12.ベンディング
(旧サイトの「オンラインレッスン」の記事のアーカイブです。2017-02-09の記事です。)
ここでは、ベンディング(Bending)の練習をご紹介します。
もちろん、ここにある方法が絶対のやり方などというものではなく、あくまで一例としてご活用いただければと思います。
譜例
■ベンディングとは
ベンディングとは、ベンド(bend)という英語が「曲げる」を意味するように、指を変えずに音を半音下げたりする方法です。
例えば、「ソーファ#ーソー」というフレーズを、通常は「0-2-0」の指で吹きますが、ファ#も0のままで「0-0-0」の指で吹くような方法です。
■ベンディングの効果
ベンディングの練習の効果はどのようなことでしょうか。いくつか挙げてみたいと思います。
1)息と唇とのバランスを図る
この練習を通して、自然に息と唇とのバランスが養われていきます。
2)唇の適切なリラックス
適切にこの練習を行えば、唇は必要以上のテンションから解放され、リラックスした状態へ向かいます。
※2020/7/29追記:ベンディングを、唇をより中心に寄せる力を強める方法で行い、唇の強化のための練習とする考え方もあるようですが、私はこれに反対で、むしろその逆の効果を得ることのできる練習と考えます。唇の余計なテンションを減らしていくのです。
3)音の「的」を広くする
音の「的」は、音が高くなればなるほど、小さくなっていきますから、音が外れる・定まらない・出ない、という傾向になりますが、ベンディングを適切に行うことによって、「的」を広げ、音が定まるようになっていきます。
■練習時の原則(逆効果にしないために大事なこと)
他の練習同様、練習方法を誤れば、逆効果となり、やらない方がむしろ良かった、という結果になってしまいます。ベンディングの練習での大原則をいくつか挙げたいと思います。
1)決して押し込まない
ベンドする時に、息を押し込んで無理やり半音下げるのではなく、スムーズでリラックスしたままで音を下げるようにします。
2)同じ音質を保つ
ベンドする前の音とベンドした音が、できる限り同じ音質となるようにします。もちろん、ベンドした音はかすれる傾向にはなりますが、できるだけ同じ音質を保つようにします。
名手のベンディングは、音質が変わりません。
3)やりすぎない
一日にやりすぎないようにします。急に成果を出そうとして、力づくでやってきれいにベンドできているかのようにしてしまうのは、むしろ逆効果ですから、たとえ初めはかすれても、楽にスムーズなまま行い、数分から10分程度で終了します。
■A
まず通常の運指で吹きます。この時に、できる限り良い美しい音で、スムーズに吹きます。
そうしたら、同じことを、指を変えずに吹きます。つまりベンドします。ベンドしても、通常とできる限り同じ音質になることを心がけます。
5小節目からは、下がった音で指を変えますが、常に同じピッチと音質を保つように心がけます。
ベンディングの時に、息を押し込む必要はありません。あくまでスムーズで楽なままベンドしようとすることが重要です。力づくで行おうとすると、唇や他のどこかに余計なテンションを生むことになり、望む効果と逆の結果となってしまいます。
スムーズで楽なままベンドをすることによって、息と唇とのよいバランス、あるいは唇のリラックス、さらには、音の的が広がり音が定まりやすくなっていきます。
譜面は省略していますが、他のすべての音で、同様に行うことができます。
■B
ベンドを速くしていく練習方法です。
速くしていくためには、一音一音押し込んでベンドしていてはできません。余計な押し込みをすることなく、スムーズなままベンドをするようにします。
■C
音階でのベンドです。
ここでも、これまで同様、あくまでスムーズに楽なままベンドすることを心がけましょう。
■D
ベンディングでメロディーを吹きます。
半音の動きは全てベンドで行います。半音以外の部分も、ピッチは楽譜通りのままではありながら()に示された運指で吹く事で、ベンドで吹くことができます。
メロディーとして滑らかに音楽的に演奏するようにしましょう。
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