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ブラボー スケボー!

オリンピックについて思うことは、人それぞれですね。私もこの東京2020というものについてはなんだかんだで15年くらい前の、最初の招致の段階から複雑な思いで見続けてきたので、個人的にはいろいろと思うところがあります...が、そのあたりはひとまず置いておくことにして、ここでは少し、ポジティブなことを書いてみます。

テレビで観戦すること以上の接点を持たない私のような人間にとってオリンピックは、なじみのなかったスポーツやアスリートのことを新たに知って楽しむ機会になります。今回はのっけからスケートボードに度肝を抜かれました。そもそも競技としてのスケートボードを見たことさえなかったので興味津々。へぇー、こういうものなんだ、、、と思いながらストリートをぼんやり見ていたら、あれよあれよという間に堀米 雄斗選手が金メダル。そして女子はストリートで西矢 椛選手・中山 楓奈選手が金・銅メダル、パークで四十住 さくら選手・開 心那選手が金・銀メダルというものすごいメダルラッシュ。それだけでもびっくりですが、さらにいくつもの驚きが重なりました。まず瀬尻稜氏の「鬼ヤバい」解説。これはこれで、オリンピックだから、スポーツだから、NHKだから、といったことに囚われず、良い意味で「スケボーならでは感」が現れ,、新しい風を吹き込んでいました。一方で、堀米 雄斗選手のプレー中の振る舞いや、インタビューでの礼儀正しさ、さわやかさは、スケボーについての先入観や昔からのイメージとはまるっきり逆のもの。AirPodsを耳にノリノリでプレーする他のプレーヤーや、「ビタビタにハマってる」解説をよそに、淡々と異次元の技を繰り出す姿は衝撃でしかありませんでした。そして女子選手は屈託のない満面の笑顔で、のびのびとプレーしながらハイレベルな技を連発。さらに岡本碧優選手は惜しくもメダルは逃がしたけど、世界ランク1位だからこそのチャレンジを最後まで見せつけ、すっかり失望と苛立ちに覆いつくされてしまった人々の心に、いきなり驚きと喜びを次々ともたらしてくれたのです。

東京オリンピックの開催を巡って、オトナたちはひたすら利権に執着し、リスクを過小評価し、場当たり的な対応を繰り返した挙句に、無観客開催というとんでもない大失態を演じています。また同じオトナたちの中には、この大失態につけこみ、正論を装いつつオリンピック自体をやめさせること、失敗させることに夢中になっている陰険な輩もいて、人々の心と経済にとてつもない損失をもたらしつつあります。そんな汚れ切ったオトナたちが醜く競い合うのを尻目に、穢れのない目をした若い人たちが競技を通してもたらしたものの大きさは、言葉では語りつくせないものがあります。オトナたちが昭和時代からレッテルを貼りつづけてきた「スケボーは不良がやるもの」というイメージを覆し、競技としてのスケートボードの世界を伝え、体格が大きくない日本人に実は向いている種目なのだということをニコニコしながら示したのです。たくさんの小中学生をはじめ同世代の若い人たちががワクワクし、スケボーをはじめたり、スポーツとして取り組んでみようと思ったり、自分にもチャンスがあると勇気づけられたり何か新しいことを始めるきっかけになったりしたはずです。これが、初めてスケートボードが正式種目となった東京オリンピックで起きたことでもたらされる経済効果も、はかり知れません。後はこの先、この若い人たちが悪いオトナの餌食にならないように、社会が見守る必要がありますね...


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