主観と客観のずれ


スポーツ科学は本当に選手を助けるのか


スポーツサイエンスの目的って、

一流選手の華麗な動きを可視化(数値化)し、競技力向上や指導現場に落としこむ。

みたいな感じだと思う。

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https://sslab.tokyo/images/eb40f85a1fe0c5e588d6faba3c44ffe5.jpg


一流選手の動きや、高記録者の傾向は競技力向上のために大切な指標の一つだ。

しかし、

例えばあなたがいままでまっすぐボールを蹴れていたのに、急にロングキックが思うようにけれなくなったとする。

そこにスポーツ科学の研究者がやってきて、あなたのキックフォームを見るなり

「うまい選手がける瞬間の膝の角度は約~°で、助走スピードは秒速~mだから、君もそうなるように修正するべきだ」

って言われ、その通りにやったらうまくいくだろうか。

もちろんうまくいくかもしれないけど、そのうまい選手との身体的特徴も違うだろうし、ポジションが違えば要求される能力特性やキックの質も変わってくるだろう。

なにが言いたいかっていうと、そのプレーがうまくいくかどうかは選手の「感覚」にゆだねられるということ。

いわゆるコツの世界。そこにスポーツ科学が踏み込める余地はあるのだろうか。

スポーツ科学とは、言語や数値などのデータを用いて、客観的分析をした学問

であるのに対し、

試合中に必要な技術は自己の感覚やイメージなどによって身体を動かすもっと主観的なもの

つまりそれとこれとは全く別の世界であって、それを十分に考慮したうえで得られたデータを用いらなければならない。

数値やデータによって証明されたものは、良い被験者が”そうなる”のであって、”そうすべきもの”ではないのだから。

コツが命

2003年、ハンマー投げの室伏広治は記録が伸び悩んでいた。

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http://www.officiallyjd.com/archives/164098/20120814_sanma_12/

徹底的に自身の動きをビデオ分析をしていたが、それが伸び悩みの原因だった。

形ではなく、良かった時の感覚を思い出し、それを再現するように練習した。

アテネ五輪では見事に金メダル。

悪い動きを見ることによって、見た動作を自分で行うときに働く脳部位も活動するため、悪い動きを知らず知らずのうちに頭に刷り込んでいたのだ。

コツをつかませる指導法

日本プロ野球界の名将、野村克也氏は「技術的な欠点は、そことは別の部分を意識させることで改善する」と考えていたそうだ。

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https://becomehappyall.com/nomurakatsuya-7126

ある右打者の動きを見たノムさんは打つときに右肩が下がる欠点を見抜いた。

ノムさんは、「右肩を意識させると動きのバランスが乱れる。右肩が下がるから左手の甲がボールに正対していない。だから左手の甲をボールにぶつけるように打たせよう」と考えるそうだ。

右肩が欠点である打者に対して左手の甲を意識させ、結果的に改善させる。

欠点を持つ選手に対して、意識を外させることでコツをつかませていたのだ。

伝説的指導者。ご冥福をお祈りいたします。

アスリートの科学 ~身体に秘められた秘密~ のアウトプットでした。

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