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オリンピックで人権が尊重される理由

三井 いよいよパリオリンピックが始まったね。
住友 全ての参加選手の健闘を祈りたいね。
三井 連日の試合結果がどうしても気になってしまうよ。
住友 受験生はオリンピックに気を取られないように、しっかり勉強に集中しよう。
三井 ところで、オリンピックの理念って知っている?
住友 「参加することに意義がある」でしょ。
三井 住友さんでも知っているんだね。
住友 でもって何?
三井 クーベルタン男爵の言葉とされているんだ。
住友 えっ、クーベル・ダンシャク?誰それ?
三井 クーベルタン男爵だよ。「近代オリンピックの父」と呼ばれている。
住友 でも、オリンピックって、古代ギリシアの時代から行われているんじゃないの?
三井 たしかに古代オリンピックはそうだけど、近代オリンピックは違うよ。
住友 どう違うの?
三井 近代オリンピックは、1896年の第1回アテネ大会から始まるんだ。
住友 そうなの?
三井 そのときにクーベルタン男爵は、世界の平和を実現して、人間の尊厳を守る祭典にしようと決意したんだ。
住友 へえ、偉いんだね。そのクーベル・ダンシャクって。
三井 わざと言っているでしょ。クーベルタン男爵だよ。
住友 彼の理念が今もオリンピックに生きているんだね。
三井 そう。その理念に基づいて、近代オリンピックでは最大限に人権を尊重している。
住友 たとえば?
三井 今回のパリオリンピックでは、選手数を男女同一にしている。
住友 性差をなくす試みなんだね。
三井 それだけじゃないよ。
住友 まだあるの?
三井 聖火ランナーにジダン氏を起用したことも重要な意味があるんだ。
住友 ジダンって元サッカー選手でしょ?
三井 フランスの国民的英雄だよ。
住友 でも、人権尊重とどう関係があるの?
三井 ジダンはもちろんフランス人だけど、アルジェリアの少数民族の出身なんだ。
住友 差別や偏見を受けてきたかもしれないね。
三井 それを乗り越えた英雄として尊敬されている。
住友 融和と共存の象徴的な存在なんだね。
三井 だから、オリンピックの開会式に起用されたんだ。
住友 なるほど。
三井 オープニングの映像で、子どもたちに聖火を引き継ぐ場面は感動的だったね。
住友 ばくは、子どもたちに頭突きを一発かますのかと思って心配したよ。
三井 そんなわけないでしょ。
住友 でも、オリンピックで人権問題は解決できるの?
三井 いいや、そう簡単な問題ではないよ。すぐに解決することはできなくても、人種や民族の違いを越えて、世界の人々の多様性を認め合うことが、人権を尊重するための第一歩だと思う。そういう意味で、オリンピックの果たすべき役割は大きいんだ。勝っても負けても、お互いに相手の選手の健闘を称え合って試合後に握手を交わすことは、じつはとても大切なことなんだ。
住友 たしかに、それは素晴らしいことだね。
三井 もちろん他にも多様なアプローチが必要だけどね。何かいいアイディアがある?
住友 ぼくは、国別のメダル獲得数の発表を止めた方がいいと思う。
三井 その意見は、昔から根強くあるよ。
住友 参加することに意義があるんだから、選手一人一人の栄誉が称えるべきであって、国家間の過剰な対抗意識を煽るような国別のメダル獲得数の発表は、オリンピックの本来の目的とは違うんじゃないかな。
三井 そうだね。相手に敬意を払って健全なライバル関係を築けるのであれば問題はないけど、メダルの多い国が優れた国であるという誤解を招く恐れがあるよね。
住友 スポーツナショナリズムの負の側面だね。
三井 それがオリンピックの問題点でもあるんだ。
住友 政治的に悪用されることもあるんじゃないの?
三井 そうなんだ。1936年のベルリンオリンピックでは、ヒトラー政権の国威発揚に利用されてしまった経緯もある。それを繰り返さないように配慮しなければならない。
住友 オリンピックは真に平和の祭典であってほしいね。
三井 そのためにどうすべきか、ぜひ受験生にも考えてほしい。
住友 そうだね。受験生の皆さん、頑張ってください。
三井 頑張ってください。


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