髪の毛を寄付する人が増えている

住友　暑い夏は短いヘアスタイルが流行っているね。
三井　ヘアスタイルといえば、ヘアドネーションって知ってる？
住友　何それ？
三井　髪の毛を寄付することだよ。
住友　誰に髪の毛を寄付するの？
三井　医療用ウィッグを提供しているNPO法人に寄付するんだ。
住友　それは医療用の「カツラ」のことだね。
三井　そう。さまざまな病気のために髪の毛を失ってしまった患者のためにウィッグを作るんだ。
住友　なるほど。需要は多いんだね。
三井　でも供給が追いついていないのが実情なんだ。
住友　もっと周知していかなければいけないんだね。
三井　ぼくは、数年前にあるニュースを聞いて感動したんだ。
住友　どんな？
三井　小学生の男の子がずっと髪の毛を伸ばし続けているというニュース。
住友　何のために？
三井　病気で苦しんでいる患者のために。
住友　髪の毛を医療ウィッグに提供するの？
三井　そう。
住友　それは偉いね。
三井　でも、いじめや嫌がらせがあってたいへんだったらしい。男子のくせになんで女子みたいに髪の毛を伸ばすのかって。
住友　人と違うことをすると差別や偏見の対象になってしまうのは残念なことだね。
三井　それでも少しずつ理解されて応援してくれる人も増えたんだ。
住友　嬉しいことだ。
三井　彼は自分の信念を最後まで貫き通し、六年生になって卒業式を迎えるときについに髪の毛を切ったんだ。彼の長い髪の毛は医療ウィッグに寄付されることになった。ニュースで見たけど、長髪も短髪も似合うかっこいい男の子だったよ。
住友　長髪も短髪も似合わない三井さんとは全然違うね。
三井　放っておいてくれ。
住友　ぼくもあるュースを見て感動したことがあるよ。
三井　どんなニュース？
住友　競泳の池江璃花子選手が、闘病中に医療ウィッグを着用している姿を公開したニュース。
三井　たしか白血病の治療をしていたんだよね。
住友　そう。おそらく治療の過程で髪の毛が抜けてしまったのかもしれないけど、彼女をそれに臆することなく、医療ウィッグを着用して笑顔を見せてくれたんだ。
三井　それは素晴らしいことだね。同じような病気で苦しむ患者に大きな希望と勇気を与えたと思う。
住友　水泳選手としても立派だけど、人間としても本当に立派な行為だ。
三井　泳いでいる池江選手もかっこいいけど、きっと医療ウィッグをつけた池江選手もかっこいいんだろうね。
住友　何を身につけてもかっこよくない三井さんとは全然違うね。
三井　放っておいてくれ。
住友　ぼくはもう一つ、ずいぶん昔だけど感動的なニュースがあるんだ。
三井　どんな？
住友　同級生のために頭を剃ったアメリカの少年の話。
三井　どういうこと？
住友　その少年の同級生が、小児ガンのために治療することになったんだ。幸い、早期発見、早期治療で回復したんだけど、抗ガン剤の副作用で髪の毛が抜けてしまったんだ。それを知った少年は、同級生が学校で冷やかされたり、からかわれたりするのでないかと心配した。そこで、同級生が退院して学校に復帰する前に、自分の頭を剃って登校したんだ。
三井　勇気ある行動だね。
住友　初めは少年のことを笑っていた児童たちも、その目的が同級生を守るためだということを知ると、賛同の輪が広がっていった。男子たちが少年の真似をして次々と頭を剃ったんだ。最後は校長先生までも。おかげで、退院した同級生は安心して学校に復帰できたんだ。
三井　いい話だね。
住友　人間はどうしても外見で相手を判断してしまう習性がある。それが差別や偏見につながることもある。
三井　そうだね。
住友　でも、一つの善意ある行動でそれに打ち勝つことができる。それを教えてくれるニュースだと思う。
三井　そうした行動が取れる人が増えるといいね。
住友　とくに将来医療従事者を志している受験生にはそうなってほしいと願いたい。
三井　受験生の皆さん、頑張ってください。
住友　頑張ってください。