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いざという時にどこに入れたかわからない・・

昨日の現場でのこと。
ムービーカメラマンの車と2台で現場入り。
撮影ポイントの公園内の森のようなスペースまで管理用道路を進んで行き、先行するムービーカメラマンの車が少しだけ路肩に寄った次の瞬間、車体が大きく傾いた。草で完全に隠された側溝に左前・後輪共に脱輪してしまったのだ。

私の眼にも全く気付かない、完全に落とし穴に落ちたようなまさかの出来事。
私が先行していたら間違いなく私の車が脱輪していた・・

これから撮影が始まるという時に・・今日の撮影は彼がチーフカメラマン、彼の胸中を思うと、、同じカメラマン同士気持ちは痛いほど分かる。すぐに車を飛び出し駆けつけるが、タイヤの幅とほぼ同じ幅の側溝に前後輪とも差し込まれたようになっていてタイヤは空転すらしない。

どうする、どうする、、そうだ!牽引ロープを積んでいたはずだ!と思い出し、「あるはず」の荷室の床下スペースを探るが見つからない。床下スペースには撮影用小物がぐちゃぐちゃに詰め込まれていて探し出せない・・が、以前機材を吊り上げる際に使った登山用ザイルが積まれていたのでそれを使うことした。

片側に付いていたカラビナを私の車のフックに引っ掛け、もう片方は彼の車の牽引フックに直接結びつけた。枯れた太い枝を拾ってきて脱輪したタイヤの前に差し込み、お互いせいのっ!でアクセルを踏む・・
ばちんっとザイルの切れる音と共に彼の車は側溝から脱出成功!
ザイルが切れるギリギリのところで車が動いたのだった。・・とにかく良かった。
(ザイルは直接結びつけた牽引フックの角で切れていた)

撮影が始まる前のカメラマンというのは、ハタからは分からないかもしれないが緊張している。何回現場を重ねてもそれは同じで、何かイレギュラーなことが起こることが一番嫌なものだ。「自分だったら」と考えるとほんとうにいたたまれない。
よりによってこのタイミングでこれが起きるかよ、というタイミングで得てしてこんなことが起きる。それが現場。

でも最悪のピンチを脱する手助けが出来たのは良かった。誰かの役に立てたことは自分自身にとって純粋に嬉しい。

車を側溝に落ちないように停めなおし、機材の運び出しが終わった頃、現場にモデルとクライアントが到着。何事もなかったように撮影はスタートした。

見つからなかった牽引ロープだが、撮影後に落ち着いて探したら私が探していたのとは違う場所から見つかった。私の車の荷室の床下スペースは真ん中のメインスペースの他に両後輪のタイヤハウスの上を利用したスペースがあり、そこに非常用バッテリーコードと一緒に入っていた。
見た目をキレイに見せるために荷室の床は継ぎ目がみえない(開けられるように見えない)内装材で仕上げられていて、あの側溝と同じようにぱっと見では分からず、このスペースの存在をとっさに思い出せなかった・・

いざという時にどうしてこれが探し出せないのか?
今の車を買ってから20年になるが牽引ロープは一度も使ったことがなく、初めて使う場面に遭遇したときにはどこに入れたか分からない。なんとも情けない話だ。
事務所に戻ってから「次はさっと出せるように」タイヤハウス上スペースの蓋にあたる部分に、牽引ロープ!と書いたステッカーを貼ったが、
次回使うときまでこの車に乗っていない、よな。

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