はできませんが、「感染拡大のピークアウトまでかかった日数」と「感染者数の人口比率」は、「他の国で感染拡大がいつ落ち着いてくるのか」を考えるうえで参考になると思います。

この章のまとめ
・中国とイタリアでは新規感染者数が100人を超えてから約15日で感染拡大のペースがピークアウト
・韓国とイランでは9日間で感染拡大がピークアウト
・韓国とイランでは人口に対する累積感染者数の割合が0.006%を超えた頃から感染拡大がピークアウト

それでは実際に現在もまだ感染拡大が加速している国の状況を見てみましょう。

3.米国と欧州主要国のコロナウイルス感染状況

米国とイタリア以外の欧州主要国での新規感染者数の推移です。

画像8

そしてこちらは累積感染者数の人口に対する割合です。

画像9

ドイツ、フランス、スペインの感染拡大が大きいですが、他の国の事例から考えれば、今後数日~1週間ぐらいで感染拡大のペースは落ち着いてきそうです。一方で、米国では3月10日から感染拡大が急加速しています。

画像10

米国はここ数日でコロナウイルス感染が急拡大している状況ですので、今後しばらくは感染拡大のニュースが株価の重荷となる可能性があります。

他の国の事例をもとに考えると、アメリカの感染拡大がピークアウトするまではあと1~2週間はかかりそうです。

この章のまとめ
・イタリア以外の欧州主要国では感染者の数がまだ拡大中
・欧州では感染拡大のペースがピークアウトするまであと数日~1週間程度はかかりそう
・米国では3月10日から感染が急拡大。感染拡大のペースがピークアウトするまであと1~2週間はかかりそう

ここまでの状況を踏まえて、最後に株価底打ちのタイミングを考えてみましょう。

4.株価底打ちのタイミングは感染拡大のピークアウトがカギを握る

ここまでの話をまとめましょう。

再掲になりますが、中国の株価は湖北省以外の地域で感染者数の増加がピークアウトしたタイミングで株価が底打ちをしています。

画像11

そして日本と米国の株価は、以下のグラフのように中国以外の国での感染拡大が始まってから株価が下がり始めているので、中国以外での感染拡大がピークアウトしてくるタイミングが重要です。

画像12

そしてこちらのグラフは、中国以外での新規感染者数の国別の内訳です。

画像13

もともと感染者が多かった韓国、イラン、イタリアでは感染拡大のペースが落ち着いてきました。一方で欧州主要国ではこの1週間で感染が拡大しており、米国では3月10日から感染が急拡大しています。

先行してコロナウイルスが流行していた国の事例から考えると、欧州や米国でもこれから1~2週間で感染者の増加が落ち着いてきそうです。つまり、日米の株価下落も3月後半には落ち着いてくると思います。

悪いニュースで下がっている株価の底打ちのタイミングを考える時は、実際に状況が改善してから(今回のケースだと生産が回復してから)買いエントリーをするのでは遅いです。株価はファンダメンタルに対して先行して動きます。

株価を下げている悪材料そのものの改善の兆し(今回のケースだと新規感染者の増加ペースのピークアウト)が株価反転のきっかけとなります。

実際に中国では今もまだサプライチェーンの混乱が続いていますが、感染者増加のペースが落ち着き始めたタイミングから株価は反転しています。

この賞のまとめ
・米国と欧州主要国の感染拡大ペースは今後1~2週間で落ち着いてくると思われるので、株価も3月後半には底打ちしそう
・株価はファンダメンタルズに先行する
・悪材料で株価が下がっている時は、悪材料そのものの改善が株価底打ちのきっかけとなる

5.日本の感染状況

ちなみに、日経平均の動向を予測する上では日本の感染者数の動向も重要ですが、日本はいまいちトレンドが読みにくいです。

こちらは日本の累積感染者数と新規感染者数の推移ですが、実は日本は他の国に比べると感染者の数はかなり少ないです。

画像14

ただ、これは単純にまだ検査できていない人がたくさんいるからなのか、それともこれから感染が急拡大するのかいまいち読めません。日本が他の国よりもうまく対策できているというイメージもあまりありません。

日本の感染者数が少ない理由が分かる人いたらぜひ教えてほしいです。

6.リスクシナリオ

「コロナウイルスの感染状況から考えると3月後半が株価底打ちのタイミングになるだろう」というのがこのnoteの結論です。底打ちのタイミングを測る上で重要な指標が中国以外の国での新規感染者数です。

以下のサイトで毎日更新されるので、このデータは要チェックです。

それに対して今後想定されるネガティブカタリストは以下の通りです。

・20年3月期決算の下方修正
・弱気な21年3月期の会社予想
・航空会社、シェール関連企業の倒産
・東京オリンピックの延期
・米国が日本からの渡航を制限

特に怖いのは、企業の倒産リスクが高まって信用収縮(今まで拡大してきたレバレッジを急速に縮小させる動き)が起きることです。サプライチェーンの混乱だけで終わるのであればこのnoteに書いてあるとおり3月後半には株価が底打ちすると思われますが、もし金融危機に飛び火するようなことがあれば、底打ちすると思われた株価が2番底になる可能性もあります。

現時点でそこまでの状況になる可能性はそこまで高くないと思っていますが、英国の格安航空大手が破産するなど一部では大手企業の破産も出始めているので注意は必要です。

ここで当noteは終わりとなりますが、各国の感染状況や金融危機が起きるリスクについてはTwitterで最新情報をつぶやく予定です。最新のマーケット状況が知りたい方はぜひ僕のアカウントをフォローしておいてください。

このnoteが役に立ったという方は、ぜひnoteのスキや下記ツイートのリツイートをお願い致します。皆様からのリアクションが日々の更新のモチベーションとなっているので、ぜひよろしくお願いします^^


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?