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新コロな宇宙。(二車線の国道を跨ぐように架かる虹を)

5/11、月曜日。今日一日に僕の身に起こったことを書き切るのはとても難しい。一切書かないか、とことん書き切るかのどちらかしかないが、そういうわけにもいかないので、一筆書きの要領で書いて、炙り出しみたいにうまく模様を浮かび上がらせるという高等な作戦をとる。うまくいくかはしらない。

まずお昼に区役所に行って書類を処理し、家に帰ってきてから給付金の申請を済ませた。給付金関係がようやくぜんぶ済んだのでホッとし、魂が抜けたようにYouTubeで音楽を観ていた。ふとジャンボフェリーのテーマソングが聴きたくなったので、検索して、ポチッと聴いた。船上でもYouTubeでも何度も聴いたはずだが、まるで夢のような音楽に響いた。カランコロンを見つめる赤ちゃんみたいな顔をしていたと思う。自分でもそれがわかったが、心を離せなかった。曲が終わり音が鳴り止むと唐突に「俺はこんなところで何をやっているんだ?」と思った。やれることをやれと、そう思った。じゃあ今からお店を開けようと。それが俺のやれることだと。

そういうわけで今日はお店を1時間半だけだが開けた。何も告知もしなかったが、お客さんも2人も来てくれた。そのうちの1人は、同じようにバーを経営してはる先輩で、どうやら三宮は7日から食べ物屋さんが、今日11日から飲み屋さんが少しずつ開いていっているらしい。その方も今日から再開しはった。僕はトレンドに乗り損ねずに済んだみたいだ。嬉しい。この先輩は僕が気を許せる数少ない同業者の方(実に)なので、弾みもついて助かった。ラッキーだった。助かりました。

明日もやる。夜になればなるほど人は急激に少なくなってゆくので、夕方の早い時間から始めたい。これでうまくペースを掴めたら、正式にお客さんに伝えようと思うが、どうなるかはまだわからない。そもそも自粛要請は続いているので、堂々と「再開しまぁーふ!」と公式SNS等で言うのはマズいかもしれない。わからない。とにかく様子を見る。

しかしこうして僕のセルフロックダウンの日々は実に唐突に終わりを告げた。計算すると41日間だ。僕はてっきり「ああ最後の夜だな。。」という感じで粛々と振り返りつつ終わるのかと思っていたが、なんのこたない、「ああ俺の仕事をしよう」と思っただけで、次の瞬間にはシャワーの下でフルチンである(当たり前か)。なんか催眠術が解けたような体感がした。お店を開けることが怖かったか?つまり新コロさんが?いや怖くなかった。怖かったのは開ける前の30分と、開けてからの数分だけだ。あとは怖くなかった。そしてお客さんにいつも通りモノを作って出し、以前と同じ気持ちで振る舞えたことが嬉しかった。たった1時間半だが、それでも怖くなかった。が、疲れたことは疲れた。そらそう。ま、ゆっくりでいいからうまくいくといい。

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