残骸

俳句を、ホモ・サピエンスがつくっていいのだろうか。

。瞬間現れ出る光は、どう痛むだろうか。

繋がる例え話の一節に生まれ変わる。秒針よりも正確な手話を、この夜から拾えるか。わたしのなかの暗闇の

かすかに重くなる。
の歌を隠そうとする。
砂を、手からひと続き


別の惑星にも蒔きたくなる。
8月14日まとめて冒頭、か。この世界の学校には、、平均台…雨季の人

いつか通りすぎる子午線を本当の色のついた線だと想像して。

感じながら、

のみ込むという行為。私の精神を、牛の喉が嚥下するとき、私はこの世の鍵束の豊かな音を響かせている。

、叙情的だか
午後の陽射しは、

病院の待合室で寄りかかる伯母の動作。伯母は私のふとしたときの脳裡だった。伯母のピアノの音は、黒鍵を使わなかいその軽やかさに、私は魔法瓶を置いたところを忘れた。

とさえ思えた。

それを聞こうとすると、
過去はどこから生まれるか

あなたの目、という。あるいは、手のひら、緩やかさを兼ねながら、硬筆で書く初めての漢字を眺めていると、指先に棘、刺さってないけど抜いてみたい。柑橘類を口いっぱいにしたときの一瞬の記憶と同じ。
鹿の耳が、微かな音に傾く

水面で聞いたはなやかな空耳を、五線譜のなかに一度だけ介入させて、一層厚く、夕方を化石にできればよかった。

ことがある。

そのおもいに、こうして

と、

と思う間に唾液で、ながしこまれると身体の

だからどんなものでもいい

男の子の起こしかた考えていると言った。

体毛を、逆なでしないように、

深く眠っているときの呼吸音を聞くと、夢のなかでは誕生日みたいに近眼かもしれない。むかし、

傷口に、軟膏を塗りたくなったその指を拭うこともせず、

そして左右異なる靴を、小さく跳ねる魚の蒼さで履きながら、肺呼吸を忘れているうちに、鱗の色彩を取り込みたいと、願っているのに違いなかった。とても抽象的に、掴みつづけている

郵便やさんのための朝。まだピントが合っていない瞳の濡れたところで銀杏の、

精神の沈黙する音を聞くことになる。新しい片仮名をつかってそのときに、見えた色を今この場に盗みとり、雪片の一片の言葉に変えたい、と思いながらあの白い半固体を、男の子はやさしい水彩画のように、舌にのせようとする。

乳歯のやわらかさを、二度とあじわうことが、できないと知っていながらも、

あの場所にはとても丁寧に、描かれる曲線の束が、視野にあらわれて異性の肉体が急に、恋しくなったのをおもいだす。

私たちの目は、無造作をゆるす皿に、新しい朝が盛られていくのを、みすごしてしまう。かたほうの、ぐんて。

に、本を読む幽霊が、やさしくつどいはじめる。きっと穏やかに、望まれた死が、この土地にもあったはずだ。吐き出される言葉も、前日の息づかいに放り込むようにして、

どぶに、棄てられたカバンが、傷ついた誰かみたいに、内側をさらけ出していた。この右側の、席からみえた

偶然もれて、しまった口笛でわかる空白は、誰かの歩みが引き連れて、ひろがるたしかな言葉だ。古井戸からたちあらわれる形容詞が、うずくまったとしても、蝶々結びができずに、青く塗り立ての、せせらぎの音だけを捉えようとして。

