6.唇

(旧サイトの「オンラインレッスン」記事のアーカイブです。2017-02-09の記事です。)

■唇の役割

音を出すためには、振動体となるものがなければなりませんが、金管楽器の場合、それは、唇です。

しかしながら、唇の役割は、「振動すること」ではなく、「振動させられること」だと言うのが適切でしょう。

唇は、自分自身で振動することはできません
唇は、どんな時でも、息の流れによって振動「させられる」存在です。

ですから、唇に関して重要なことは、息の流れによって振動させられるための良い状態である事、だと言えるでしょう。

くどいですが、唇がそれ自身で振動するためにできることはひとつもありません。

唇については、主に以上です。笑

■唇がフレッシュである事と、「息と唇の関係」の理解

唇が振動させられる存在であることをふまえると、唇は息によってうまく振動させられる状態であるべきことがわかります。

うまく振動させられる状態、というのは、唇が息によく反応してくれる状態、と言い換えられますが、そのためには、唇が疲労しておらずフレッシュで柔軟な状態であることが必要になります。

いつも無理に音を出すことばかりを続け、唇が疲労して硬くなっていることが慢性化している場合、良い息の流れを与えても反応してくれない唇になっていることがよくあるのではないでしょうか。

疲労し硬い状態が慢性化している唇で音を出すためには、必要以上に強い息を押し込むことや必要以上のマウスピースの圧力が必要になっていきます。それは理想的な状態ではなく、次第に、力ずくで音を発生させる方向へバランスをとっていくことになってしまいます。

具体的には、必要以上に強い息を押し込む必要から身体を硬く使わざるを得なくなったり、強いタンギングに頼らなければならなくなったり、常に必要以上のマウスピースのプレスをしなければならなくなったり、様々な技術を必要以上のプッシュに頼りながらこなして行かざるを得なくなります。唇自体が硬く反応の悪い状態であるため、全てのバランスを理想的なものから遠いバランスで取り繕わなければならなくなります。悪循環の始まり、あるいは唇や舌の本来必要ない(些末な小手先の)操作が必要だという勘違いの始まり、ということができるでしょうか。

言い換えれば、そのような唇では、いかに息が機能するのか・息の使い方、を理解することが困難です。唇と息との健全な関係・バランスをつかむためには、唇が疲労しておらずフレッシュな状態であることが条件となります。

もし慢性的に唇を硬くしてしまっている場合は、数日間楽器を吹かずに唇を休ませ、一度唇をフレッシュで柔軟な状態にリセットし、その後丁寧に再開することが、息と唇との関係を理解し唇に頼らずに音を出すことを理解する出発点となるでしょう。

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