ダブルタンギング

(旧サイトの「オンラインレッスン」記事のアーカイブです。2017-02-10の記事です。)

ダブルタンギングの練習例です。
練習方法の例としてご活用ください。

譜例

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■ダブルタンギング

ダブルタンギングとは、シングルタンギングのTTTTTT…(トゥトゥトゥトゥトゥ…)では速さが間に合わない時などに、TとKを使い(トゥとク、タとカ、など)、TKTKTKTK…(トゥクトゥクトゥクトゥク…/タカタカタカタカ…)とすることによって速いタンギングができるようにするものです。

■ダブルタンギングの練習の大原則

ここでご紹介する練習は、
・ダブルタンギングの導入
・TとKの均一化
・スムーズで流れを持ったダブルタンギング
を目的としています。

この目的に沿うための大原則としては、

1)初めはとりあえずやってみる

まずは考えすぎずに、とりあえずやってみる、ということです。

口で「トゥクトゥク」「タカタカ」と言えれば、それを楽器でやるだけです。

初めから色んなを考えすぎてしまうとかえってできるようになりませんので、初めはゲーム感覚でやってみるのが得策です。

2)舌の動きや位置ではなく、息の流れと音(シングルタンギングと同じ)

タンギングの際の舌の動きや位置に関する説明は(も!)様々に存在しています。

しかしながら、私の考えは、舌の動きや位置ありきで練習しても自然なタンギングはできない、というものです。

人間の舌の動きというのは、実に繊細で可動域が広く柔軟で、複雑です。
我々が言葉を話す時、その舌の動きは驚くべきほどに自由で変化の大きいものです(発話中のヒトの舌の動きの動画などをご覧になると一目瞭然です)。
かつ、その動きを、我々は基本的に意識していません。我々が意識しているのは、発する言葉(音)であり、それに従って、実に多様な舌の動きが実現されています。

もし仮に、赤ちゃんに「”ア”と言う時は、舌はこういう形にして、”イ”の時は舌は先端がここにあって舌の後ろの方はこうで…」と教えたら、その子は自由で自然な発話ができるでしょうか。
おそらく、非常に苦労した末に不自然な発話ができるようになるのではないでしょうか。

そうではなく、赤ちゃんは、音を聴き、その音を実現しようとし続け(聴いて、言ってみて、違いを感じて、また聴いて、言って、違いを感じて、の繰り返しによって)、その結果、自然に、舌の複雑な動きが実現されていくのです。
タンギングも同じで、出したい音(タンギングの)をイメージし、それを実現しようとし続けることによって、結果的に、複雑な舌の動きは実現されてくるのです。

そしてさらに言えば、舌や口腔の形状や大きさの個人差から、タンギングの際の舌の動きというのは個人差があって然るべきものです。

3)舌の強化ではなく、舌のリラックス(シングルタンギングと同じ)

特に、速いタンギングをしようとする時に、「舌の動きを強化しよう」と考えがちですが、舌の動きは、硬いのと柔軟なのと、どちらの方が速さに対応しやすいかといえば、それは柔軟な方です。

もちろん、舌を強く使い、破裂音のようにしてタンギングのクリアさを出すことは可能ですが、それでは速いタンギングに対応できないことと、クリアなタンギングは、舌の強さによるものではなく、あくまで音そのものがクリアに発音される状態であれば舌は柔軟なままでも実現される(つまり問題は「タンギング」ではなく「発音」)ことから、舌は基本的にリラックスしたままで良い、リラックスしたままである方が有利である、と言えます。

速いタンギングをしようとすればするほど、舌の余計な力みを軽減させていくことがキーとなるでしょう。

4)まずゆっくりで長く、そして長いまま速くしていく

まずはゆっくりと練習します。この時、ひとつひとつの音をできる限り長く吹きます。

そしてそのまま長いままで、テンポを上げていきます。

これは、速いテンポでスムーズに流れるようにダブルタンギングができるようにするためです。

ゆっくりの時に流れがない短く途切れたダブルタンギングだと、速くなった時につっかえが出てスムーズにはいきません。

ゆっくりの時に、むしろできる限り長く吹き、そしてそのまま速くしていくことによって、テンポが速くなれば自動的に短く聞こえると同時に、スムーズで滑らかに速いダブルタンギングとなります。

■A

ダブルタンギングの導入です。

一段目から、徐々に回数が増えるようになっています。

まずはTKT(トゥクトゥ/タカタ)に慣れましょう。TKT,TKT,TKT……

慣れてきたら、TKTKT,TKTKTKT,と増やしていきます。

ここでは、正確性や精度が目的ではなく、あくまで慣れることが目的ですので、気楽に、やりやすいテンポでやってください。

■B

TとKを均一化させる練習です。

誰しも、Tの方が慣れているためクリアで、Kの方がぼやけがちになりますが、できるだけKもTと同じようにクリアに聞こえるようにしていく練習です。

最初の2小節は、テヌートで、TとKを交互に。音をよく聴き、TとKが均一になるように心がけます。

耳で不均一さを聞き分けて気づくことができていれば、あとは自ずと身体がしかるべき動きに向かっていきます。つまり舌やその他の動きが修正されていきます。

次の2小節は、できるかぎり短くTとKを吹きながら、均一になるようにします。

次の4小節は、すべてKでタンギングします。K自体をクリアにしていきます。

■C

まずは非常にゆっくりから始めます。

上記の通り、ゆっくりでひとつひとつ長くスムーズに吹きます。

そして、長いまま、テンポを上げていき、速く且つ流れのあるダブルタンギングにしていきます。

また、すべてKでも行います。

譜面にはソしか書いていませんが、もちろん、他の高さの音でも同様に行います。

■D

音の高さを動かしながらダブルタンギングを練習します。

Bと同様です。

■E

音の高さが動く、という点以外は、Cと同様です。

ゆっくり長く、から、長いまま速く。

■F

EをすべてKで行います。

これを充分に練習してからEに戻ると、吹きやすくなるはずです。

■G

さらに音の動きを加えたものです。

ここまでの原則通り、ゆっくりで長く、から、長いまま速く。また、すべてKで練習してみてください。


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