ため息をつく場所をさがす神様が、

を、もう肌で忘れているにもかかわらず予期せず、

おぼえている、自分がまったく幼かったころに、

それはおそらく

ような想像のなかだけに、自分を置いてくる。

私も誰かの従弟に過ぎず、

体毛はどこにでも、絡みつくのにいくつもの、

草むらが、いつから清潔に、横たわっているのだろうか。

霊魂も伝染病に、怯えているということか。

透明なものだけを集めた図鑑にうまれかわれる、と信じているのでした。


樹木です、陽光との距離がまた、遠くて、

あなたが書くことによって自分自身が、

鳥が飛び立つ美しい直線の、連続のシーンに想いを重ねられてわたしは、家族や友人に


。台本の無い演技を必要とされて、咳一つせず、虚空が、こそばゆいみたいに、1オクターブ高い歩行 耳打ちのようにその動作は、どこまでが不随意なのか


ここからあの火をつつみこむために、お椀のかたちにしたその手をほどき、繋いでくれたあなたは、雨の種類をその皮膚の下にいくつもしまいこんでおりました。



あなたは初冬の米泥棒を知っているとおっしゃいましたから、子どもの声に反応するように、サーカスが街にきたときにふく風の、匂いを感じておいででしょう。町中の次女が一斉に笑顔をみせた一瞬の、大声の無言をあなたは、どう肺に留めておけたのですか。あなたしか知らないうろ覚えの道から、なつかしい耳鳴りがはこばれてきて、そんな時はふと、汗ばんだ吐息が日射病の気配を、うつくしく感じさせるのでした。


窓の結露がなん筋もおちて、私小説は完成したのですね。


それはきっと、鹿が土手に横たわった一瞬の光景。あるいはあなたの、横書きの筆記からは、初夏の水田に手を突っ込んだときのにおいがしてきそうです。椅子をしつらえることによって、あらゆる虚空に木洩れ日がうまれます。その瞬間を目の当たりにすると、あなたが物語を感じとるその木陰は、明日の空き巣を待っているにちがいありません。それはきっと暴力をふるうときに、なんのてらいももたない人を、想像させる椅子。そしてそこは自転車を、乗り捨ててできた擦り傷から滴りおちる血が、決して乾ききらない場所。


あなたのなかにいるレーズン嫌いの少女たちを、おもてにださないようにしながら、ほんとうは肺の中には乾季の、田園を飼いたい。掘りかえされて変色した田畑。夜が染み込んで闇の成分が、やさしく積もりつづけているその土は、予期しない侵入者の大怪我を、待ち望んでいるのかもしれません。


「凪」にも寄稿した文章が続く

修正すること


湖面にも反射させながら

言葉のもつ音だけの側面が

水面をおとずれる無風のように吃音だったとしても


会話がとても薄く

颯爽としてまだ多くを少年として

次の駅まで切符をきつく持ちつづける汗ばんだ指先の

記憶がそのまま残されている

電車が止まるたび扉があいて

ふきこむ風がどこか嘘っぽく

年上の人の黙読の呼吸には

たくさん種類があるのかもしれない

電車の中で多くの人がする忘れものは

それぞれが求める異性の吐息のような姿にみえて

夏の終わりは忘れものを

とても律儀に存在させていることを知る

忘れんぼうの記憶からも艶かしく独立すると

誰の所有格もはりつかずに漂泊しながら

はじめてそれに触れそうな甥から

プール開きのときの皮膚感覚までもとっくに見失わせ

軽やかな順に逃れていってしまうもの

束の間、だれの原初の記憶にもつながる

夏の寝息のようにたたずむ無人駅に

幾人もの甥が電車をおりると

まるで水みたいに眼鏡を失くすことになる

駅の外には図鑑でうぐいすの種類を

調べたくなる静寂に満ちた近眼の家並みがひろがり

はす向かいの家、と説明するときの気恥ずかしさを

瑞々しく身体に取り入れたばかりの甥が

たとえば想像上の湖岸におりたって

失念してしまった固い約束ごと

むかえに行きたい恋人のことを考えている



それは来世でも書記を任されるような人で

すると傷つけあう言葉しか知らなかったはずの甥は

丁寧語の会話を無理なく続けることができている

した、の、なまえ、で、よんで、いい、ですか、の

一文が咽でとどまりまだ声にならない湖で

甥と恋人は、野鳥の排泄をいっしょにみている

湖畔にからだを残しながら甥は液体の途中になり

またそっと、眼鏡をなくす

いつか磁石につく砂鉄がどこまで連なるか、を

手を取り合ってみていた、という

お互い経験していない架空の記憶を交換し合い

湖水に素足をひたすと甥は

雨台風の名残だけを感じて

何もおそれずに水面に向かい

つぎの季節の星座を放尿したくなる


五線譜のなかに一度だけ介入されて一層厚く


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