8.バズィング(導入)

(旧サイトの「オンラインレッスン」の記事のアーカイブです。2017-03-02の記事です。)

ここでは、息の流れを振動につなげていくこと、つまり「バズィング」に入っていきます。

バズィング(buzzing)とは、唇やマウスピースなどでブーブーという音を鳴らすことを指します。(英語のbuzzは蜂がブーブー飛ぶ音などを表します。)

トランペットのバズィングにはいくつかの種類があり、それぞれに効果や目的の違いがありますが(これに関しては別ページにて)、ここでは最初に、もっとも一般的と言えるマウスピースでのバズィングを使って、バズィングの導入部分について書いていこうと思います。(基本的な要領はどのバズィングでも変わりません。)


■マウスピースに息を流す

それでは、まず以下の手順で、マウスピースに息を流すことをしてみましょう。

1.唇を閉じずに少し開いたまま、マウスピースを当てる

2.息を吸い、息をスムーズにマウスピースに流す

この時点では、音は鳴らなくて何ら問題ありません。ポイントは、いかに息の流れが自由でスムーズであるか、ということになります。マウスピースの中にできる限りスムーズに息を流しましょう。

滞りを感じる、詰まった感じがする、のは良くない状態ですから、息が楽にスムーズに自由に流れるようにしていきましょう。息の動きの自由さがポイントとなります。

■閉じた柔らかな唇に、息の流れを与える

では次に、以下の手順に進んでみましょう。

1.唇を普通に軽く閉じる(締め付けるのではなく、ただ閉じる。上下の唇が軽く触れている状態)。

2.マウスピースを唇に当てる。

3.息を吸い、息をスムーズに流す

4.音が鳴ったら良し、鳴らなくても良し

音が鳴ればもちろん良いですし、すぐに鳴らなくても良いです。この認識はとても重要です。

次の動画では、息だけ流れている状態 → 息から唇の振動が生まれる状態 → すぐに振動が生まれる状態、という変化をダイジェストで再現しています。数分、あるいは数日で起きる変化を、数十秒で再現したものです。

はじめのうちは、息だけ流れていくばかりかもしれません。しかし、次第に、息が流れて遅れて振動が生まれるようになっていき、さらに続けていくうちに、すぐに振動が生じるようになっていきます。

人により、またその時のコンディションにより、すぐに振動が出る人、そうでない人、様々ですので、焦らず気楽に取り組むことが肝要です。

すぐに音を出そう、すぐに振動が欲しい、というあまりに、余計な力みを使って音を出す癖がついてしまうのは、後々とても不利に作用していきます。全てのことを、余計な力みを付け加えて行わなければならない状態になってしまいます。

「音を作り込む」「音を鳴らしに行く」という感覚ではなく、「音が自然に出る」「音が楽に発生する」という感覚を得るようにしましょう。

スムーズな息の流れに唇が自然に反応し、音が自然発生する方向がとても良い方法だと私は考えます。

唇は息の流れによって振動させられるので、そのために、唇は柔らかいまま閉じ、そこに良い息の流れを与え続けてあげましょう。次第に、唇が反応し始め、最終的には、ただ息を出すのとほとんど同じような感覚でマウスピースが鳴るようになっていくと思います。

そして慣れていくうちに、息の流れと唇とがバランスをとっていくに伴い、唇の周りの筋肉は必要なだけはたらくことでしょう。

■バズィングの2つの音質の違い

息の流れに唇が自然に反応するようにしていくと、生まれる音は、ビービーというタイトな無理矢理感のある閉じた音ではなく、息の流れに乗った自然に開放的な音になるでしょう。

次の動画では、スムーズにストレスなく息の流れに任せて振動を生み出している状態(開放的な音質)と、逆に、力任せにして無理矢理振動を作り込んでいる状態(窮屈でビービーいう音質)とを、交互に実演しています。(私自身、もっと無駄なくバズィングができる余地がまだまだありますが…。)

基本的には以上が、バズィングの導入部分となります。

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